暮れから容体の悪かった我が家の老犬サチが、まるで息子達の帰りを待っていたかのように彼らが帰るや息を引き取った。
元日の朝早くだった・・・
本当に子供達とともに生きてきたわんこだった。
次男は、とてもやんちゃ坊主でしょっちゅう夫に”出てけ!!”と叱られては”こんな家、出てってやる!!”と飛び出した。
そうっと外覗くと、必ず、サチの傍にいたものだった・・
怖がり屋の次男は、サチがいたから外にいても平気だったと言う。
長男は、脱走しては泥だらけになってそれも、よその人に捕獲されてはもどるサチのことを”どうしてこんなに馬鹿犬なのか情けない・・"と言ってまだ小学生のころおお泣きをしたことがあった。自分の子ながらその言い分に可笑しく思ったものだ。
めちゃんこ人懐っこくけして、人に対して吠えることのない犬だった。
”声が出ないのか?”と実家の親たちは心配したものだった。オートバイと猫には大きな声で吠えていたが、自分の名前もわかっているのかどうか・・まだ小さかった娘は、犬とはこんなものだと思いこんでいたという。
誰がきても喜ぶサチは、私達の知らない人にも可愛がられ新聞配達のおばさんは、夏の暑い頃わざわざサチのために氷を持ってきてくれていた。
オツムは弱いが、愛嬌のあるわんこだった・・
いろんな思い出をありがとう・・
一年の始まりに私達にいろんなことを伝えてくれたような気がしてならない・・
サチはただのわんこ・・自分が柴犬であることも自分がどんなにベッピンさんであることも、どんなにいい性格であることも知らず、ただ自分の寿命を全うしただけ。でもこんなに私達家族にたくさんのものを残してくれた。
サチが幸せだったかどうかはわからない・・でも私達家族にとってはサチがこの家に来てくれてとても幸せだった。・・それだけは確かである。
サチのご冥福をお祈りします。