
瀬戸内寂聴さんが亡くなって以降、彼女の後半生をモデルに書かれた本小説があちらこちらで推薦されている。
予備知識もなく読み始める。とにかく登場人物が少ないので読みやすい。
瀬戸内寂聴さんを想像しながら読めるのもいい。
主な登場人物は3人ー 人気作家・長内みはる(瀬戸内寂聴がモデル)、戦後派を代表する気鋭の作家・白木篤郎、そして白木の妻・笙子。
1966年春、長内みはるは徳島への講演旅行をきっかけに、白木篤郎と男女の仲になる。
一方、白木の妻・笙子は2人の繰り返される情事に気づきながらも心を乱さず、平穏な夫婦生活を保っている。
本書はみはると笙子の視点から交互に語られる。
とりわけ白木の妻・笙子の視点、その心理描写が興味深い。白木という男は、みはる以外にも女性との付き合いが多く、それを妻にも堂々とほのめかすのだが。この妻は一切取り乱すことなく、いつも通りに白木の原稿を清書し、2人の娘の世話をしながら。白木の好物のタンシチューや、時には水餃子を皮から作るなどして客にふるまう。
恥ずかしながら、井上荒野の小説を初めて読んだ。てっきり、井上「こうや」さんかと思ったら、違った。
なんだ「あらの」さんか~ としばらくは井上「あらの」で納得していた。
今回よく目を凝らすと「あれの」さんだった。あれま〜!
(言い訳: やはり3年、日本にいなかったのは大きい)
次に驚いたのが、井上荒野さんが白木のモデルとなった作家・井上光晴(故人)の娘だということ。笙子は井上荒野さんの母である。
井上荒野さんは本書を書くにあたり、父の浮気相手だった瀬戸内寂聴さんのもとに何度も足を運んでいる。
笙子が夫の度が過ぎるほどの女性関係にも冷静でいられる、ある意味完璧な女性に描かれているのも、自分の母を擁護あるいは美化したい気持ちがあったからではないか?
と、つい昨日(本書を読んだ)友人と話していたところだ。
映画化も決まったらしい。さて誰がやるんだろう?
思いつくところでは・・・みはるは寺島しのぶ(寂聴さんのお顔からすると彫りの深い美人はNG)。
笙子は吉田羊。
して、白木は?
田中泯さん。いやぁ、彼がもう少し若ければね。昨日「あさイチ」で見かけたせいか。
大杉漣さん。すでにおられません(涙)。
野村萬斎あたりはどうでしょ? でもきっと本職(狂言)でお忙しいでしょうから、断られるのを見込んで・・・
滝藤賢一なら手堅いところか。集客が見込めないってか?(もうちょい若ければ玉置浩二。あと辻仁成なんてのもありか)
(井上光春→井上光晴だと思います。)
瀬戸内寂聴さんご自身はきっと、どんな人生を生きたか、どんな人だったかに興味を持たれるよりも、著書、それも小説の作品を読んでくれて、作家として評価してくれるのが一番うれしいだろうなあと想像しています。
と言いながら、私もあんまり読んだことがないです。
ご指摘ありがとうございます。光晴と書いたつもりが、うっかり見逃してました、、。
寂聴さんはあのお歳まで頭がしっかりされて執筆を続けておられたのはすごいことだな~と。好奇心旺盛で若いお友だちも多かったみたいですしね。
おっしゃる通り! ボクも寂聴作品はなかなか手が出ずにいますが、機会があれば読んでみたいです。