『ザ・フォッグ』、観ました。
カリフォルニアの小さな漁港で百年祭を迎えたその夜、100年前に難破した船の
乗組員たちが亡霊となって戻ってきた。 町は“恐怖の霧”に包まれる‥‥。
以前のレビューにも書いたのですが、ボクのパパの妹であるフミヨ叔母さんは
チョ~楽観主義者で大のホラー映画好き(※『ゴースト・シップ』レビュー参照)。
今作はそんなフミヨ叔母さんのために、ボクが自らレンタル屋さんをいくつも
ハシゴして借りてきたホラー映画の一本だ。今はもう遠く…千葉の奥地(?)に
帰ってしまった彼女を思い出し(笑)、今再びこの映画を観る。50歳を過ぎて
なお“独身”。「理想のタイプは『13金』のジェイソンよ」と言い張るフミヨ
叔母さん。早く“そんな理想の彼氏”と巡り会えれば良いのになぁ(笑)。
霧の中に“何か”がいる…、今作の面白さはそこに凝縮されている。この映画を
観るボクたちはその“何か”が100年前の亡霊だとは分かっても、その正体を
最後まで映像として観ることが出来ないのだ。《見せないことの怖さ》‥‥つまり、
観客は見えないからこそ“不安”になり、小さな“想像”が生まれ、大きな
“妄想”へと変わっていく。しかも、映画はその“見えざる敵”を形を持たぬ
「霧」として描き出し、灯台の上から霧の行方を伝えるDJの存在を〈目〉の
役割として‥、一方でDJの指示を受けて行動する男性の存在を〈足〉の役割
として‥、両者の視点から“見えざる恐怖”を掻きたてる。確かに物語としては
古臭い。しかし、描き方ひとつで映画は“無限の広がり”を持っていく。
さすが…、ジョン・カーペンター初期の“隠れた大傑作”だ。