「今日の小さなお気に入り」 - My favourite little things

古今の書物から、心に適う言葉、文章を読み拾い、手帳代わりに、このページに書き写す。出る本は多いが、再読したいものは少い。

一夫一婦 2005・03・17

2005-03-17 07:00:00 | Weblog
 今日の「お気に入り」は、山本夏彦さん(1915-2002)のコラム集から。

 「私は一夫一婦は根本に無理をふくむと見るものである。けれども、細君は一人でたくさんだと思うものである。とりかえたって同じだから、面倒くさいと、別れないでいるものである。きっと、相手も同じであろう。

  (山本夏彦著「日常茶飯事」所収)



 「世間には何度も妻をとりかえる人があるが、あれはくせであるとりかえたって同じことだと知るから私はとりかえないとりかえようと思ったこともない。」

  (山本夏彦著「生きている人と死んだ人」所収)



 「人気ある芸人は百人千人の女と通じるというそんなに通じたら、女を知るものの随一になりそうだが、ならない今も昔も人気者と寝室を共にしたがる女がいて、その同一の女をたくさん知っただけである。」

  (山本夏彦著「笑わぬでもなし」所収)


 「すなわち一人の婦人で全婦人を察することができない男が、百人千人の女に接したって何もわかるわけがない。」

  (山本夏彦著「意地悪は死なず」所収)


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