死後の世界 ２

これまで臨死体験をした人の中で、死後の世界を見たという人々の報告例は数えきれないほどあるそうです。

実際にテレビでも、よく題材にされていましたよね。

しかし脳の専門家達は、このような事例に関してほとんどを「脳の生み出す錯覚」だと分析しています。

専門家である彼らがまず考えるのが、『脳の錯覚説』です。

「臨死体験の多くは、脳の錯覚として説明ができる」というのが、現在の多くの科学者のスタンスだそうです。

脳は死の直前に、エンドルフィンという物質を放出するそうで、これは死の痛みを和らげる効果がありまが、これが大量に分泌されると、緩和を通り越して快楽を与えるそうです。つまり、麻薬のような働きをし、幻覚を見るのと同じような状態になるというのです。

しかし、昏睡状態だった彼の脳は大脳皮質が腫れ上り、機能していなかったのです。

大脳皮質とは、「言語」や「認識」など、より高度な機能を司る部位で、ここが機能していないと、脳内で起こった事を映像として認識することは不可能なのです。つまり、ここが機能していなかった彼には、幻覚を見る事すら出来ないはずなのです。


これに対し、日本のある教授は「幻覚を見るのは大脳皮質だけではなく、脳の中心部である脳幹でも幻覚を見る可能性がある」と言います。

大脳皮質が言語や認識などを担うのに対し、脳幹はより原始的な機能を司るのです。 呼吸や体温の調節など、私たちが普段、無意識のうちに行っていることは、この脳幹の命令によるもので、いないはずの人がぼんやり見えたりするような幻視などの症状は、脳幹によって引き起こされていると言っています。

ですが、彼の臨死体験は、視覚的にも聴覚的にも非常に鮮明なものでした。 そのため、原始的な脳幹では、複雑な幻覚を作り出すようなことは出来ないと、彼は反論します。


次に考えられるのが『脳の再起動説』というもの。

一時的に機能が停止していた脳が意識を回復する際、それまでの古い記憶が支離滅裂に放出されることがあるそうです。 それが臨死体験をしたと錯覚させているのではないかというのです。 これは、睡眠時に見る夢によく似ているそうです。

しかし、彼は臨死体験中に、家族や友人達5人が自分の寝ているベッドの側で取り囲んでいる姿を見ており、これは脳の再起動説では説明できないと主張します。

彼が見たという5人が、揃って病室にいたのは、昏睡状態になってから6日目のことであり、これは覚醒する12時間以上も前のことだったのです。

でもその時、彼は完全な昏睡状態であり、視覚はもちろん聴覚も働いていないことが確認されているため、この5人を認識し、記憶する事は確実に不可能な状態だったのです。

これでまた、脳の錯覚という説が消えました。

これらの医学的に考えられる可能性を消していった結果、「自分は死後の世界を体験した」と結論付けたのです。


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