月あかりの予感

藤子不二雄、ミュージカル、平原綾香・・・好きなこと、好きなものを気の向くままに綴ります

ちょっとコーヒーブレイク (1)

2006年09月09日 22時27分35秒 | エスパー魔美DVDレビュー
あわてない、あわてない。ひとやすみ、ひとやすみ。

えー、「エスパー魔美」DVD-BOX・上下巻あわせて20枚中、やっと1枚目・計6話のレビューが終了しました(^^);

12月に下巻が発売されるまでに、上巻のレビューを書き上げるのが当面の目標でしたが・・・このペースでは無理っぽいです(笑)。1ヶ月に 1枚のペースを持続できたとしても・・・全部で20ヶ月かかることになりますからね(^^);

まだまだ先が長いので、この先どうなることやら見当もつきませんが、ゆっくりマイペースで書いていこうと思いますので、どうぞ末長くお付き合いくださいませ

レビューを始めることで、「エスパー魔美」を改めて第1話から、それも何を書こうか考えながらですから、1話1話をかなりじっくりと繰り返し観ている訳ですが、テレ朝チャンネルでの放送は本当に漠然とただ観ていただけだったので、今回初めて気が付いた作品の魅力もたくさんあります。今後、そういうところを少しずつでも語っていけたら良いなぁと思っています。

さて今回は、ちょっと一休みということで、この DVD-BOXそのものの良い点、悪い点を挙げてみたいと思います。

まずは良い点・・・何と言っても「エスパー魔美」全話が初のソフト化ということです。数年前からネットで署名運動も行われていました。私も当然署名していたわけですが、なかなかソフト化される見通しが立たないまま数年が経過していました。その間、ファボリTV(現・テレ朝チャンネル)が開局したことで、「シンエイアニメシアター」枠内で「魔美」が全話放送される運びとなり、作品が全く観られないという状況だけは脱することが出来たのですが、やはり同時にソフト化も待ち望まれていました。署名運動開始から7年という年月が経過して、ようやくファンの熱い思いが結実したというのは素晴らしいことでした。良い点は、とにかくこれ・・・初の全話ソフト化という点に尽きます。ただ、逆に言えば・・・それだけなんです(笑)

次に悪い点・・・残念ながら、これが実に多いのですよ(笑)
  • 次回予告が収録されていない(応募が必要な上下巻連動特典で一部だけ収録される模様)※
  • せっかくのDVDなのに、リマスタリングされていない。映像ソースはテレ朝チャンネル放送用と同じ?
  • 上巻予約特典の「トリビュートCD」で、「テレポーテーション~恋の未確認~」をカバーして歌っている声優さん(植田佳奈さん)が、「魔美」とは縁もゆかりもないし、彼女を起用した意味さえわからない・・・というより、私は最近のアニメを観てないから、植田さんって人自体を全然知りません・・・。「この特典を目当てに買う」という選択肢は既に私にはありませんでした。どうせならもっと藤子ファン、魔美ファンが買いたくなるような特典を・・・
  • ・・・と思っていたのに、下巻予約特典も「トリビュートCD」なんですが、さらに意味のわからないことになりそうです(T_T)。「声優の桃井はるこさんをアーティストに迎え『魔美』をイメージした完全オリジナルの新曲を収録」・・・だそうです。一体なんなんでしょう?(笑)(参考
  • 上巻封入特典が「復刻盤ドラマCD」となっていて、どんなものかと楽しみにしていたら・・・何のことはない、今でも普通に買えるCD『エスパー魔美』オリジナル・サウンド・トラック-完全盤- に収録されているものと全くの同内容でした・・・
  • ブックレットって、ただ設定資料画を載せてるだけ(^^); せめて何か解説くらい入れてくれても良いのでは・・・
  • DVDっていうのは、何度も繰り返し観るものだと思うんですが、各発売元のロゴイメージとコーションメッセージを、スキップ出来ない(DVDを停止することさえ出来ない)というのは、一体どういうつもりなんでしょう(^^);
※2006.10.02追記
次回予告に関しては、その後、下巻には収録されることが決定しました。詳しくはこちらをお読みください。

こんな感じだから、さすがに購入すべきかどうか私もギリギリまで迷いました(もちろん中には購入するまでわからなかったこともありますが)。テレ朝チャンネルで放送された分の録画は全話揃ってるんですから、それと全く同じ程度のものを大枚はたいて購入するというのは、やはり勇気のいることでした。

それでも買ってしまったのは、やはり「エスパー魔美」という作品が好きだったことと、「」への期待に他なりません。「次」とは、以前も書いたと思いますが「チンプイ」の DVD-BOX化なんです。

当然「チンプイ」では、次回予告SP扱いの回(テレ朝チャンネル未放送の「宇宙的超一流デザイナー」「エリさまはキョーボー?」)、放送当時と同じオープニング(テレ朝チャンネルで放送されている、「はるか宇宙~」というルルロフ殿下の声が入るバージョンは、放送当時のものとは異なります)の収録をお願いしたいわけですが、はたして・・・

まあ、「エスパー魔美」のDVDを購入したことを後悔しているかといえば、そんなことはありませんよ。リマスタリングされてなくても、少なくとも放送されたものの録画よりは映像も綺麗ですし。それに、こうしてレビューを書く気になったきっかけでもありますし、レビューをきっかけに、より深く作品を研究することも出来ていますし・・・何より「所有欲」だけは満たしてくれます(笑)。

ただ、「トリビュートCD」や封入特典CDに関しては、聴いたのは購入直後の1回のみなんですよ。これほどまで聴く価値を感じない特典CDも珍しいと思います(^^); 植田さんの歌の善し悪しじゃないんです。意味がわかんないから、聴く価値を見いだせないんです。下巻の特典にいたっては、1回すらも聴くかどうか・・・(笑)

今後もし「チンプイ」を出してくれるのであれば、仮に次回予告などの収録が難しいとしてもですよ(それはそれで本当は困りますが・・・)、せめてファンの喜ぶ特典くらいは付けて頂きたいと願っております。それ以前に、発売してくれるかどうかすらも怪しいのですが

・・・ということで、DVD・1枚分 (6話分) のレビューを終えるごとに、今回のような、作品またはDVDにまつわる、とりとめのない話を「コーヒーブレイク」として書かせて頂きます(^^);

エスパー魔美DVDレビュー (6) 名画と鬼ババ

2006年09月09日 20時26分49秒 | エスパー魔美DVDレビュー
スタッフデータ

サブタイトル:名画と鬼ババ
原作:コロコロ文庫(1) 名画(?)と鬼ババの巻
脚本:もとひら了
演出:塚田庄英
絵コンテ:高柳哲司
作画監督:富永貞義
作画監督補:堤 規至
原画:北原プロダクション
長谷川仁/町田由美/野部駿夫/飯田和憲
声の出演:
魔美:横沢啓子高畑:柴本広之
パパ:増岡 弘コンポコ:小粥よう子
立野:矢田 稔可代:北川智絵
秘書:佐藤正治男:小野丈夫
たばこ屋のおばさん:吉田理保子立野の幼年時代:鈴木勝美
地上波放送日:1987年 5月 12日(藤子不二雄ワイド枠内)
関連商品:
(Amazon.co.jp)
コロコロ文庫 エスパー魔美 (1) (小学館)
エスパー魔美 DVD-BOX 上巻 (ジェネオン エンタテインメント)
※お願い: スタッフデータに誤りがある場合は、コメント欄でご指摘ください。

みどころ

なるべくストーリーは書かないようにしていますが多少のネタバレはあります

このエピソードは、原作の重要な改変があります。

原作の高畑は、この話の時点で、まだ魔美がエスパーであることを知りません。アニメの高畑は、魔美がエスパーであることを知っていて、テレポーテーション・ガンもプレゼントした後の話として描かれています。そのため、原作では必然的に、魔美だけが問題解決に奔走することになりますが、アニメでは高畑もしっかり協力しています。

ちなみに可代役を演じた北川智絵さんは、2年後の映画「ドラミちゃん ミニドラSOS!!!」(「のび太の日本誕生」の併映作)と、その前後のテレビシリーズでミニドラ役を演じています。私はこの映画を、何度も観た記憶があり、なんでかと思ったら、どうやら当時、映画「チンプイ」とカップリングでビデオが発売されたため、それを購入して繰り返し観ていたのが原因のようです。それにしても鬼ババミニドラ・・・やっぱりプロ声優は何でも演じることができますね(^^);

ついでにいうと、この「ミニドラSOS!!!」の主題歌(「ハロー!ドラミちゃん」)を作詞したのが「Jupiter」の吉元由美さんだったりします。吉元さんは他にも「キテレツ大百科」「モジャ公」などの主題歌も手がけていて、あーや(平原綾香さん)と藤子アニメのリンクがこんなところに・・・って遠いリンクだなぁ(^^);

閑話休題・・・話が脱線しすぎ(笑)

今回の実質的な作画監督は富永さんだと思われます。

物語は、魔美パパの個展のため、高畑がつゆくさ画廊を訪ねてくるところから始まります。高畑はオフの日くらい普段着で良いと思いますが、何故か学生服で(笑)。つゆくさ画廊は、魔美パパがよく個展を開いている画廊で、ファンサイトMAMI WEBさんのイラスト投稿展示ページも、この名前から来ています。勝手にリンクしてごめんなさい(^^);

当然のごとく、魔美の絵も展示してあるわけで、それを見て高畑は例によって赤面硬直。魔美は例によって平気な顔(笑)。逃げようとする高畑をつかまえて「真面目に見てくれなきゃ、一生懸命描いたパパに失礼でしょ!」と、高畑に見せつけようとまでする魔美。だって芸術ですもの。

赤面した高畑を見て「風邪」だと思いこんだ魔美は、高畑の口に薬を放り込みます。先に何の薬か確かめれば良いのに・・・これは風邪薬ではありません。下剤です(笑)。魔美・・・ひどすぎ(^^);
(C) 藤子プロ/シンエイ動画・小学館

このシーン、原作では「1回1錠1日3回」の薬を「1回3錠」と間違えたと、これはこれで十分ひどいのですが(笑)、高畑はショックで(?)、すぐに帰ってしまいます。でもアニメの高畑は魔美と行動をともにするわけですから、帰らせない=トイレへ駆け込み絵の売れたことを言えないようにするための変更でしょう。高畑には災難だけど(笑)

さて、細かい筋書きははしょりますが、長野県の神里村で描かれたという1枚の絵を、高畑と魔美がそれぞれ別人に売ってしまいます。1人は立野正夫(原作では立野正治)、もう1人が「鬼ババ」こと狭間可代(原作では特に名前なし)です。

どうすれば良いかと相談された魔美パパは「やはり先着順だろうねぇ」と一言。可代の方に諦めてもらうべく、魔美と高畑が交渉に出向くことに・・・。魔美パパってば、仮にも中学生に、本当ならそんな大事なことを任せちゃいけません(^^);

可代の経営する会社「ハザマ・ローン」は金融・・・早くいえば金貸し。例によって例のごとく町工場のおじさん延滞しちゃって、差し押さえ寸前で、あと1ヶ月待ってくれれば返済出来るって陳情中。気持ちわかるなぁ・・・痛いほどわかる(笑)。でも当然、待ってはくれないのでした。まさにナニワ金融道。ナニワじゃないけど(笑)
(C) 藤子プロ/シンエイ動画・小学館

可代には代わりの絵を見てもらうことにします。「これなんか、傑作だと思いますけど」と、自分が描かれた絵を勧める魔美は、よほど自分のプロポーションに自信があるのか・・・いやいや、もちろんパパの絵の方に自信があるのでした。だって芸術ですもの。

そんなの、もちろん金融屋・可代に通じるはずもなく(笑)。

「あのね、あたしゃこう見えても女なのよ女が女の裸見て何が面白いのさ男性ヌードなら買っても良いけどさ!ふはははは!!」
「まあ!あなたは芸術ってものを・・・悪いけどお断りします!あなたなんかに、ラクガキ1枚、売るもんですか!」
おだまり!!法的手段に訴えてでも、あの絵は、もぎ取ってやるからね!!」

いきなり大喧嘩になるのでありました。
(C) 藤子プロ/シンエイ動画・小学館

仕方がないので立野の方に頼むことにした二人。でも、立野もあの絵には並々ならぬ思い入れがあるらしく、頑として聞き入れてはくれません。

それはならん!たとえ口約束でも先約は先約ですぞ!」
「なんとかお願い出来ませんか?」
「できれば・・・ほかの絵を・・・」
「わたしはあの絵が欲しいのだ。あの山、あの家、あの青桐の木・・・あの絵でなければ絶対に駄目だ!」

原作では困り果てた魔美が「グスン・・・」と泣き出して、困った優しい立野は、可代に直接交渉すると言ってくれるのですが、アニメでは高畑がいますから、一旦このときの交渉はここで終了。

「すぐに絵を渡さなくちゃならないわけじゃないから、もうしばらく考えてみようよ」
という高畑の言葉で泣かずに済み、一旦家に帰ることにした魔美。すると、可代が「話はついた」と魔美パパに嘘をつき、既に例の絵を持って帰ってしまったことが判明。魔美はびっくり。ベッドに入ると沸々と怒りが・・・

「やり方が汚いわ!パパの絵が、これからずうっと、あんな鬼ババみたいな人の手元にあるかと思うと・・・エスパーおマミが、このまま引っ込んでられますか!」

原作の魔美は、コンポコを連れて夜の町を走りますが、アニメは既にテレポート・ガンを持ってますから、パパッとテレポート。
(C) 藤子プロ/シンエイ動画・小学館

なお、原作でコンポコを連れて行くのは、飛び掛からせて社長室にテレポートするためなんですが、テレポート・ガンを持っているアニメ版では、この時点ではコンポコの意味なし(^^); ところがコンポコを同行させている=可代が見ていることは、後の第8話で重要な意味を持つのでした。(もしかしたら、絵を取りに来たときにも、コンポコの姿は見ているかもしれませんけど)

※9/10追記
あー・・・ここ、完全に勘違いしてました(^^);
可代が絵を取りに行った先は、あくまで「つゆくさ画廊」なんですよね。魔美の自宅に取りに来た訳じゃないんですね。だからコンポコを連れて行って姿を見せておかないとつじつまが合わなくなるんです。失礼しました(m_ _m)

高畑の方は、魔美を安心させて家に帰した後、もう一度立野の方に一人で交渉に赴きます。こっちのシーンはアニメオリジナル。高畑は、立野に「あの子は君の恋人かね?」などと訊かれて、またドギマギする羽目に陥るのですが(笑)、「わしも君くらいの年の時に好きな女の子がおってな。可代という名前じゃった」と、このお話の核心に触れ始めます。
(C) 藤子プロ/シンエイ動画・小学館

この時点で視聴者は、ハザマ・ローンの社長の名前を聞いてはいません。1カットだけ映る領収書の宛名を見ていれば、目ざとい人は気付くでしょう。

まあ、ネタバレしなきゃレビューが進められませんので書きますが、つまりこの可代が立野の「好きな女の子」だったということです。2人がそれぞれの口から語る思い出話が共通していて、視聴者は話を聞くうち、次第にわかるという構成になっています。原作では立野側が思い出を語ることはありません。

かわいい寝顔です(笑)。鬼の目にも・・・(略)
このとき魔美は、情景が自分の目に映る視覚的なテレパシーを感じています。原作では思考波すら感じていない段階で、こんなに高度な超能力を既に無意識に使ってしまっています。旧ソ連とかで真剣にテレパスの軍事目的の研究をしていた方々なんかは、ビックリするような超能力者ぶりです(笑)。

アニメの回想シーンでは「正ちゃん」を「まさちゃん」と呼んでいます。これは立野の名前が「正夫」だからでしょう。原作では「しょうちゃん」です。「正治」で「まさはる」とも読めますが、「しょうじ」とルビが振ってあります。どういう理由でアニメ化の際に名前を変えたのかは不明です。

原作では「一口でいえば地獄だよ」という可代の台詞はあるものの、具体的にどんな「地獄」だったのかは言及されていません。アニメではそれが「戦争」をきっかけに生み出されたものとされています。立野は戦地に召集され、可代とはそれきり離ればなれ・・・というストーリーになっています。
(C) 藤子プロ/シンエイ動画・小学館

「今では資産も何億あるか・・・欲しいものは何だって手に入れられる・・・でも・・・昔のあの日は買えやしない・・・」

可代は今では「鬼ババ」と呼ばれる金融屋をやっているわけですが、それには地獄の底からはい上がるため、血のにじむような思いでお金を貯めてきたという過去があったのです。

立野と高畑も話し続けます。立野は言います。

「不思議だ・・・あの絵の中の可代の家は、まるで人が住んでいるように綺麗じゃった・・・そんなはずはないのに・・・」
「それはきっと・・・佐倉さんが絵の中で、温かい家に甦らせたんですよ」
「なるほど・・・あの絵は確かに名画じゃよ」
「ぼくもそう思います!」

物語は、まもなく可代と立野が再会するであろうということを匂わせて終わっています。この余韻がたまらなく良いんです。

正直なところアニメ版では、少し補足しすぎな感じを受けなくもありませんが、この長い全120話の物語において、魔美は高畑と一緒に事件を解決していくというのが、ストーリー全体の骨子となっています。アニメ版で、その第1歩となったのがこの作品で、2人の今後の活躍を暗示する上でも、高畑と協力して解決していくという展開が必要だったのかもしれません。

そして、後に何度も登場する魔美の素敵な超能力・・・離ればなれになっていた人と人を結びつけるということの嚆矢となったのも、今回のお話なのです。

すっかり「鬼ババ」ではなくなった可代は、この後の第8話で再び登場します。

のび太の宇宙開拓史

2006年09月09日 16時04分13秒 | 藤子不二雄
ずーっと前に買ったビデオを、かなり久しぶりに観ました。

私はこの作品は大好きだと思っていましたが、どうやら映画の方はあまりきちんと観ていなかったようです。好きだというのは原作の印象が強かったんだと思います。あちこちで「あれ?」と思うシーンがありました。

たとえばギラーミンが、随分あっさりやられてしまったり・・・あのカッコイイ、のび太との対決の印象は、原作だけのものだったのか(^^);

あとビックリしたのが、エンディングで流れる曲が何故か「ポケットの中に」だということ・・・てっきり「心をゆらして」だと思いこんでいましたが、あれは挿入歌だったんですね・・・

「魔界大冒険」「宇宙小戦争」「鉄人兵団」「竜の騎士」「日本誕生」あたりは、何度も繰り返し観た記憶があるのですが、初期作品は意外に観た回数が少なかったんですね・・・いかんいかん(^^);

ちょっと前にやってた「ドラクエ5」の、息子と娘の名前は「ロップル」と「クレム」でした(笑)
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問題はカニ缶・・・いや価値観

2006年09月09日 05時17分00秒 | 藤子不二雄
昨日はネットに接続出来ず、ろくに記事も書けなかったんですが、アクセスが300件を超えていまして、なんで?と思いましたら、例の視聴率200%男さんのブログのコメント欄から、知らない間にリンクが張られちゃってました(^^); こちらからのアクセスが多かったようです。

先日の記事では、私もつい感情的に書いてしまいまして、お恥ずかしい限りです。私はこの安達さんって人のことを知りません。つい彼を「『俺は視聴率なんて思いのままに操れるんだぁ』などと豪語して、変な方向から時代を演出しようとするようなタイプの人」なんて表現してしまいましたが、それは彼のブログをざっと読んで感じた印象であって、本当にそんな人かどうかは全然わかりません。

ただ、彼の(ドラえもん以外の)「功績」を聞いても、一体何がどうすごいのか、私にはさっぱりわかりません。それは私が視聴率というものに、たいして価値を感じていないからだと思います。それは当然です。だって一視聴者である私は「わさドラ」の視聴率が上がろうと下がろうと、直接的には何の影響も受けませんもの。でも、テレ朝の方々から見ればそれは死活問題でしょう。だから、一見畑違いと思われる安達さんに頼み込んでまで、あらゆる姑息な手段を使ってでも視聴率を上げようとしたのでしょう。

それが番組の質よりも視聴率さえ良ければ・・・という、視聴率至上主義につながり、それがさらに進むとモラルハザードを起こしてしまいます。実際に某局で視聴率不正操作問題なんてことがありましたね。

今はまだ、テレビ(地上波)がメディアの王様という地位を確立している状況に変化はないでしょうが、この先10年、20年と、テレビが同じ座に君臨出来るとは思えません。前述の視聴率不正操作問題では、視聴率なんてお金で「買おうと思えば買える」ということを、国民(スポンサーも含めて)は知ってしまったわけですから、この先はCMを出す企業だって、今までのようにテレビというメディアが大上段に構えて高い広告料(しかも、視聴率を唯一の拠り所として算出される金額)を提示する限りは、減ることはあっても増えることはないと思います。

結局、突き詰めて考えれば、視聴率を上げようとするのは、より高い広告料で、より多くのスポンサーについてもらうためですよね。その前提が崩れつつある現在、作品の質を歪めてまで視聴率を取ろうとすることを繰り返していると、いつかどこかで必ず破綻すると思います。

かつて、「良い作品を無料で観られるのが当たり前」という時代は、確かにありました。映画だってアニメだってドラマだって、地上波は無料で放送していました。その代わりCMが流れていました。それが当たり前でした。90年代、このCMが気に入らない、お金を払うからCMを流すな、もっとたくさん映画を放送しろ、映画をカットするな、という新たな「価値観」があらわれて、民間による有料放送が始まりました。日本でその先陣を切ったのがWOWOWでした。そしてチャンネルがさらに細分化、専門化したスカパー!など(CS)が出てきて、本格的に多チャンネル時代に入りました。今ではネット放送なんかも普及しつつあります。個人でも発信出来るポッドキャストもありますし、放送という枠組みから外れて考えれば、このブログだって立派なメディアです(「マスメディア」ではありませんが)。

広告収入による無料放送と、視聴料収入による有料放送。どっちが正しいのかわかりません。確かにタダで何でも観られるのは便利だしメリットは大きいでしょう。でも視聴率のために質が歪められることもあるのです。それを避ける人々は有料放送という選択肢もあるのが今の時代です。そりゃ、視聴率不正操作は極端な例としても、スポーツ新聞に煽らせるだの、Yahooも巻き込むだの、いたずらに話題性を集めまくって子どもをそっちのけにするなど、ありとあらゆる手段で視聴率を取らなきゃ、地上波テレビ局は潰れてしまうと必死になるんでしょう。

これは何も安達さんだけの責任ではありません。やらせたプロデューサーも同罪です。でも私や、私の考えに共感してくださる方々から見れば、彼らのやった一連のことは「」であっても、もし本当に視聴率が上がったら、テレビ局など制作サイドから見れば「」なんですから・・・全く難しいところです。

私が面白いなと思ったのは、私と安達さんの価値観が、まさに180度違う点です。
安達さんは、ブログの「九州青春銀行」っていう記事で、次のように書いておられます。(斜体部分は引用)

「いかに生きるかではなく、なぜ生きるか」

今の仕事をやっていて
どうやったらもっとギャラが稼げるか
どうやったらもっと成果が現れるか
‥‥「いかに生きるか」を考えるのではなく

なぜこの仕事をやっているのか
この仕事をやることでの使命はなんなのか
‥‥「なぜ生きるか」を考えること

う~ん忘れかけていた何かを思い出させてくれる言葉です

以前、私が書いてたことと全くの正反対なのが、なんだか笑えました(^^);
そもそも「どうやったらもっとギャラが稼げるか、どうやったらもっと成果が現れるか」といったことを「いかに生きるか」の例として挙げている点からも、私とは考え方が違う人なんだなぁと思います。

私が言いたいのは、決してどっちが正しいとかではないんですよ。私も間違ってるとは思いませんが、だからと言って彼が間違ってるとも思いません。だって考え方は人それぞれでしょう。

ただ、私個人は、上のリンク先の記事でも書いている、音楽座ミュージカル「アイ・ラブ・坊っちゃん」での漱石の台詞や、あーや(平原綾香さん)の言葉や宇宙観の方に近い考えを持っているので、安達さんとは感銘を受けるベクトルが全く逆なんだなぁということを、改めて感じたということです。たぶん、F先生も私の方と近い考え方だったんじゃないかなと、勝手に思ってしまったり(^^);

私が感じている「ドラえもん」に対する価値観と、安達さんが感じているそれとは、やっぱり同じように異なっているのでしょう。

安達さんの視聴率アップのためのさまざまな作戦に対して、私が感じる不快感っていうのも、もしかすると、こういう価値観の相違が端を発しているのかもしれませんね。

(9/9夕方追記)
もしかすると、今回のタイトルの元ネタをご存じない方がいるかもしれないので、念のため補足しておきます(^^); これは「エスパー魔美」の中のエピソードのサブタイトルから取っています。価値観という言葉を聞いた魔美が「カニ缶」と最後まで思いこんでいる(笑)お話です。私は小学生のとき、このお話で初めて「価値観」という言葉を知りました。まあ、藤子ファンには常識だと思いますが、ご存じない方は「カニ缶?なんのこっちゃ」と思われるかもしれませんので(^^);

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