今年3月、NHKのラジオドラマ「昼も夜も彷徨え」で舞台俳優・成河(ソンハ)の声に魅了されて以来、いつの日か... いや、すぐにでも彼の舞台を見たいと思った。ネットでみると、ちょうど京都で終わったばかりの主演作(木ノ下歌舞伎、共演:石橋静河)をはじめ、「ラビットホール」「桜の園」など今年だけでも複数の出演作があることがわかった。
さすがは旬の役者だな。但し、どれも殆ど東京。やはり気楽に行ける近場(関西)がいいな。しかし舞台の地方公演は上演回数が少ないため、チケット争奪戦が必至だ。気合いを入れて先行予約(4月初旬)の朝10時にネットで予約。ふしぎなことにすでに1階席前方はほぼ売り切れ。はぁ~ 関係者が多いんやろか...。
なんと、成河は馬の役。ひひーん!といなないてました。
ラジオドラマの感動から、すでに4か月。「あの盛り上がりはなんだったの?」当方すっかり冷めていて、暑いなか出かけるの面倒やな~とまで思ったほど。
お花は別所さん宛のが1個だけ。6月から世田谷パブリックで2週間以上やったあとだからね~
女性が多いな~ 若い人はみかけません、、。
ボクの席は2階の最前列。
開演後、工事現場みたいな舞台に馬に扮した人たちがぞろぞろと。中央にいる小柄な馬が吊り上げられ、何やらいじめられている。これがどうやら主人公の”まだら馬”、ホルストメール(成河)。血統はいいが、まだら模様に生まれたために邪険に扱われ、あげくは去勢もされる。最初のシーンでは老いさらばえたホルストメールが若い馬たちにいじめられていた。このあたりは少々退屈...。
そして若い頃のできごとを回想、語り始めるー ここから物語が動き出し、俄然おもしろくなる。
成河は期待通りの明瞭なセリフ、歌声、何より巧みな馬の動きはさすがだ。
舞台の詳細は こちらのレビューへ ←舞台写真入りで雰囲気がよくわかる。
原作はロシアの文豪トルストイ。かなり前にロシアで上演された舞台を今回、演出家の白井晃さんがリメイク。
実は3年前の上演予定がコロナで延期となった。この作品、当時東京五輪開催で浮かれる人々にどこか警笛を鳴らすような意味合いもあったようだ。
印象に残ったセリフがある。物語のなかで不幸に見舞われ、人生を達観したホルストメールが言う、
「あの人はさっき、”私の馬”と言った」
「私の馬、俺の馬、私の女・・・人間はなぜ、相手を自分の所有物にしたがるのだろう?」
「私の水、私の空とは言わないだろう?」。
人間の強欲さを批判したトルストイ。その祖国ロシアがまさに今、”私の領土”を広げようと侵略戦争に勤しんでいるという皮肉な現実。(このレビューも大変興味深い)
印象に残ったセリフがある。物語のなかで不幸に見舞われ、人生を達観したホルストメールが言う、
「あの人はさっき、”私の馬”と言った」
「私の馬、俺の馬、私の女・・・人間はなぜ、相手を自分の所有物にしたがるのだろう?」
「私の水、私の空とは言わないだろう?」。
人間の強欲さを批判したトルストイ。その祖国ロシアがまさに今、”私の領土”を広げようと侵略戦争に勤しんでいるという皮肉な現実。(このレビューも大変興味深い)
上演後はアフタートークがあり、
演出の白井晃さん+メインキャスト4名。(仕切りは女性プロデューサー)
音月さんと小西さんが成河のことを「ソンちゃん」と呼んでいた。彼らは同世代のようだ。「この機会にソンハから⇒ソンバ(馬)に改名したら?」などとからかわられて、場内爆笑。
実はこの成河さん、結構理屈っぽくって喋り出すと止まらないタイプ。ラストのコメントを求められた際、「じゃあ手短に...」と言いつつ「”家に帰るまでが遠足”じゃないけど、演劇はこれからが始まりなんです......」と案の定、長くなり。白井さんに「ほら、また長い」とたしなめられる始末。
上演後も含めて、実におもしろい舞台であった。