「夕凪の街 桜の国」などで知られる漫画家・こうの史代先生が挿絵を描いておられるということで、前から少し気になってはいたんですが、例によってアマゾンでこうの先生の新刊を探してたら、このお話が2巻まで出ていたので、ちょっと買ってみることにしました。仮に自分に合わなくても、こうの先生の絵は大好きだし、まぁ、良いかなと軽い気持ちで・・・
そしたらこれが結構面白くて、今朝届いたんですけど、さっき布団の中で第1巻を一気に読了しました。児童文学の新作を読むなんて久しぶりです。もしかしたら中学生のとき以来かもしれません。
主人公の菜奈は自称「天下無敵のお嬢さま」。彼女は小学6年生。中国武術をたしなんでいるお金持ちのお嬢さんという設定で、物語は彼女が語り手となって進むのですが、終始お嬢さま口調でありながらも活発な女の子で、どこか憎めないキャラクターが魅力的です。
美少年好きな(笑)菜奈が、ハンサムな男の子と勘違い(このあたりの展開は少女漫画っぽいかも)して知り合った、のちに親友となる芽衣、そして芽衣のおば・通称「メリーさん」を中心に物語は展開します。「ゆうれい屋敷」と呼ばれている、けやきの木がある古い家に引っ越してきた芽衣とメリーさん。この家は菜奈によって「けやき御殿」と命名されます。けやき御殿を中心として、菜奈のいとこ・綾香(偶然あーやと同じ名前)の誘拐事件を解決していくのが、この第1巻の物語の中心になっています。
どうやら芽衣には何か秘密が隠されていそうです。事故に遭って意識不明のままになっている芽衣のお母さんのエピソードなど、少し不思議な要素も盛り込まれています。子どもならでは「良い子」でいなくてはならないというプレッシャーに対する悩みや葛藤、かつて子どもだった大人たちへの柔らかな視線などもあって、純粋にほのぼのとした読後感を味わうことが出来ました。
また、こうの先生の絵が作品にマッチしていて良いんです。こうの先生といえば「夕凪の街 桜の国」があまりにも有名で、基本的には大人向けの作品が多い人ですが、「こっこさん」というファミリー向けの名作もあります(以前、こちらで取り上げました)。温かみのある絵柄が児童向けのこの作品にもマッチしていて、この絵のままアニメ化しても面白いんじゃないかなと思いました(ただ、こうの先生の絵柄は、一枚絵としての魅力に溢れた画風ですから、この絵柄でアニメとして動くというイメージは、ちょっと今のところ掴みにくいかも)。
作者の濱野京子さんは、これがデビュー作なのだそうです。プロフィールによれば、1956年生まれと、私の母より少し若いくらいの年齢の方なんですが、1999年に毎日児童小説コンクールで優秀賞、2002年に同じく最優秀賞を取っています。50歳でデビュー作というのは、細々と小説を書く勉強をしている私にとっては希望の星です(笑)。
最後になりましたが、この本は「フォア文庫」として出ています。フォア文庫とは、岩崎書店、金の星社、童心社、理論社の4つの出版社が、子どもたちのための優れた本をという理念の元、協力出版して出している児童書のブランドです。私が小学生の頃、学校の図書室やクラスの書棚に、このフォア文庫がたくさん置いてあって、片っ端から読んでいました。基本的に漫画好きな子どもではありましたが、子ども向けの小説なども、このフォア文庫で度々読んでいました。今は内容はほとんど忘れてしまったものの「かぎばあさん」シリーズが好きだった覚えがありますし、「ガラスのうさぎ」という戦争の物語も読みました。他にも宮沢賢治などの名作もフォア文庫化されていて、このシリーズで読んでいた気がします。今もこのシリーズが続いていて、21世紀の子どもたちにも読み継がれていることは、とても嬉しく思います。
※この日、一緒に買った志村貴子「青い花」(1) と二ノ宮知子「のだめカンタービレ」(1) も到着しました。「のだめ・・・」は最近の人気作品なので、ちょっと読んでみようかなと・・・。ドラマ等は全く知りません。まだ全然読んでないので、もし面白かったら何か書きます。いや、もし書かなくても面白くなかったとは限りません(^^);
そしたらこれが結構面白くて、今朝届いたんですけど、さっき布団の中で第1巻を一気に読了しました。児童文学の新作を読むなんて久しぶりです。もしかしたら中学生のとき以来かもしれません。
主人公の菜奈は自称「天下無敵のお嬢さま」。彼女は小学6年生。中国武術をたしなんでいるお金持ちのお嬢さんという設定で、物語は彼女が語り手となって進むのですが、終始お嬢さま口調でありながらも活発な女の子で、どこか憎めないキャラクターが魅力的です。
美少年好きな(笑)菜奈が、ハンサムな男の子と勘違い(このあたりの展開は少女漫画っぽいかも)して知り合った、のちに親友となる芽衣、そして芽衣のおば・通称「メリーさん」を中心に物語は展開します。「ゆうれい屋敷」と呼ばれている、けやきの木がある古い家に引っ越してきた芽衣とメリーさん。この家は菜奈によって「けやき御殿」と命名されます。けやき御殿を中心として、菜奈のいとこ・綾香(偶然あーやと同じ名前)の誘拐事件を解決していくのが、この第1巻の物語の中心になっています。
どうやら芽衣には何か秘密が隠されていそうです。事故に遭って意識不明のままになっている芽衣のお母さんのエピソードなど、少し不思議な要素も盛り込まれています。子どもならでは「良い子」でいなくてはならないというプレッシャーに対する悩みや葛藤、かつて子どもだった大人たちへの柔らかな視線などもあって、純粋にほのぼのとした読後感を味わうことが出来ました。
また、こうの先生の絵が作品にマッチしていて良いんです。こうの先生といえば「夕凪の街 桜の国」があまりにも有名で、基本的には大人向けの作品が多い人ですが、「こっこさん」というファミリー向けの名作もあります(以前、こちらで取り上げました)。温かみのある絵柄が児童向けのこの作品にもマッチしていて、この絵のままアニメ化しても面白いんじゃないかなと思いました(ただ、こうの先生の絵柄は、一枚絵としての魅力に溢れた画風ですから、この絵柄でアニメとして動くというイメージは、ちょっと今のところ掴みにくいかも)。
作者の濱野京子さんは、これがデビュー作なのだそうです。プロフィールによれば、1956年生まれと、私の母より少し若いくらいの年齢の方なんですが、1999年に毎日児童小説コンクールで優秀賞、2002年に同じく最優秀賞を取っています。50歳でデビュー作というのは、細々と小説を書く勉強をしている私にとっては希望の星です(笑)。
最後になりましたが、この本は「フォア文庫」として出ています。フォア文庫とは、岩崎書店、金の星社、童心社、理論社の4つの出版社が、子どもたちのための優れた本をという理念の元、協力出版して出している児童書のブランドです。私が小学生の頃、学校の図書室やクラスの書棚に、このフォア文庫がたくさん置いてあって、片っ端から読んでいました。基本的に漫画好きな子どもではありましたが、子ども向けの小説なども、このフォア文庫で度々読んでいました。今は内容はほとんど忘れてしまったものの「かぎばあさん」シリーズが好きだった覚えがありますし、「ガラスのうさぎ」という戦争の物語も読みました。他にも宮沢賢治などの名作もフォア文庫化されていて、このシリーズで読んでいた気がします。今もこのシリーズが続いていて、21世紀の子どもたちにも読み継がれていることは、とても嬉しく思います。
作: 濱野京子/画: こうの史代 天下無敵のお嬢さま!〈1〉 けやき御殿のメリーさん 童心社 詳細 |
※この日、一緒に買った志村貴子「青い花」(1) と二ノ宮知子「のだめカンタービレ」(1) も到着しました。「のだめ・・・」は最近の人気作品なので、ちょっと読んでみようかなと・・・。ドラマ等は全く知りません。まだ全然読んでないので、もし面白かったら何か書きます。いや、もし書かなくても面白くなかったとは限りません(^^);