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図AとBを見比べたとき、赤の部分はAのほうは朱に見えますが、Bのほうは赤紫色に見え、色がまったく違うように感じます。
実際は同じ色なのですが、そういわれてみてあらためて見直しても、やはり同じ色には見えません。
ところがAの右端の赤い長方形と、Bの左端の赤い長方形を比べてみると、ほとんど同じ色に見えます。
つぎに、Bの左端の上の赤い長方形をしばらく見てから、となりの左から二番目の赤を同時に見ると、二つの赤い長方形はほぼ同じ色に見え、赤紫でなく主に近い色に見えます。
またつぎに、左から二つの赤い長方形を見ながら同時に三番目の赤い長方形を見ると、これも赤紫ではなく、朱に近い赤に見えます。
こうして赤の部分を見る範囲を右に広げていくと、赤い部分は全体として青紫ではなく、やや朱に近い赤に見えます。
最初に見たときの赤紫色にくらべると、、鮮やかな赤に見えるのですが、これは順応によるものではありません。
順応というのはカラー写真などを、しばらく見続けると色の鮮やかさがだんだん失われてくるように感じるものですが、これは映像の処理の過程が疲労によって弱まるためだと説明されているようです。
赤の長方形を左から順に注視していくという過程は、注意を赤に集中していく過程で、赤に注意が集中された結果、まわりの色からの干渉が弱められた結果です。
赤に注意を集中する方法としては、B図が赤と黄色の横縞の地の上に、青い棒が乗っていると考えて、青い棒の下にある赤の横縞を見ようとするという方法があります。
青い棒の奥に赤い横縞があるという風に意識してみると、赤に注意が向き青の色の永久が少なくなって、紫がかって見えていた赤が、朱に近い赤に見えるようになるのです。
このような現象は、黄色の場合についてもおきます。
何気なく見たときはBの黄色部分は青みがかって見え、A図の鮮やかな黄色に比べるとずいぶんくすんで見えます。
ところが赤の場合と同じように、黄色部分に注意を集中して見ると、黄色の部分は鮮やかな黄色に見えるようになります。
とくに横に三本ある黄色の真ん中の帯に注意を向けて見ると、上下の黄色い帯も目に入り、それにつれて黄色の帯全体が鮮やかな黄色に見えるようになります。
AでもBでも小さな赤の長方形は、青と黄色に囲まれているのですが、Aでは青よりも黄色に接する面が多く、Bでは青に接する面が多くなっていて、接する面の大きい色の影響を多く受けて見え方が変化しているのです。
接している面による影響を少なくするために、注意を集中したり、見るときの意識を変えれば、本来の色に近づいて見えるのです。
何気なく見たときは「見える」という現象で、錯視が起こりやすいのですが、意識的に注意を集中すると本来の見え方になるときもあるのです。
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