映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

グラントリノ  クリントイーストウッド

2009-05-29 21:29:01 | クリントイーストウッド
「グラントリノ」を劇場で見た。イーストウッド最後の出演作。往年のイーストウッドを思わせる殴るシーンもあり、胸をときめかせる。エンディングでは周りの女性たちからすすり声が聞こえていた。基本的には男性映画であり、正直それほど泣ける映画とも思えない。大スターイーストウッドの過去50年の集大成といった気がする。最後と思うと熱狂ファンの一人としては悲しい。

フォードの修理工であったクリントイーストウッドが妻に先立たれた葬式の場面からスタートする。朝鮮戦争の退役軍人で気難しいイーストウッドは自宅での「葬儀のお清め」から、息子たちやその娘たちの振る舞いが気に入らない。一人の方が気兼ねなくてタイプ。頑固な性格を映画は描写していく。
そんな時、隣にアジア人の家族が引っ越してくる。「モン族」という東南アジアの民族である。親族との連帯感が強く、常に騒いでいる隣をイーストウッドは気に入らない。そのアジア人の息子が同じ民族の不良仲間にそそのかされて、イーストウッドの愛車「グラントリノ」を盗もうとして、未遂に終わるが。。。。。

「弱いものを助ける」とか「やられたらやり返す」というようなイーストウッドの伝統的なストーリー展開である。詳細の筋はいえないが、最後の復讐場面でのイーストウッドの顔は、「許されざる者」でモーガンフリーマンの死体がさらされているのを見て保安官ジーンハックマンに対して向かっていこうとする時のにおいを感じた。結果は意外な展開になるが。。。。

この映画でのイーストウッドのプロフィルやストーリー展開は過去のいろんな映画とだぶる。そういった意味で彼の俳優としての集大成なのである。
しかし、年取ったなあイーストウッド!先日「続夕陽のガンマン」をDVDで見たとき、その声の響きは「ミリオンダラーベイビー」のコーチ役の声と大きく変わらないと思った。「グラントリノ」の声はおじいさんの声になっていた。78歳なんだもの仕方ないけどね。
インテリの役ではない。兵役の義務を果たし、フォードの組立工をやったという典型的なアメリカブルーカラーの役柄である。朝鮮戦争で出征していたイーストウッドだからこそ演じられた部分も多い気がする。イーストウッド以外でも演じられるが、彼で本当に良かった。 この役を他の人が演じていたら、こんなに人気が出たであろうか?疑問である。「ダーティーハリー」や「夕陽のガンマン」の彼を知っているからこそ、別れを惜しみにアメリカ人たちは映画館に向かっていったのであろう。
アメリカの大部分はブルーカラーであり、自分の姿とラップさせる中高年が多かったに違いない。私も小さいときに「ダーティハリー」を劇場で父と見た。本当にかっこいいと思った。その同じ感動を持っているアメリカ人はたくさんいるはずだ。

映画自体では、脇役のちりばめ方が上手だったと思う。「モン族」の隣の家族全員(英語が話せない祖母、母、娘、息子)、教会の神父、「モン族」の不良グループ黒人の不良グループ、イーストウッドの息子たちと孫たち、「モン族」の親族たちなどなど。。。。それぞれに活躍していた。
決してイーストウッドだけの映画ではない。大スターがイーストウッドだけだったので、脚本的にも配慮する必要がなかったかもしれない。公平に役割分担を与えていた。脚本のうまさを感じる。
作家の小林信彦はイーストウッドが死んだら、映画は見なくなるかもしれないといったそうな。その気持ちはわかる気がする。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 娘の中間テスト2 | トップ | イーグルアイ  シャイア・... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

クリントイーストウッド」カテゴリの最新記事