僕の感性

詩、映画、古書、薀蓄などを感性の赴くまま紹介します。

中原中也という人

2009-03-25 23:50:25 | Weblog
夭逝した詩人、中原中也は、詩人らしく、内向的で研ぎ澄まされた心の持主でした。
晩年、精神に変調をきたしたが、その原因は愛児の死でした。
昭和9年に誕生した長男の文也を、中也は、目の中に入れても痛くないほど溺愛していました。ことに、中也は、子どもの言葉で詩を書くという試みに挑戦していたので、文也は、息子であると同時に、自分の分身のようなものでした。
昭和11年11月、文也が小児結核で亡くなったときには、悲しみにうちひしがれました。葬儀の時には、文也の遺体を抱きかかえて、なかなか棺に入れさせようとしませんでした。
文也の死後、中也には、葬式についての近所の人の悪口や巡査の足音など、幻聴が聞こえるようになり、夫人と母親が心配して、神経科の病院に入院させました。
ただノイローゼの範囲内であったらしく、2月には退院できました。しかし、その年の10月、愛児の後を追うように、結核性脳膜炎で亡くなったのです。