
日本映画チャンネルで象の背中を観ました。48歳、中堅不動産会社部長、藤山幸弘(役所広司)は肺がんで余命半年と宣告されるのです。逃れられようのない半年後の死。男は残りの半年をどう生きたのでしょうか。
原作者の秋元康さんが伝えたかったことは、死とは向き合うものなのか、風に花が散るように去っていくのがいいのかということです。
人はどうやって死んでいくのだろう。
かけがえのない妻がいて、愛する愛人がいて、女性にとっては虫のいい話かもしれなくて、それこそ秋元氏にとって理想ではなく妄想の話なのだそうです。
幸弘は兄に「本当は死ぬのが怖い、死にたくない、昔から自分はいくじがなかった」と本音をいいます。
妻にも愛人にも言えない弱さをものの見事に表現しているシーンです。
自分のなかで弱い部分を泣く事によって、破裂しそうな強がりを解放してあげることが必要なのです。
主人公のように人生の蹉跌を修正ペンで直していこうとする生き方。心のわだかまりをなくそうとあえて本音を伝える勇気。
いろんな面で心の襞に深く入り込んでくる感動の名作でした。