今日の「お気に入り」は、山本夏彦さん(1915-2002)のコラム集から。
「 末端には電気パン焼器があり、頂上には宇宙船がある。原水爆はこの思想、
この系列のピーク(てっぺん)に位する一つである。自動車や飛行機を肯定
し、礼讃して、その絶頂にある原水爆だけを否定し、禁じようとしても、
そうは問屋が卸すかしらん。」
(山本夏彦著「日常茶飯事」所収)
「 出来てしまったものは出来ない昔には戻れない。」
(山本夏彦著「『戦前』という時代」所収)
「 日本人は恩怨ともに忘れる。千年前の怨みを忘れないのはよいことではないが、
すぐ忘れるのもまたよくないのではないか。そして忘れる国民は忘れない国民に
犇々とかこまれているのである。」
(山本夏彦著「世はいかさま」所収)
「 原爆を落された日本人が、原爆のことを知らないのは、実は原爆を持たないから
です。原爆を持つ国は、持っていることによって恐ろしくてたまりません。」
(山本夏彦著「つかぬことを言う」所収)
この地球を何十回破壊しつくしてもまだ余りある程の原水爆が、米国に、ロシアに、
中国に、フランスに、英国に、インドに、パキスタンに、イスラエルに、北朝鮮に、
ひょっとするとどころかその他の国々にもあるとすると、使われないで済む確率は
宝くじにあたる確率ほど低いような気がします。
それが現実のものとなる日まで、全人類枕を高くして眠れること、大地震や大津波と
同じです。