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健人君の引退試合

2014-05-04 17:00:07 | 中村健人
昨日の大阪、臨海スポーツセンターの四大学定期戦に行って参りました。
正直言うと、全日本までは続けてくれるんじゃないかと勝手に期待していたので、この試合での引退はショックでした。でも就職活動と平行して練習を続けるのは大変なことだろうし、本人が考え抜いて出した結論だから、見送りに行かないわけにはいかないです。

臨海スポーツセンターに足を運ぶのは2回目で、それは2008年5月13日の「臨海スポーツセンター存続のためのイベント」以来のこと。あれから6年も経っていて、多くの方の努力と協力の末にリンクが存続したのだと思うと感慨深かったです。(当時のレポはこちら。→ 
あのときは大ちゃんのHipHopスワンを見たのですね。すごく昔のことに感じます。

定期戦は立教、慶応、同志社、関西学院の4大学で行われます。
私は開会式から見ようと思っていたものの、家を出るのが遅れて見られず。でも試合は最初から見られました。
A~Dの4つのカテゴリーで行われ、Dクラスの選手は大学生になってからスケートを始めた選手が多そうな感じでした。ジャンプも半回転や1回転だったりで。試合というより、発表会を見ているような感じです。
こういうレベルから見ていくと、全日本ならどの選手も当たり前に跳ぶ3回転ジャンプというのが、いかにすごい技なのかということを実感します。

健人君はほとんどの時間をリンクサイドで、仲間達と談笑しながらリラックスして過ごしていました。アップしたり、たまに音楽に合わせてリズムを取ったり。
リンクサイドには全日本でおなじみの近藤眞樹君がずっといました。彼は滑らず、関西学院のOBとして見に来ていたのでしょうか?
木原龍一君や村元哉奈ちゃんも来ていました。

そして花を持ったいい男が歩いている、と思ったら、重松先生でした。健人君の前コーチ。元教え子の引退にこちらも駆けつけてくれたようで、重松先生のその姿を見ただけで感動してしまいました。客席の後ろで健人君とお話していました。

立教ジャージを着てずっとリラックスして笑顔で過ごしていた健人君ですが、6分間練習で衣装を着て現れたときには雰囲気が変わっていました。
鋭い試合のときの顔付きに変わっていて、皇帝衣装と相まってすごいオーラを発していました。リンクサイドに現れてから氷に乗って練習し、またリンクにサイドに戻ってバックヤードに消えていくまで、全日本と同じように集中していてにこりともしず、完全に競技者の顔でした。この辺りから他の選手とは違いました。
頬がそげているなと思っていたのですが、体も絞り込まれていました。

6分間練習ですが、そこまでの選手とはレベルが違いすぎていて、スケーティングからしてものすごいスピードと美しさでした。全日本の最終グループで滑ってきた選手ですものね。
ジャンプは最初ルッツが調子悪いかなと思ったものの成功させて、3A、3A-3Tも成功させて拍手をもらっていました。
それでも本人の気が緩むことはなく、バックヤードに去っていくときには厳しい表情をしていました。その表情で無言で後輩に持たせていたエッジケースと上着を受け取る姿は、いかにも先輩というか、皇帝様という感じでした。(笑)

自分の出番のときにリンクサイドに現れたときには、表情が柔らかくなっていて、リンクサイドの選手達数人に握手を求めていました。恐らく仲間達の握手から力をもらっていたのでしょう。
氷に立ったあとも、リンクサイドの全員とハイタッチしてからスタートポジションにつきました。

演技は圧倒的でした。まず3A-3Tを成功させて大きな拍手をもらい、その後のジャンプもきれいでした。3Aを後半にも成功させ、コンボのタノも優雅で美しい。なぜかトゥループが2本ともダブルでしたが、そんなのは気になりませんでした。
最後までスピードがあって動きにキレがあり、スピンの回転速度もあり、本人の気持ちと気迫のこもった見ていて失敗する気がしない演技でした。(実際は2本パンクアリですが)
細部まで繊細に表現していて、最後のコリオの柔らかい表情と表現の多彩さが素晴らしかった。
少し悔しさもありながら、やりきった演技と言えるのではないでしょうか。
フィニッシュの後に氷に触って、挨拶のときには涙していました。
観客は総スタオベで彼の雄姿を見届けていました。

スピード、体のキレ、ジャンプ、表現、総合的な美しさ、どれをとっても私が見た彼の演技の中で最高のものでした。
こんなにも素晴らしくて、22歳とまだ若くて、余りにも最後にいいものを見せられたので、正直言うと引退が余計に惜しくなってしまいました。

その後は本人はずっと柔らかな笑顔で、重松先生や仲間やファンから花やプレゼントを受け取ったりして過ごしていました。
競技の終了後、氷上で健人君のあいさつがありました。
今日は自分だけの大会ではないけれど、主役だと思っている、まだ現役を続ける人は悔いのないように、というような内容で、ユーモアを交えて堂々と話していました。詳しくはツイッターでレポしてくださった方がいます。
それを見て本当に大人になったな、成長したなと感慨深いものがありました。
その後彼の希望で選手や関係者も氷に乗って記念撮影。もうスケート靴を脱いでいたり、最初からスケート靴を履いていない人もいるので大変そうでしたが、楽しそうでした。

その後リンクサイドに再び戻ってきたのをしばらく見ていた後、ホテルまでの帰りの電車が気になったので、私は帰りました。

もうこれで彼のスケートを見ることはできないのだと思うと、とても複雑な気持ちが渦巻いていて、今日になっても気持ちの整理は完全についていませんが、行って良かったとだけは言えます。
彼の最後の素晴らしいスケートが見られ、以前からブログを拝見していた彼の熱心なファンの方にお会いして貴重なものを見せて頂くことができ、会場からの帰り途にはプルシェンコファンの方にも親切にして頂きました。

最後に、健人君、今まで本当にありがとう!!!!!
ずっとあなたのスケートを忘れません。