保坂議員のブログ(←クリック)に米国の3州が共謀罪をごくわずかの犯罪にしか適用していないことに関する米国側の釈明書簡が掲載されている。そこに次のような記述がある。
【米国では、広範囲に及ぶ連邦法の体系によって極めて多くの犯罪が処罰の対象とされていますが、合衆国憲法は、もっぱら州内において生起する事項であって、連邦が管轄権を有するとの特段の定めのないものについては、個々の州の主権を尊重しているのです。国際組織犯罪防止条約は、金銭的利益その他の物質的利益を得る目的で重大な犯罪を行なうことの共謀であって、共謀を推進する行為を伴うもののすべて、又は組織的な犯罪集団の目的を認識しながら当該組織的な犯罪集団に積極的に参加することのいずれかを犯罪とすることを義務付けています。確かに、ごく少数の州における共謀罪の規定では、重大な犯罪行為を行なうことの共謀のすべてが網羅されていない可能性がありますが、それらの州においてでさえ、かかる行為は、重大な犯罪の実行の幇助、教唆又は援助を禁じる規定などの他の規定により、ほぼ確実に犯罪とされ、したがって処罰し得るものです。】
これを読んだ瞬間、「ふざけんな!」と声が出た。
11月27日、外務省は次のような見解を出している(保坂議員のブログ←クリック)。
■■引用開始■■
米国が国際組織犯罪防止条約の締結に際し付した留保について
平成18年11月27日
外務省総合外交政策局
国際組織犯罪室
1 米国政府によれば、まず、連邦法には、すべての連邦犯罪を対象とする共謀罪の規定が存在し、米国各州においては、すべての州法に共謀罪の規定があり、圧倒的多数の州、すなわち、50州中、47州では、州刑法上のすべての犯罪又は少なくともすべての重罪を対象とする一般的な共謀罪の規定が設けられているとのことである。
2.米国が本条約の締結に当たって付した留保につき照会したところ、同国政府より、書面(10月24日付け)にて、「この留保は、本条約により犯罪とされるべき行為で米国が犯罪としていない部分が実際にあることが認められるために行ったものではありません。むしろ、合衆国憲法の適用に関する理論上の分析に基づいて行ったものでした。」「我々は、お尋ねの留保を行っていることにもかかわらず、合衆国が本条約上の義務を満たすことができると確信していますし、この留保は合衆国が本条約の義務を満たすことができないことを示す意図でなされたものではありません。」との回答を得ている。
3.また、今般、一般的な共謀罪の規定が設けられていないごく僅かな州、すなわち、アラスカ州、オハイオ州及びバーモント州において、各州の弁護士資格を有する者を通じて、長期4年以上の自由を剥奪する刑又はこれより重い刑を科することができる犯罪のうち、州法上共謀罪の対象となっている犯罪及び州法上共謀罪の対象となっていない犯罪につき調査を行ったところ、次のとおりのことであった。
(1)州法上共謀罪の対象となっている犯罪
アラスカ州:殺人等14、オハイオ州:謀殺等21 バーモント州:殺人等17
(2)州法上共謀罪の対象となっていない犯罪
アラスカ州:爆発物所持等38 オハイオ州:窃盗等54 バーモント州:重婚等129
4.米国政府にこの調査結果を示しつつ、改めて、見解を照会したところ、「以前から回答しているとおり、RICO法(注)や郵便詐欺罪などの適用範囲が広い罰則を含め、連邦刑法の全体としての適用範囲は極めて広範であり、州法上の共謀罪の対象とならない犯罪にあたる行為であっても、具体的な事実関係に即して何らの連邦刑法の全体としての適用範囲は極めて広範であり、州法上の共謀罪の対象とならない犯罪に当たる行為であつても、具体的な事実関係に即して何らの連邦犯罪も成立しない場合は考えにくい。」「貴調査を踏まえても、合衆国が本条約上の義務を満たすことができると確信しており、先の10月24日付け書簡に示した見解に何ら変わりはない。」との回答を得た。
5.このようなことから、米国の留保は本条約の趣旨、目的に反するものではないと理解している。
(注)RICO法:Racketeer Influenced and Corrupt Organizations Actの略
■■引用終了■■
外務省の説明には、元の米国政府の書簡にある、
①個々の州の主権を尊重している、
②ごく少数の州における共謀罪の規定では、重大な犯罪行為を行なうことの共謀のすべてが網羅されていない可能性がありますが、それらの州においてでさえ、かかる行為は、重大な犯罪の実行の幇助、教唆又は援助を禁じる規定などの他の規定により、ほぼ確実に犯罪とされ、したがって処罰し得る
の2点がきれいに消えている。
この部分からは日本政府が次のように主張すべきであることが分かる。
①日本の主権を尊重されたし。日本で共謀段階で犯罪化することはこれまでの刑法の大原則を覆すことになり、受け入れられない。
②日本など、共謀罪、参加罪のいずれもなじみのないごくわずかの国において重大な犯罪行為を行なうことの共謀のすべてが網羅されていないことになりますが、少なくとも日本においては、かかる行為は、重大な犯罪の実行の幇助、教唆又は援助を禁じる規定などの他の規定により、ほぼ確実に犯罪とされ、したがって処罰し得るので、
共謀罪の新設なくして、国際組織犯罪防止条約の批准をすることは可能である。
これが論理的な帰結だ!!!
このようなことが分かったにもかかわらず、与党は、衆院法務委員会の理事会を明朝10時に開催する。防衛省問題が片づいたために、一気に午後委員会で法案審議入り→強行採決という図を描いているという噂もある。
ふざけるな!
この情報を一人でも多くの方に皆さんのコメントを添えて伝えていただきたい。そして、①衆議院法務委員会(←クリック)の与党メンバー、②国会対策委員長、③自民党幹部(←クリック)、④公明党幹部(←クリック)らに、例えば、こういう重大な局面でさらに嘘を重ねる政党には、選挙で二度と自民党、公明党には入れないなどという反対表明をつきつけるなど徹底的に抗議するっきゃない。
★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
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【米国では、広範囲に及ぶ連邦法の体系によって極めて多くの犯罪が処罰の対象とされていますが、合衆国憲法は、もっぱら州内において生起する事項であって、連邦が管轄権を有するとの特段の定めのないものについては、個々の州の主権を尊重しているのです。国際組織犯罪防止条約は、金銭的利益その他の物質的利益を得る目的で重大な犯罪を行なうことの共謀であって、共謀を推進する行為を伴うもののすべて、又は組織的な犯罪集団の目的を認識しながら当該組織的な犯罪集団に積極的に参加することのいずれかを犯罪とすることを義務付けています。確かに、ごく少数の州における共謀罪の規定では、重大な犯罪行為を行なうことの共謀のすべてが網羅されていない可能性がありますが、それらの州においてでさえ、かかる行為は、重大な犯罪の実行の幇助、教唆又は援助を禁じる規定などの他の規定により、ほぼ確実に犯罪とされ、したがって処罰し得るものです。】
これを読んだ瞬間、「ふざけんな!」と声が出た。
11月27日、外務省は次のような見解を出している(保坂議員のブログ←クリック)。
■■引用開始■■
米国が国際組織犯罪防止条約の締結に際し付した留保について
平成18年11月27日
外務省総合外交政策局
国際組織犯罪室
1 米国政府によれば、まず、連邦法には、すべての連邦犯罪を対象とする共謀罪の規定が存在し、米国各州においては、すべての州法に共謀罪の規定があり、圧倒的多数の州、すなわち、50州中、47州では、州刑法上のすべての犯罪又は少なくともすべての重罪を対象とする一般的な共謀罪の規定が設けられているとのことである。
2.米国が本条約の締結に当たって付した留保につき照会したところ、同国政府より、書面(10月24日付け)にて、「この留保は、本条約により犯罪とされるべき行為で米国が犯罪としていない部分が実際にあることが認められるために行ったものではありません。むしろ、合衆国憲法の適用に関する理論上の分析に基づいて行ったものでした。」「我々は、お尋ねの留保を行っていることにもかかわらず、合衆国が本条約上の義務を満たすことができると確信していますし、この留保は合衆国が本条約の義務を満たすことができないことを示す意図でなされたものではありません。」との回答を得ている。
3.また、今般、一般的な共謀罪の規定が設けられていないごく僅かな州、すなわち、アラスカ州、オハイオ州及びバーモント州において、各州の弁護士資格を有する者を通じて、長期4年以上の自由を剥奪する刑又はこれより重い刑を科することができる犯罪のうち、州法上共謀罪の対象となっている犯罪及び州法上共謀罪の対象となっていない犯罪につき調査を行ったところ、次のとおりのことであった。
(1)州法上共謀罪の対象となっている犯罪
アラスカ州:殺人等14、オハイオ州:謀殺等21 バーモント州:殺人等17
(2)州法上共謀罪の対象となっていない犯罪
アラスカ州:爆発物所持等38 オハイオ州:窃盗等54 バーモント州:重婚等129
4.米国政府にこの調査結果を示しつつ、改めて、見解を照会したところ、「以前から回答しているとおり、RICO法(注)や郵便詐欺罪などの適用範囲が広い罰則を含め、連邦刑法の全体としての適用範囲は極めて広範であり、州法上の共謀罪の対象とならない犯罪にあたる行為であっても、具体的な事実関係に即して何らの連邦刑法の全体としての適用範囲は極めて広範であり、州法上の共謀罪の対象とならない犯罪に当たる行為であつても、具体的な事実関係に即して何らの連邦犯罪も成立しない場合は考えにくい。」「貴調査を踏まえても、合衆国が本条約上の義務を満たすことができると確信しており、先の10月24日付け書簡に示した見解に何ら変わりはない。」との回答を得た。
5.このようなことから、米国の留保は本条約の趣旨、目的に反するものではないと理解している。
(注)RICO法:Racketeer Influenced and Corrupt Organizations Actの略
■■引用終了■■
外務省の説明には、元の米国政府の書簡にある、
①個々の州の主権を尊重している、
②ごく少数の州における共謀罪の規定では、重大な犯罪行為を行なうことの共謀のすべてが網羅されていない可能性がありますが、それらの州においてでさえ、かかる行為は、重大な犯罪の実行の幇助、教唆又は援助を禁じる規定などの他の規定により、ほぼ確実に犯罪とされ、したがって処罰し得る
の2点がきれいに消えている。
この部分からは日本政府が次のように主張すべきであることが分かる。
①日本の主権を尊重されたし。日本で共謀段階で犯罪化することはこれまでの刑法の大原則を覆すことになり、受け入れられない。
②日本など、共謀罪、参加罪のいずれもなじみのないごくわずかの国において重大な犯罪行為を行なうことの共謀のすべてが網羅されていないことになりますが、少なくとも日本においては、かかる行為は、重大な犯罪の実行の幇助、教唆又は援助を禁じる規定などの他の規定により、ほぼ確実に犯罪とされ、したがって処罰し得るので、
共謀罪の新設なくして、国際組織犯罪防止条約の批准をすることは可能である。
これが論理的な帰結だ!!!
このようなことが分かったにもかかわらず、与党は、衆院法務委員会の理事会を明朝10時に開催する。防衛省問題が片づいたために、一気に午後委員会で法案審議入り→強行採決という図を描いているという噂もある。
ふざけるな!
この情報を一人でも多くの方に皆さんのコメントを添えて伝えていただきたい。そして、①衆議院法務委員会(←クリック)の与党メンバー、②国会対策委員長、③自民党幹部(←クリック)、④公明党幹部(←クリック)らに、例えば、こういう重大な局面でさらに嘘を重ねる政党には、選挙で二度と自民党、公明党には入れないなどという反対表明をつきつけるなど徹底的に抗議するっきゃない。
★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
※このブログのトップページへはここ←をクリックして下さい。過去記事はENTRY ARCHIVE・過去の記事,分野別で読むにはCATEGORY・カテゴリからそれぞれ選択して下さい。
また,このブログの趣旨の紹介及びTB&コメントの際のお願いはこちら(←クリック)まで。転載、引用大歓迎です。なお、安倍辞任までの間、字数が許す限り、タイトルに安倍辞任要求を盛り込むようにしています(ここ←参照下さい)。