肯定的映画評論室・新館

一刀両断!コラムで映画を三枚おろし。

『オール・ザ・キングスメン』、観ました。

2008-01-19 21:15:18 | 映画(あ行)





監督:スティーヴン・ゼイリアン
出演:ショーン・ペン、ジュード・ロー、アンソニー・ホプキンス、ケイト・ウィンスレット

 『オール・ザ・キングスメン』、観ました。
1949年、ルイジアナ州メーソン市。新聞記者のジャックは、役人の汚職を告発して
職を追われた実直な男ウィリーに興味を抱く。やがて汚職が原因の欠陥工事で
大惨事が起こり、ウィリーは一躍注目の存在となる。その人気に目をつけた役人の
後ろ盾を得て、ウィリーはついに知事選への出馬を決意するのだが…。
 ちなみに、これまでオイラが好きになった銀幕のスターたちは、古くはスティーヴ・
マックィーンに始まり、(晩年の)ウィリアム・ホールデン、矢吹丈(あしたのジョー)に
サム・シェパード、その後しばらく空白があって、今はショーン・ペン‥‥(笑)。そんな
彼らに共通するのは、どこか“人生の哀愁”を感じさせ、それでいて一匹狼的な
“反体制の人”が多いみたい(笑)。勿論、本作は、そのショーン・ペンをお目当てに
観始めたわけだが、ただ、今回の彼は“こなれた感じのオーバーアクト”が鼻に付き、
いつもの“らしさ”を感じない。思うに、ショーン・ペンの良さは、孤独と怒り、あるいは、
強さと弱さの両側からアプローチできるところなのに、ここでは“傲慢(ごうまん)さ”
だけが先行した“一本調子で厚みのないキャラクター”になってしまった。むしろ、
本作では、もう一人の主人公、ジュード・ロウの方が“自堕落的な弱さ”を曝け出して、
「理想」と「現実」の狭間で苦しむ元新聞記者を好演。若き日に幼なじみの恋人を
抱けるチャンスがありながら抱こうとしなかった‥‥。相手を愛するがゆえに
大事にしたいという“躊躇(ちゅうちょ)”が、結果として、その愛を壊してしまったのは、
観ていて息が苦しくなった。男と女の違いもあるだろうが、オイラ自身は、過去の
経験から身に染みて(?)よく分かる気がした。
 さて、誤解の無いように言わせてもらうと、オイラは“今回のリメイク版”より先に
“1949製作のオリジナル版(ロバート・ロッセン監督)”を観ていない。しかし、この
リメイク版を観ただけで、オリジナルはさぞや“質の高い映画”だった事がうかがえる。
というのは、要所で語られる台詞のひとつひとつが非常に文学的で味わい深いものが
あるし、“人の心に潜む善悪”が様々な仕掛けをもって印象付けられているのには
感心する。例えば、車のハンドルに吊り掛けられた“クロスのペンダント”や、道路の
両脇に並ぶ“白い十字架の墓”‥‥、それらが“善の心”を示すものだとしたら、
一方で、主人公が知事になった途端、その背後に現れた痩せたボディーガードの
男の正体は“死神”だろう。怒り、嫉妬、妬み、欲望、陰謀、裏切り、復讐‥‥、
邪悪は“人の心の隙”を見つけてはその中に入り込んでくる。そう…その後の主人公が
“他人(ひと)の弱み”に付け込んで“権力”を得たように。思うに、人の心の善悪は、
まるでコインに刻まれた表裏のように、何かの拍子にコロッと180度裏返ってしまう。
それは、(ジャックにとっての)美しい思い出が崩れ、(判事にとっての)築き上げた
信頼が奪われ、(ウィリーにとっての)手に入れた強大な権力が失われようよする
際にも‥‥、全ての物事の崩壊は、その内側に“邪悪”が忍び込んだ時から始まるんだ。






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