僕の感性

詩、映画、古書、薀蓄などを感性の赴くまま紹介します。

文学忌

2011-11-04 14:57:30 | 文学
自画像に 雲を描き足す 我鬼忌かな

 この句は、今年8月に松山で行われた俳句甲子園で優勝した開成高校の生徒が作った作品である。
研ぎ澄まされた感性と創造力が遺憾なく発揮されていて頼もしい。
我鬼とは芥川龍之介の俳号で、我鬼忌は彼の命日である。河童忌とも言う。

ところで松山といえば正岡子規の故郷である。
彼の命日は糸瓜忌(へちまき)とも言うが、彼の雅号が獺祭書屋主人でもあったので
獺祭忌(だっさいき)とも言われる。

獺(かわうそ)は捕らえた魚を、人間が先祖を祭る時の供物のように並べるので
獺祭魚という言葉が、書物を多く紐解き座右に並べて詩文を作ることという意味になり、好書家、考証癖などのたとえにも用いられる。

太宰治の「桜桃忌」は6月19日、梶井基次郎の命日3月24日は、彼の代表作から「檸檬忌」と称される。

読書の秋、いにしえの書物を紐解き、文豪たちに思いを馳せる。