「今日の小さなお気に入り」 - My favourite little things

古今の書物から、心に適う言葉、文章を読み拾い、手帳代わりに、このページに書き写す。出る本は多いが、再読したいものは少い。

もらい乞食はよしとくれ 2005・03・20

2005-03-20 07:00:00 | Weblog
 今日の「お気に入り」は、山本夏彦さん(1915-2002)のコラム集から。

 「職人と芸術家は区別しがたい職人の上手が芸術家だと思って、たいした間違いはない。」

  (山本夏彦著「変痴気論」所収)


 「個性というものは、生きてあるかぎりあり続けるから、二十年でも三十年でも続いてよさそうだが、その全盛時代はまず三年かと

  私は見ている。」

 「(才能というものは)のぼり坂が三年、のぼりつめて三年、くだり坂が三年、〆て十年続けばいいほうである。」

 「自分が自分をまねするのは、まねの中で情けないものの一つであるが、ながく生きた芸術家のまぬかれぬところである。」

  (山本夏彦著「二流の愉しみ」所収)


 「著作権は以前は三十余年で自然消滅したが、それを五十年に延長せよと、作詞作曲家たちは当局に迫って、のばしてしまった

 歌は自らうたわれることを欲するのに、うたえば二重三重に金をとって、なお不足で五十年にのばすとは図々しい

 この協会はいまに我々が鼻歌をうたっても、かけつけていくらかくれと手を出すようになるに違いない

 『もらい乞食はよしとくれ』と、子供なら言うところだ。」

  (山本夏彦著「毒言独語」所収)
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