映画とライフデザイン

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映画「波紋」筒井真理子&光石研

2023-05-27 17:21:01 | 映画(日本 2019年以降主演女性)
映画「波紋」を映画館で観てきました。


映画「波紋」は「川っペリムコリッタ」荻上直子監督のオリジナル脚本で筒井真理子が主演のシリアスドラマである。予告編で何度も観て、内容はうっすら想像できた。夫が失踪してしばらくして妻が新興宗教にハマった時に夫が突如戻って来るというストーリーは予想通りのままだった。「よこがお」など筒井真理子主演のドラマはいずれも好きで、期待して映画館に向かう。直近にいい公開作がないせいか、上映館は比較的多いようだ。

東日本大震災の直後に放射能の影響が報道されている頃、親子3人と要介護の父親で暮らしている須藤家の主人修(光石研)が突如妻の依子(筒井真理子)の前から姿を消す。それからしばらく経って、義父も亡くなり息子(磯村)も九州の大学に行って就職して一人暮らしの依子は新興宗教「緑命会」にハマっていた。そこに突然夫が戻ってきた。線香をあげたいという夫を家に向かい入れると、夫はガンになってしまったという。そのまま夫が家に住み着くようになる話だ。


映画自体は興味深く観れたけど、期待したほどではなかった。
でも、筒井真理子、光石研は相変わらずの安定した演技である。特に筒井真理子はほぼ出ずっぱりで普通の主婦が新興宗教にハマっている姿を描いている。それ以外のプールやサウナのシーンやお隣さんとのやりとりのシーン、息子がフィアンセを連れてきた時の動揺を巧みに演じた。光石研は今回のようなダメ男の方が味がある。新興宗教の教祖?役を演じるキムラ緑子やスーパーの同僚の木野花の存在も映画の幅を広げる。いずれもうまい。


予告編で予想した通りの出だしで、ストーリーも普通に展開しただけでその後の起伏が少なかった意外性はなく、残念ながらパンチがない「川っペリムコリッタ」も中身がない映画だと思ったが、震災や介護や障がい者問題など世相の話題をいくつも継ぎはぎにしているだけで新興宗教の扱い以外は中途半端だ。荻上直子監督の作風はこんなあっさりした感じなのかもしれない。

ただ、筒井真理子演じる妻は夫が戻ってきた時に泣いたりわめいたりしなかった。普通だったら家の中に入れないだろうと思うけど、あえてその展開にしたのであろう。それ自体は悪くはない。別に寛容性があるというわけではない。いやで仕方ないけど、つらく当たると自分にしっぺ返しをくらうと考えてそうしているだけだ。それなのに、息子がフィアンセを連れてきたときの態度は考えられないほどの嫌悪感だ。これって女流監督だから演出できる男にはわからない女性心理を描いているのか?


こういった新興宗教の信者たちって、みんないつもニッコリして健全な感じだ。駅の前でよく見る宗教の勧誘や共産党のビラを配るおばさんたちと同じだ。江口のり子がそのうちの1人というのはいつもと違う。宗教の集会でキムラ緑子の教祖と一緒に信者たちが歌ったり、踊ったりする歌は当然オリジナルだろう。作詞作曲や振り付けも荻上直子監督が自ら考えたのであろう。これだけは事前取材の成果が出てすごいなと感じた。筒井真理子赤いカサを持ったフラメンコも好意的に見れた。

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