僕の感性

詩、映画、古書、薀蓄などを感性の赴くまま紹介します。

執筆家藤村

2009-03-22 22:20:32 | Weblog


島崎藤村は25歳のときに出した『若菜集』などで、詩人としての地位を確立しました。だけどその生活はあいかわらず貧しかったのです。藤村は結婚して、すぐに3人の子持ちとなりました。
小説を書くようになった藤村は1906年、代表作となる「破戒」を自費出版します。差別を扱った衝撃の大作は、大きな反響を呼びました。
しかし、その執筆の犠牲はとても大きなものだったのです。
極貧の中で書き続けたため、三女、次女、長女の順にこども3人ともが栄養失調で倒れて死亡してしまいます。挙句の果てには妻の冬子も目を悪くし、死亡してしまいます。「破戒」の執筆に集中し、家計を切り詰めた結果の悲劇です。
作家の志賀直哉は腹を立てて藤村を批判しました。
「小説の完成が三人の娘の死に値するか」
藤村は、小説のためには家族を犠牲にすることも厭わなかったのです。

アンビヴァレント(ambivalent)

2009-03-22 20:33:41 | Weblog
渡辺淳一の作品に「二律相反」という言葉が出てきました。その後に、「アンビヴァレント」とでてきたので、たぶん「二律背反」の間違えではないかと思います。

アンビヴァレントとは、ひとつの物事に対して、相反する価値が存し葛藤する状態のことです。
二律背反とは「互いに矛盾する二つの命題が同時の権利で主張されること」の意味になります。
「田舎は自然が美しく観光地も多く、人情味が厚く自慢だが、結婚適齢期をすぎると親や周りがあれこれうるさい!田舎を自慢していたがいつのまに田舎が嫌いになる。」
こんな状態を二律背反、アンビヴァレントと言います。