ジッタン・メモ

ジッタンは子供や孫からの呼び名。
雑読本の読後感、生活の雑感、昭和家庭史などを織り交ぜて、ぼちぼちと書いて見たい。

〔アキレス腱断裂 日誌〕11月23日~12月2日 退院まで

2006年12月13日 | 身辺雑話
11月24日
 松葉杖を頼りに病院の上下階を歩く練習が始まった。
 駅などの一般の階段と狭い家の構造とは違うが、上り下りの原則を習うことは大事ななことだ。
造影剤での診察となった福田さんは、やはり脊椎の手術が決まったとのこと。
12月26日がオペ、それまでの待機入院となるはずだったが、「いったん家に帰りたい」と医師と話して了解をとり、今日一時退院した。
 オペのあとは再び1か月程度の入院加療となるとこと。
 二人部屋は今日からは1人部屋となる。
 イビキや夜のトイレなど、互いにどうしても気を使った節がある。
 できうれば病室は1人が一番よい。

11月25日
 千葉の先輩、禿堂先生から陶芸作品で寸法の確認電話が入る。
 テニス仲間の中村さんが、バナナ持参で見舞いにやってくる。
あーちゃんが義兄の住んでる佐渡の熟し柿を持って来る。いつもながら、これが美味い。

午前と午後の時間は自主トレとし、片足着地の松葉杖で廊下往復。
リハは昨日と同じ展開。腕の筋トレ、脚の運動、階段の上下実習。
マッサージを受けていたとき車椅子で両脚のトレーニングを受けていたおばあさんが 「痛いよう!痛いッ!」と大声を出し最後には泣き出した。
トレーナーがティッシュを渡すと目にあて泣き続ける。
「足を触っているだけです。痛くない!」と励ますトレーナー、それでも泣く婆さん。
リハ室では珍しい光景だった。

 ラジオ英語講座は朝6時からの45分間、午前11時半からテレビを交えての1時間と時間がとれる。
「寝て一畳」世界のせめてもの特権だ。
 各講座は何回でもフレーズが反復されるので聞き取れ、ノートに書ける。 不明瞭なwordは電子辞書で確認ができ、subtextがないほうが、むしろ理解が早まるかもしれない。

 I医師の回診で、帰宅後の自転車乗りの見通しを聞いてみる。
 十分歩けるようになってからでないと、自転車乗りは脚への負担が重いらしい。
 腕マクラ症候群の時の手との時とは違う。(ブログ既記)
 ギブスの交換は足裏部分をフラットにする。ハイヒール型は不要とのこと。

空手のM館長来る。
カナダでレスリングの選手もやっている弟子が試合練習で、腕を蹴られてT接骨医で診て貰った。
外人だけに治療費など、なにかと面倒なのだが、Tは金を要求しなかったという。
 ちなみにTは私のアキレス腱の時に紹介状を書いてくれた人でもある。
 館長が、今後のアドバイスをくれた。
 リハが済んだあとに急激な運動をすると右側が切れやすくなるから注意しろ。
 空手でもそういうことはよくある。
 念入りなストレッチ、準備運動をしない連中に、再び切るのが多い。
 年齢も互いに考えよう。加齢はじわじわ来ている。
 だからといって、スポーツ復帰をあきらめると、これがまずい。
 弱気になって、ひきこもりがちになる。
 心身が弱り、ポックリと早く逝く男も多いんだ。
 などなど、物騒な励ましをして帰っていった。
 碁仇の佐藤夫妻が来訪。
 彼もまた肝機能の検査でこの間、入院していたという。
 退院後の対局を楽しみに別れる。

11月26日
 朝 
カレースープ ポテトサラダ パン2 牛乳
 昼 
なめこ味噌汁 もやし胡麻和え カレイの煮付け 

土曜、日曜はリハビリ室は休みなので廊下づたいの往復、ベット上で筋トレなどの自主トレとなる。
牛乳を買いに行こうとして「あなたは糖尿なのだから牛乳を買いすぎです」とナースに、たしなめられていた中年の男がいた。

NHKテレビで「将棋の日」のイベント対局を見る。
 続く碁の対局では石田芳夫九段と結城聡九段の対局も見る。
終盤、黒番の結城九段が、一手ばったりの妙手を放って中押し勝ち。 それまでは優劣不明の局面が続いていた、と解説の林海峰さん。
 我々のクラスと違って、プロでは左うちわの勝利というのはない。

Sさんから芋煮会のメールが入ってきた。
 市民農業大学の農園で大鍋を囲んだ。 四天王ならぬ酒天皇3人が世話役の中心となって呼びかけ25人が参加したとのこと。
 牛肉、芋をつついて大盛況だったそうだ。
参加できなかったことが残念。

11月27日
 病院の事務の女性がやってきて請求明細を置いてゆく。
11月15日~11月20日まで
                                     合計 9万9560円
 内訳
手術  20300円
 注射  5570円
 検査   4690円
 入院  32640円
 食事   4160円
 差額ベット25200円

午後、リハビリ。
 退院後の生活をあれこれ想定しての実地トレ。
あーちゃんの長年のWalkingの友であるNさんが、夫妻で見舞いに来られた。
 ご主人も十数年前に少年野球の指導中、ベースランニングでアキレス腱を切断、やはりこの病院で手術を受けたとのこと。
近所のなかの奇しき因縁だ。
 いまや、リタイアのご主人、「独断と偏見で選びました」と「旅の手帖」と「食」の雑誌二冊を差し入れてくれた。

11月28日
朝 
キャベツ味噌汁 あつあげ ポテトサラダ ふりかけ。
 このほか、あーちゃんが持って来てくれた振りゴマ、梅ぼし、ミカンはいつも副食惣菜として 毎食並べている。

 H医師の回診。
ギブス交換をすれば左足の着地は問題ない、とありがたいご宣託を受けた。
先日も来訪してくれたあーちゃんの友人青木さんが、ダイコンの千枚づけ 小魚の甘露煮風を持って来てくれる。感謝。

【囲碁界の真相】石田 章 (河出書房新社)を読む
碁は日本のお家芸であるはずだが、いま国際戦では芳しくない。
 富士通世界囲碁では
88~92年 日本棋士が優勝
93~94年 韓国     
98~02  韓国
となっている。 日本のタイトル戦考慮時間は4~8時間。 国外では3時間でこの持ち時間の差もその要因となっているらしいが、なによりも囲碁の底辺を支えている中国と韓国のアマの熱意と囲碁人口が違ってきていることに原因がありそうだ。
 日本で囲碁棋士として生活をするにはハイリスク、ハイリターンの構造になっている。
プロ棋士になることは、図抜けた知力が要求される世界だ。
 ところがプロ棋士400人中で、年収1000万円以上がわずか17人と少ない。
プロ棋士20位が年収935万円。
 プロスポーツ界と違って、これだけファンが多いにもかかわらず1億円を超える棋士はまだ出現していないのではないか?
 賞金が少ない世界はどうしても魅力が乏しくなるが、この点、韓国、中国ではハイリスク ローリターンの仕組みだそうだ。
 いま韓国の囲碁教室は2000校あり20万人が詰めている。
 院生は韓国300人に対して日本は80人。
 アマ棋力差でも韓日では二目差があるのではないかと著者は指摘。 これら院生が1日10時間盤に向かい10年間生活してゆく。
 日韓の囲碁界の将来図もなんとなく透けて見えてくる。
 国際戦の影響もあって、棋士の考慮時間は3時間。コミ六目半が時代の流れになっているようだ。
 大相撲も囲碁も国技・お家芸の座が各国に奪われはじめている。
 でもその内容の面白さと深さがあって普及が進み国際化しはじめているとも言える。
 将棋の世界は、ゲームの国際普及そのものがはじまったばかりだ。 自分にとって、直接どうということはない棋士の世界なのだけれど、考えさせられた本だった。

11月29日
 待望のギブス交換となった。
左足裏部をフラットにして歩行をしやすくする。
このギブスも退院をはさんで2週間でとれるということだ。
 ただ、ギブスを外してから、右足は左足より絶対に追い越さないようにとの注意を受ける。
本日のリハビリ。
 左足の加重を確かめるため並行棒の間、間に体重計を置いて加重の具合を見る。
 左にも右にも35キロ程度の加重が分散していることがわかる。
歩行は傷めた左足を先ず出して、その位置まで丈夫な右足をそろえる。
右足が左足を追い抜くと無理な動作となって負荷が加えられアキレス腱の再断裂になりやすいとのこと。
この点、 医師もリハビリ指導者も口を酸っぱくしている。
 未成年の恋のように、越えてはいけない一線がここにあるということだ。
 松葉杖ながら左足がつけたということで、直立二足で立てる喜びを知る。
歩けるということは、偉いことだ。
 三点方式の松葉杖歩行とは段違いの安心感がある。

 碁の佐藤さん娘のJ子ちゃんといっしょに、旧友の須藤が栃木からの来訪となった。

11月30日
午後、いつものようにリハビリ室から女性の療法士が迎いにきてくれて松葉杖で1Fのリハビリ室に行く。
いままでとは違う歩きやすさにホッとする。
リハビリはマッサージからはじまって、階段歩行など。

今日の社会面を読んでいたら
「うつ病で自殺」 地裁が労災認定というのに目がとまった。 
 製薬会社の大宮工場で品質管理の係長を務めていた男性が人手がないなか仕事に追われ、責任と負担のストレスから欝となり、手首を切って自殺した。
奥さんが労災を認めなかったさいたま労働基準監督署を相手に訴え、地裁が「発症は、業務によるストレスが有力な一因」として、労基署の処分を取り消すよう命じたというもの。
なぜ労基書は業務起因を認めず、地裁が認めたのか。
業務とのかかわりで相応の理由がなければこの判決はなかったはずだ。
労基書は本来、働く側の味方にならなければ、依って立つ意味はない。
企業側の「不認定」の説明に諾々として印をついただけだったのではないか。
格差社会が進むきびしい労働現場の中の労基書のあり様に、なぜか腹が立ってくるニュースだった。


12月1日
 逝く春に 桜の花が あればよし 
 三波春夫の辞世の句とテレビが伝えていた。佳い句だ。
享年77歳だったとのこと。
 本日から地上波デジタルスタート。

 入院から今日までのメモを眺めると、血圧は下75~80まで、上は110~130までと好調だった。
 家で計測するよりも結果がよかったのはなぜなのか。
 検温は35~36度ちよいのところをいったりきたり。

 M夫妻が再び見舞いに来てくれる。
 Mは卒業した新聞社の同人会に参加した模様を伝えてくれた。
 OB連200人が参加。
 編集局、制作局など各局のメンバーが集まったそうだが、この名簿中の50人とは好く飲んだり、挨拶をしたりする仲であったことがわかった。
同人会の会員数はいま800名を越えるそうだ。
最高齢は90歳を超えるという。

 リハは松葉杖で両足着地の階段上下の練習。
 階段の練習は外出時の駅の階段などには効果がありそう。
 家の階段は、手すり、壁、狭さなど建売住宅の構造から考えても松葉杖は実用的ではなく、両足がつける今は無いほうが歩きやすいのではと思った。


12月2日
本日、土曜日の退院となる。
 午前中、自主トレで廊下を一緒に歩いていた個室のT婆さんと話す。
 古利根川沿いの川魚卸業をしていた人。
 ご主人も亡くなって、腰がいたく歩けなくなって入院したら検査で膵臓付近に大きな腫瘍があることがわかり、こちらが先決となって手術した。
いまは快方に向かったので頃合を見て腰の再治療となるとのこと。
 川魚の卸業は利幅が少ないからダメだとの話。
でもモロコを買いに来る客が「どうしてお宅のはうまいんだろう」と言っていたが水のきれいな群馬から卸しているから美味いんで、休耕田を利用して養殖している地元のモロコとは味が全然違うのさ、などの話を聞く。
リハビリの今後のスケジュール目処を聞く。
週3回、2月の終わり頃までは通うことになりそうだ。
この時期はアキレス腱再断裂の恐れがある時期で、大事な時期にあたるそうだ。
 松葉杖は二本セットで1日200円の貸与代となる。
 退院は娘婿の運転で無事帰宅。
 ひさしぶりに缶ビール1杯を飲む。
やはり、美味い。

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