『SHINOBI』、観ました。
江戸時代、人里離れた2つの里には、かつて対立し合っていた忍達が暮していた。
互いに接触を避けている中、それぞれの後継者である弦之介と朧(おぼろ)は、
運命的な恋に落ちるが……。
随分と思い切ったものねと椎名桔平(笑)。役柄とはいえ、あの無茶な(?)
メイクで、映画の表舞台に立たされる心境は、如何なものだったのかい??、
いや、いっそ、そのまま『妖怪大戦争』に出た方がお似合いだったのかも(笑)。
観ながら、笑っていいのか、笑っちゃいけないのか、様々な想いがアタマの中を
駆け巡り、相当に葛藤も繰り返したが、ある瞬間にとうとう吹っ切れた(笑)。
そもそもコイツは“時代考証を正確”にだとか、山田風太郎の“原作に忠実”に
だとかは一切お構いなしで、“深く考えちゃいけない映画”なんだとね(笑)。
そう思えば、オレの肩の力は抜け、途端に心の箍(たが)が外れたように
ゲラゲラゲラと笑い出す。まぁ、最終的にはこれが“おバカ映画”じゃないとは
分かったものの、何とも“異質な香り”が漂う映画ではあったかな(笑)。
さて、映画は、幕府の“戦争兵器”となるためだけに生まれてきた“2つの
SHINOBI”、その両者の生き残りを賭けた戦いを描いている。ただ、ここで
ひとつ注目したいのは、その決闘が“従来の忍者活劇”とは違う、手が伸び、
顔が変幻し、幾度となく生き返る‥、もはやそれを“忍法”というには程遠く、
言わば“超能力”に近いということ。観ながらボクが感じたことは、意せずして
“グロテスクな殺人マシーン”となり、戦うことを余儀なくされた者の悲しみ‥、
つまり、この根幹に流れているテーマがブライアン・シンガーの『X-MEN』に
登場する“新人類(ミュータント)”と同じかもしれないね。戦うための
“化け物”となり、利用され廃棄される彼らに行き場はなく、ただ“自らの
存続”を賭けて戦うのみ‥。そして、最後はあまりに残酷な結末が待ち受ける。
うん、“おバカ映画”なんてとんでもない、深く悲しい作品だ。惜しむらくは、
せめて“メイク”だけでも…、せめて“ヘアスタイル”だけでも…、椎名桔平が
マジメに演ずれば演ずるほど滑稽に見えてしまうのは、きっとオイラだけは
ないと思うのだが(笑)。