情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

世界言語統一できないかなぁ~命を守るために…

2006-08-26 23:28:09 | 有事法制関連
デーヴ・グロスマン著『戦争における「人殺し」の心理学』(ちくま学芸文庫)に,戦争でさえも,人は殺人を避けようとすることが紹介されているという。以下,孫引き。

■■引用開始(←クリック)■■

兵士も「人殺し」はしたくない

 同書(『戦争における「人殺し」の心理学』)でグロスマンは、南北戦争、第一次・第二次世界大戦、ベトナム戦争などの帰還兵の証言に基づき、以下のような前提から考察をはじめる。「ほとんどの人間の内部には、同類たる人間を殺すことに強烈な抵抗感が存在する」「歴史を通じて、戦場に出た大多数の男たちは敵を殺そうとはしなかったのだ。自分自身の生命、あるいは仲間の生命を救うためにすら」  

 例えば、ナポレオン戦争や南北戦争では、一連隊(連隊は200~1000人規模)は、約30ヤード(約27・5m)先の敵軍に対して、平均して1分間に1人か2人しか殺せていないことが統計的に明らかになっている。当時の銃でも、人間ではない標的なら、75ヤード(68・8m)先でも命中率は60%だった。敵兵を撃つように訓練し命令されたにもかかわらず、多くの兵士は実際には敵を撃ち殺すことができなかった。  

 事態は20世紀の第二次大戦においても変わらない。米軍陸軍准将のS・L・A・マーシャルは、第二次大戦中の米軍兵士にライフルを敵に発砲したかどうか質問した。その結果、平均して米兵の15~20%しか敵に向かって発砲していないことがわかった。では彼らは戦場で何をしていたのか。「発砲しようとしない兵士たちは、逃げも隠れもしていない」「多くの場合、戦友を救出する、武器弾薬を運ぶ、伝令を務めるといった、発砲するより危険の大きな仕事を進んで行っていた」という。  

 第二次世界大戦中、米国陸軍航空隊(現空軍)が撃墜した敵機の30~40%は、全戦闘機パイロットの1%未満が撃墜したものだった。ほとんどの戦闘機パイロットは「一機も落としていないどころか、そもそも撃とうとさえしていなかった」。  

 要するに、戦場の兵士の多くは「同類たる人間を殺すことはできない自分」に気づき、「いざという瞬間に良心的兵役拒否者になった」(グロスマン)わけである。


「遠い」他者の方が殺しやすい

 だが,グロスマンは、こうした検証に基づき、兵士に「人殺し」を強要する戦争は間違っている、と言いたいのではない。グロスマンは、「適切な条件付けを行い、適切な環境を整えれば、ほとんど例外なくだれでも人を殺せるようになるし、また実際に殺すものだ」と、兵士に人殺しをさせるための「適切な条件付け」と「適切な環境の整備」の必要を力説する。  

 まず、「適切な環境」とは、殺す相手との「距離」をできるだけ遠くすることだ。兵士は、物理的あるいは心理的に自分から「遠い」他者の方が殺しやすい。近距離からライフルで人を撃つのには抵抗感がある。そこでライフルを使った方が正確に殺せる場合でも、多くの兵士は被害者の顔を見ずにすむよう手榴弾を使いたがる。銃剣で人を刺すのも心理的な抵抗が大きい。実際の銃剣戦では、多くの兵士は銃剣で突き刺すのではなく、銃床などで殴り合っている。  

 逆に、飛行機からの爆撃や艦砲射撃の場合、人を殺すことへの抵抗感は少ない。現代の米軍が行っている高々度からの爆撃や巡航ミサイルなどによる攻撃は、兵士にとって非常に抵抗感の少ない殺し方ということになる。  

 同じことが「心理的な距離」――文化的・倫理的な距離にも当てはまる。敵は自分と対等の人間ではなく「格下」の人間だと思えば殺しやすくなる。「人間ではない」と思えば、さらに殺しやすい。第二次大戦中、日本が米国や英国を「鬼畜米英」と呼び、米軍が日本人を「ジャップ」と呼んだのは、「殺しているのは自分と同じ人間ではない。別の下等な生き物だ」と兵士に思いこませるためだった。  

 グロスマンは、文化・民族が多様な米国では、「敵は文化的に劣っている」とか「敵は人間ではない」とかと、あからさまに言うのは社会的に抵抗があるという。そこで米国の場合、敵との心理的距離を遠くするために、第二次大戦の「リメンバー・パールハーバー(真珠湾を忘れるな)」、ベトナム戦争の「コミュニストの侵略との戦い」、湾岸戦争の「フセインによるクウェート侵略との戦い」などのような、政治的道徳的な「米国の正義」を強調するのが有効だとする。確かにブッシュも、アフガニスタン・イラク戦争において「テロとの戦い」「9・11を忘れるな」といった心理的距離を強調している。

(中略)

こうした訓練の結果、米軍兵士の発砲率は、第二次大戦の15~20%から、朝鮮戦争では55%、ベトナム戦争では90%まで上昇した。ベトナム戦争では、普通の兵士は一人殺すのに平均して5万発もの弾丸を費やしたのに対して、「人殺しの訓練」を徹底的に受けた米軍狙撃兵は、敵一人殺すのに平均1・3発の弾丸しか必要としなかった。米兵は戦場で、実験室のイヌやネズミのように条件反射的に人を殺しているわけだ。


■■引用終了■■

漠然と,人類が同じ言葉が話せたら,互いに相手に対する理解が深まるというだけでなく,同じ言葉を話す人を殺すという抵抗感から戦争が減るのではないか?と思ってはいたが,それを裏付ける著作だ。

100年規模で各国語を統一する~例えば,まず,単語の統一から始めるなど~運動など日本が主体となって世界に呼び掛けるようなことはできないでしょうかねぇ…。




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弁護士余剰時代が早くも到来!~弁護士会アンケート結果

2006-08-26 03:44:04 | そのほか情報流通(ほかにこんな問題が)
少し古い話ですが,触れざるを得ない,この問題。岩手日報によると,【新司法試験の導入などで弁護士志望者が現在の倍近くになるとみられる2007年に、弁護士事務所の求人が就職希望者を下回る可能性が高いことが23日、日弁連のアンケートで分かった。】という。

この【アンケートは今年5-7月、全国の弁護士を対象に実施し、所属事務所ごとに回答をまとめた。1万1076事務所のうち3146事務所の回答を得た。

 日弁連は、従来の司法試験合格者と法科大学院修了者が対象の新試験合格者の司法修習終了が重なる07年の修習終了者は約2500人、うち今年より約1000人多い約2200人が弁護士になると見込んでいる。

 アンケート結果によると、07年の弁護士の採用予定は07年の修習修了者が875人、その他105人の計980人となっている。】という。

日弁連のHP(←クリック)でも,【来年度(60期)は、現60期司法修習生と法科大学院出身者で新司法試験合格者である新60期司法修習生の修習終了者は、本年度と比較して合計約1000人増加すると推測されます。アンケートによって、求人に関する有用な情報を入手できましたが、現段階では未だ多数の弁護士事務所が60期の採用計画を決めていないことや、採用予測をする上で数多くの考慮すべき要素があることから、現時点において確度の高い求人数の予測はできませんでした。しかしながら、現時点においては、弁護士事務所就職希望者数より求人数の方が下回っている可能性が大きいと考えます。】と説明している。

法曹資格を持つものが毎年3000人になることが予定されているが,その最初の年に,もはや,弁護士が余ってしまうことが判明したというのは衝撃的だ。弁護士が余るということは,最初から1人で独立して弁護士を開業するほかなくなる。顧客を持たない新人弁護士が増大すると,いわゆる「悪徳弁護士」が増えることになる。なぜなら,相談者は,困ってほかに相談するところがないから弁護士のところに来るのであり,騙そうと思えば簡単に騙せるし,他方,事務所を維持するための費用は毎月かかるから,騙そうっていう動機もあるからだ。

これまでは,いきなり独立開業するのは地方だと相場が決まっていた。地方の場合,弁護士会や周囲の弁護士が顧客や業務についてフォローしてくれるので,上記の問題点が顕在化することは避けられた。

しかし,行く当てのない弁護士が都会で次々と開業した場合は,上記問題点が顕在化することは避けられない。

日弁連の総会で,弁護士大幅増員の可否について決定した際,賛成に投じた皆様,そういうことがないように,自分たちの事務所できっちり,採用して下さいね!




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