情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

民族差別表現は、保障されるべきか~再度上程狙う人権擁護法案に対する読売、産経の社説に寄せて

2008-06-01 01:30:50 | 人権擁護法案(原則必要派)
 人権擁護法案が自民党内で再度議論されているようだ。人権擁護法案は、裁判所による解決が期待できない分野や迅速な解決が望ましい分野の人権侵害について対処するための人権救済機関の設置や人権教育の実施を目的とする法案で、国連総会決議で各国に対し設置が求められている。また、問題差別の解決にとっても必要な機関だとされており、10年近く議論されてきた。

 しかし、残念ながら、①政府からの独立性を十分なものとできていないこと、②メディアの人権侵害を口実とするメディア規制の恐れがあったことなどから、反対する意見が根強かった。他方で、自民党などの一部議員などからも、A)人権擁護委員に外国人がなれないようにするべきだ、B)人権侵害の定義があいまいだ、などという反対論が寄せられ、結局、現在まで成立していない。

 人権救済機関の必要性、その権能をめぐって、さまざまな思惑があり、容易にまとまらないのが実態だが、個人的には、国連の決議(パリ原則)に従ったシステムが設けられるべきだと考えている。

 そんな折り、選挙が近いせいか、またまた、自民党内で人権擁護法案が騒がれるようになってきた。以前、この法案が成立直前までいったときも、選挙がらみだという情報が飛び交っていた。

 今回は、自民党は、救済対象を限定することや不当な申立に対抗する制度を設けることなどで、党内の反対派を押さえ込むとともに、メディアに対する特別な規制を削除することで、メディアの反対を防ごうとしたようだ。

 産経新聞(※1)によると、【救済対象を「公務員、事業主らによる差別行為」などいくつかの類型に限定。学術、歴史、宗教に絡む申し立てを救済対象から外し、制裁措置の対象は民法上の「不法行為」に限った。「差別的言動」の調査では過料制裁を除外し、制度乱用を防ぐため不服申し立て措置も設けた】ということのようだ。

 議論は多岐にわたるので、ここでは、とりあえず、差別的言動について検討した。

 読売新聞(※2)や産経新聞(※3)は社説で、次のように述べている。

【しかも、私案で示された人権侵害の例には、「反復して行う差別的言動」「差別的取り扱いを誘発する差別助長行為」など、どういう行為を想定しているのか不明瞭(めいりょう)なものが掲げられている。】(読売)

【例えば、人権救済の対象となる「差別的言動」を「反復して行われるもの」に限定したとしているが、言論を浸透させるためには、繰り返して主張することが必要である。言論自体が封じられる恐れは依然としてあり、「反復して」は無意味な付け足しに近い。
 また、法務省が平成14年に示した案には報道制限につながりかねないメディア規制条項があった。マスコミの批判を受けて太田私案では削除されたが、それは報道機関が特別扱いされないだけで、他の民間組織と同様、「差別的言動」の有無などについては人権委員会の監視を受ける】(産経)

 両紙とも、差別的表現について規制されることをおそれているようだ。しかし、個人的には、差別的表現、特に、人種、民族、国籍などに関する差別的表現は、児童ポルノなど同様に少なくとも公で語られるべき表現ではないと思う。

 世界的にみても、人権救済機関の対象として差別的表現を入れているところは多い。

 この点、産経新聞(※4)は、【英国やカナダなどはパリ原則に沿った人権機関を設けている。いずれも人権侵害の定義を明確に規定し、「表現の自由」は最大限尊重されている】としているが、明らかにミスリーディングだ。

 英国では、差別禁止法によって、「皮膚の色」「人種」「国籍」「出身」に関する「差別的広告」「差別の支持、教唆」「人種的憎悪」などが禁止され、それに基づく人権救済機関への申し立てが可能となっている。

 カナダでは、人権法によって、「人種」「肌の色」「出身地(国)・民族」「宗教」などに関する「差別的言辞」「憎悪の表明(ヘイトメッセージ)」「嫌がらせ」などが禁止され、人権救済機関での救済対象となっている。

 産経が、「表現の自由」は最大限尊重されているという国々でも、他国の国民を差別することで愛国心などを煽る記事などは、申し立ての対象となるわけだ。

 表現の自由の刃は差別される者に向けられるべきではなく、権力に向けられるべきではないでしょうか?

 皆さんは、どう思いますか?

 
 

※1:http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/080529/stt0805292304007-n1.htm

※2:http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20080530-OYT1T00863.htm

※3:http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/080531/stt0805310305000-n1.htm

※4:http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/080310/stt0803102007004-n3.htm






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韓国国家人権委員会を救おう!~署名活動のお願い

2008-01-27 13:15:55 | 人権擁護法案(原則必要派)
韓国のさまざまな人権侵害について意見を述べてきた人権委員会の独立性が弱められようとしています。せっかく独裁政権から開放され、民主的なシステムが整ってきたのに、李明博大統領就任予定者の保守政権になることが決まったとたんに、権力者はシステムを旧来型に戻そうとしています。隣国が民主化することは日本の市民にとっても大きな利益でした。時計の針を戻し始めたら、日本でもあっという間に戦前にまで戻りかねません。この韓国の動きは、日本が戦後主権、占領軍から独立したときに、最初に行ったことが放送に関する独立行政委員会の廃止だったことを想起させます。隣国に住む市民として、この動きを放置する訳にはいきません。国家人権委員会の独立性を弱めることに反対の声を保守政権の要人らに送付する署名活動に参加しませんか?

たとえば、韓国国家人権委員会は、次のような勧告をしています。

■■ヒューライツ大阪(※1)引用開始■■
韓国の陸軍訓練所の中隊長が訓練兵に人糞を食べるよう強要した事件が2005年1月に発生し、国家人権委員会は、その事件に関連し類似事件の調査と再発防止策を講じるために職権調査を行いました。その結果、そうした人権侵害の事実が確認され、国家人権委員会は、国防省長官に対し、軍隊の文化に人権意識が不在になっていることなどを指摘し、(1)将校や副司令官の養成課程で人権教育を必修にするなど軍内部の人権教育を強化すること、(2)軍内部の管理システムが人権侵害の予防と摘発に対して適切に機能するとともに要望受理システムが正常に運営されるような方策を追求すること、(3)上官の違法な命令に対する部下の是正申し入れや積極的な報告措置の義務化、「集団気合」(連帯責任)の禁止及び違反時の処罰の明文化など軍人の服務規律を改定すべきであるという勧告を出すことを決定しました。
■■引用終了■■

韓国のこのような状況については、国連も危機感を抱いており、レイバーネット(※2)は、次のようなやりとりがあったことを伝えている。国連の要請にも拘わらず、保守政権の人権委員会の独立性を弱体化させようという決意は固そうだ。

【国家人権委員会を大統領直属の機構にしようとしている大統領職引継ぎ委員会の方案をめぐる議論が高まっている。国連人権高等弁務官まで乗り出して人権委の独立的な地位の保障を勧告しているなかで、ハンナラ党は計画のとおり人権委の組織改編を強行する態勢だ。
 国連のルイーズ・アーバー人権高等弁務官は、最近業務引継ぎ委員会に送った書簡で「人権委の国際的地位に否定的な影響を及ぼしかねず、国内的な地位も弱まる」とし「人権委の独立性に影響を与えかねない計画を再検討しろ」と要請した。
 国連人権高等弁務官室が人権委の独立的地位保障問題を議論したことに対してハンナラ党のパク・ヒョンジュン報道官は1月21日、「なぜ業務引継ぎ委員会が人権委を組織改編するのかの意図を正確に読めていない」と指摘した。】

署名活動のページ(※3)は次のとおり。


■■引用開始■■
Save NHRCK
韓国国家人権委員会を救おう

We urge you to sign the petition below. Ask your friends to join and sign the petition. For more information please read: Background.
私たちは次の申入書に署名するようお願いします。友人にもお願いして下さい。より詳細な情報はバックグラウンドをクリックして下さい。

People's voices:
Help the NHRC!
人々の声
国会人権委員会を救って下さい




The petition
申入書

TO:
Mr. Lee Myung-bak,
President-elect
Republic of Korea

韓国大統領就任予定者李明博氏宛

Dear President-elect Lee Myung-Bak,
拝啓 大統領就任予定者李明博殿

I am deeply concerned about the threat to the independence of the National Human Rights Commission of Korea (NHRCK) by the recommendation from the Presidential Transition Team.
私は、国家人権委員会の独立性が大統領職引継ぎ委員会の提案で脅かされていることに深い憂慮の念を抱いています。

The recommendation brings the NHRCK under the immediate control of the Office of the President. The NHRCK was established in 2001 with the consensus in Korea to prevent the repetition of the human rights violations that had taken place when Korea was ruled under military dictatorships.

引き継ぎ委員会の提案は人権委員会を大統領府の直接の指揮下に置くというものです。人権委員会は、韓国が軍事独裁政権下にあったときに発生した人権侵害が繰り返されることを防ぐために2001年に総意で設立されたものです。

Bitter experience of human rights violations during that period generated a huge response from the Korean people, who were determined to make respect for human rights a primary concern of the state and society.
当時の人権侵害に関する苦い経験が、人権擁護を国家及び社会の最優先課題にしようと決意した韓国市民に大きな声を上げさせたのです。

An attack on the independence of this commission will be a serious setback in the country’s struggle for democracy and human rights. It will also damage the status and prestige of the Republic of Korea internationally.
この委員会に対する攻撃は、韓国の民主化と人権擁護のための歩みを大きく戻すことになります。そして、国際的な韓国の地位をも傷つけることになるでしょう。

I therefore urge you, as an elected President, to reject this recommendation and to take steps to respect the independence of the NHRCK.
以上の理由から、私は、大統領就任予定者としての貴殿に対し、引き継ぎ委員会の提言を退け、国家人権委員会の独立性を尊重するよう求めます。

Yours sincerely,
敬具

■■引用終了■■

まだまだ署名は足りません。よろしくお願いします!




※1:http://www.hurights.or.jp/news/0504/b02.html

※2:http://www.labornetjp.org/worldnews/korea/knews/00_2008/1200972410193Staff


※3:http://campaigns.ahrchk.net/savenhrck/






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なお、現在、こちらで(←クリック)、350円、1000万人寄付運動を展開しています。ぜひ、ご覧のうえ、行動にしてください。バナーは、SOBAさんの提供です。ご自由にお使い下さい。手のひらに何も乗っていない猫の手には、実は、知恵、呼びかける力など賛同するパワーが乗っているということです。まさに、今回の運動にぴったりですね。
   
1月17日にはNPJ/PEOPLE’S PRESS設立記念集会を開催し、多くの方に来場いただきました。ありがとうございました。近く、生中継していただいたアワープラネットTVでオンデマンド放送される予定です(http://www.ourplanet-tv.org/whats/2008/20080117_17.html)。

人権擁護法案再び~必要性は認めるが、差別と対公権力に限定すべきだ!

2007-12-05 13:55:37 | 人権擁護法案(原則必要派)
 このブログの初期の2大テーマは、憲法改正国民投票法案と人権擁護法案だった。いずれも、報道規制という問題を抱えており、その観点から何度も思うところを書いてきた。人権擁護法案は、「人権」嫌いの安倍政権となって、まったく動きがとまり、ほっとする一方で、差別禁止に向けた動きも止まることは問題だとも思っていた。
 
 ところが、安倍政権から福田政権に移り、早速、人権擁護法案を策定しようという動きが出てきた。

 朝日新聞(※1)によると、【人権擁護法案の提出に向け、自民党内で推進派が本格的に動き始めた。党人権問題等調査会を2年ぶりに立ち上げ、かつて廃案になった政府案に修正を加えて来年の通常国会に提出をめざす】というのだ。

 もちろん、自民党内の人権嫌いは多く(しかし、人権嫌いを公言できる政治家が生き延びるこの国って…)、【党内の意見対立が根深い法案で、3日の初会合にも「保守派」を中心に反対論者が結集して異論を唱えた。党執行部が再提出でまとめようとすれば、党内対立の芽となることは必至の状況だ】とも観測されている。

 この動きについて、朝日は、【安倍前首相が消極的だったこともあり、再提出に向けた動きは封印されていたが、福田政権発足で「潮目」が変わった。推進派の古賀誠選挙対策委員長、二階俊博総務会長らが党執行部に座り、党幹部の一人は「再提出できるならやってしまえばいい」。
 調査会は仕切り直しにあたり、古賀氏側近の太田誠一元総務庁長官を会長に起用。党四役や青木幹雄前参院議員会長らを顧問に迎え、3日の党本部での初会合で、ずらりとひな壇に並べた。重厚な布陣で反対派を押さえ込む狙いだった】と分析している。

 確かにある意味、安倍が党内で台頭したのは、北朝鮮問題に加え、いわゆる従軍慰安婦などの問題であり、人権擁護法反対派は、従軍慰安婦否定派と重なる。そこで、安倍があのような形で退陣したのを機に、一気に制定してしまおうという方針は理解できる。

 しかし、この点について、反対派の勢いは削がれていなかった。【会合には安倍前首相に近い下村博文前官房副長官や古屋圭司衆院議員らが駆け付け、「歴史的な経緯を無視して人権を一つの価値観のように扱うのは間違い」などと主張。若手議員で作る「伝統と創造の会」会長の稲田朋美衆院議員はこう声を上げた。「総選挙に向けて一丸となっていくべき時期に、党内を二分するような議論はどうなのか」】


しかし、【歴史的な経緯を無視して人権を一つの価値観のように扱うのは間違い】ってどういう意味なんだろうか…。伊吹文明幹事長も【会合のあいさつで「人権という言葉が独り歩きしてはいけない。しっかり研究していく必要がある」と述べたらしい…。


 今後のことだが、【党執行部のかじ取りも定まっていない】とはいうが、油断はできない。【調査会は年明けから週に一度のペースで会合を重ね、再提出を認めるかどうか最終判断する】ということのようだ。教育基本法の改正だって、こういう積み重ねの後、一気に成立した。

 人権擁護法案が本当に求められている形になるよう監視しましょう!



※1:http://www.asahi.com/politics/update/1204/TKY200712030379.html









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人権擁護法案で「外国勢力に支配される」と騒いだ諸君、外資献金を許すなら売国奴だよ

2006-12-03 14:49:47 | 人権擁護法案(原則必要派)
 朝日新聞によれば、【企業・団体献金の外資規制を緩和する政治資金規正法改正案が1日、衆院の「政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会」で共産、社民を除く与野党の賛成多数で可決された。現行法で禁じられている外資50%超の企業による政治献金を、条件付きで認める法案で、来週の衆院本会議で可決され、今国会で成立する見通しだ】という。

 そもそも、私は、企業による政治献金そのものに懐疑的なので、当然、このように政治献金の仕組みが広がること自体に賛成できない。

 しかし、ここでのより重要な問題は、「外国勢力」による「政党支配」を認めてよいかどうか、という点だろう。私自身は、企業献金の存在を前提にすることになる批判はしたくはないが、人権擁護法案の際、「在日勢力が人権擁護委員になることによって日本が外国勢力に支配される」…などと騒いだ諸君、この問題をいかにお考えか?

 果たして黙っているつもりじゃないだろうね。外国企業が日本の政党を金で買うっていう法案ですよ。まさに、外国勢力による日本の支配が本格化するわけだ。

 それでも、反対しないんですか?

 人権擁護法案の際、「在日勢力が人権擁護委員になることによって日本が外国勢力に支配される」…などと騒いだ諸君は、今回の自民党・公明党、民主党、国民党の4党に対し、徹底的な抗議をし、4党の党員を当選させないような運動を大展開するべきではないのか?

 そもそも、企業のような金儲け主義団体の献金を認めること自体、「美しい国」にはふさわしくないのでは…という疑念も沸くがそれはここでは触れないこととしよう。
 
 外資系の献金制度打破に向けた運動を展開しないというのなら、諸君らに、「売国奴」というレッテルを差し上げることとしよう。ありがたく、拝受されたい。


(注:もし、すでに反対を表明し、運動されているのであれば、ぜひ、こういう運動をしていると教えていただきたい。そういう方の目にこの記事が触れたのであれば、不快な思いをさせたことをお詫びします。もちろん、人権擁護法案に対する考え方は違うのでしょうが…)

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人権擁護法案からマスコミ規制を外してはどうか~杉浦法務大臣

2006-07-27 01:24:53 | 人権擁護法案(原則必要派)
少し古い話だが,【杉浦法相は24日、日本記者クラブで会見し、今年の通常国会への提出を断念した人権擁護法案のメディア規制条項について「再度出す以上、凍結ではみっともない。外すなど、何らかの形ですっきりした形で出したい」と語った。】(読売)という。メディアに対し,公的権力が圧力をかけることには賛成しかねるので,杉浦法務大臣発言には賛同する。ただし,メディア規制を外すことで,ほかの問題点(独立性の確保など)を棚ざらしにしようという意図があるのかもしれないと危惧はしている。メディア側にはその辺りをきっちりフォローしてもらいたいが…。

読売の【同法案は2002年の通常国会に提出されたが、03年の衆院解散で廃案となった。法務省は同条項を「凍結」した上で再提出を目指したが、人権侵害の定義や人権擁護委員の国籍条項などにも反対が強く、提出できないままになっている 】という解説には,最も重要な独立性の問題が欠落している。


なお,杉浦法務大臣は,【現在の保釈制度について「刑事訴訟法上、保釈は(被告の)権利だが、裁判所はなかなか(拘置所の外に)出したがらない。例外と原則が逆転している」と批判。「人質司法と言われた雪を溶かすためにも、体制整備が必要だ」と述べた。】【法相は、具体策として、拘置所の外に出しても証人に働きかけるなどの証拠隠滅を図らないようにするため、自宅拘禁や海外渡航禁止といった制度の導入を挙げた】(朝日)という。具体的方法には異論もあろうが,人質司法を改善したら,歴史に残る法務大臣になるのだが…。


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国籍差別をする人権擁護法案って?!

2006-04-07 22:36:27 | 人権擁護法案(原則必要派)
読売新聞によると,【杉浦法相は7日午前の閣僚懇談会で、人権擁護法案の今国会提出を断念し、内容を大幅に見直して次期通常国会で再提出を目指すことを報告した。今後、省内に法相を長とする検討チームを設置する。】という。

同紙によると,法相は記者会見で、「法案は大幅に手直しをする」としたという。そして,【人権問題に携わる人権擁護委員に国籍条項がなく、外国人でも委員になることができることについて、「修正が必要だ」と述べたほか、メディア規制条項についても「マスコミとの協議の場を設けて意見を聞きたい」と話した。】らしい。

 前から言ってるが,国籍差別を前提とした人権擁護法案ってそれ自体,矛盾していないだろうか?人権機関は,弱者,少数者の人権を守るために設けられるのであって,強者がさらに都合のよい世の中にするために設けられるのではないはずだ。

 杉浦さんは弁護士出身のはず。民主主義の犠牲になる者を救うことの大切さはよく分かっていると思うのだが…。


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鳥取県知事が人権救済条例を凍結と発表~弁護士会の抵抗功奏す

2006-01-24 19:09:26 | 人権擁護法案(原則必要派)
毎日新聞によると,【6月に施行予定の鳥取県人権救済条例について、片山善博知事は23日の定例会見で「条例は(今のままでは)凍結」と述べ、6月施行の延期は避けられないとの認識を示した。条例を巡っては「人権侵害の定義があいまい」などとして県弁護士会が強く反対しており、定義や対象をより明確にする抜本的見直しが必要と判断した。】という。

■■記事引用開始■■
片山知事は、条例制定の前提となる県内での人権侵害の発生状況や内容に関する調査・検証が不十分、との認識を表明。救済されなかった事例など、具体的な検討作業を通じた抜本的見直しが必要としたうえで「時間をかけて根っこからレビュー(再調査)すれば、条例への理解が深まるだろう」と話した。また、2月県議会に、県執行部として修正案を提出しない考えも明らかにした。

 条例は昨年10月、県議38人中35人が連名で議員提案し、34人の賛成で可決。人権侵害の申し立てを受けた人権救済委員会が調査し、加害者側に勧告などをする内容で、委員に弁護士を含むよう努力目標を定めているが、県弁護士会は「抜本的見直しがなければ一切協力できない」としている。

 県は事態打開に向け、弁護士や大学教授ら有識者11人を招いて意見交換会を昨年末から今年にかけ開催。出席者は▽調査拒否への過料や氏名公表などの罰則は行き過ぎ▽行政機関による人権侵害に甘い--などと指摘し、全員が抜本的見直しの必要性を訴えた。

 片山知事は今月12日、「法曹の協力を得られなければ空振りに終わる」と述べていた。
■■記事引用終了■■

 鳥取県弁護士会,すごい!
 「『鳥取県人権侵害救済推進及び手続に関する条例』の施行規則検討委員会委員推薦を拒否し、同条例の改廃を求める総会決議」まで出して抵抗していたもんね!

この腹の据え方を日弁連も見習ってほしい。取調の可視化を実現するためには国選拒否をするくらい,腹を据えないと実現できそうにないからねぇ。

鳥取県弁護士会、委員派遣拒否を臨時総会で正式決定 ~「人権擁護」条例

2005-12-27 05:34:09 | 人権擁護法案(原則必要派)
やや旧聞の部類になりますが,【鳥取県弁護士会(松本光寿会長)は二十三日、鳥取市内で臨時総会を開き、同県人権侵害救済条例の施行規則検討委員会への委員派遣を拒否すると同時に、同条例の改廃を求める決議をした。決議文は同日、鳥取県知事や議長に送付した。同弁護士会は検討委員会への派遣拒否を先月、常議員会で決定。片山善博知事に松本会長が直接伝えていたが、臨時総会で正式に決定した。
決議文では「違憲の疑いがある現状の条例の存続を前提とする限り、いかなる協力もなしえない」としている。】ということです(山陰中央新報)。

独立性の担保のない機関が迅速な手続を旨とする人権救済手続をすることは避けるべきだと思う。また,メディア規制も問題あり,ということで,鳥取県弁護士会は従前からこの条例案には反対していたが,今回委員の派遣拒否まで決議した。この決断は今後大きい意味を持ってくると思う。

話は変わるが,日弁連も刑事手続きの改悪などに対しては,きっぱりとした姿勢を示してほしいところだ。地方がきちんと注文をつけることができるのに中央はダメダメっていうのは,マスコミと同じ図のように見えるなぁ。もちろん,日弁連も分野によっては頑張っている部分もあるし,執行部に反対して(あるいは執行部内で)頑張っている人もいるので,こういう単純な切り口ができるものではないとは思うが,鹿児島の国選拒否なんかのきっぱりした態度を見ると,日弁連ももっと頑張れって気になってしまう…。

参照:第159回国会 法務委員会議事録(平成16年6月2日)

【さらに、鹿児島新聞の二〇〇三年の七月十二日付の報道によれば、検察庁、鹿児島地検が国選弁護人の解任請求を行って、それを鹿児島地裁が解任を認めるという、そのような事実が存在しております。
 その理由は何なのかというと、報道によれば、弁護士が接見禁止中の被疑者と接見したときに、親族の手紙、お父さん頑張ってねとか、あなた頑張ってねというような手紙を、メッセージをガラス越しに見せた。被告人を励ますために、被疑者を励ますために、証拠隠滅のおそれなど全くないような、そのようなメッセージを見せた。このことを理由に、国選の解任請求を鹿児島地検が行って、それを鹿児島地裁が決定する、認めるというようなことをしておる。
 これは、鹿児島弁護士会はこれに対して抗議声明を出して、その後の二カ月間、国選弁護の推薦手続について拒否している、裁判所、検察庁のやり方が極めて違法であるということで拒否しております。このような事案、事例も生じています。
 そして、この問題については、志布志町の有志の人たちを中心に、住民の人権を考える会ということが組織されて、一万人近い署名を集めて、公安委員会やいろいろなところで訴えておられます。】

「鳥取県人権侵害救済条例案」に対する弁護士会長声明全文

2005-10-11 22:16:53 | 人権擁護法案(原則必要派)
 2005(平成17)年10月5日、鳥取県議会に清風、自民党、信の三会派による標記条例案が提出された。本条例案は、昨年12月定例県議会で提出された条例案が、当会が昨年12月7日に発した会長声明での問題提起を受け、過度に市民生活に干渉する結果になるのではないか等の疑問から継続審議となったものを、当事者に対する弁明権の付与、行政機関の人権侵害をも対象とするなどの点を加味して修正したものとして、速やかに成立する可能性があると報じられている。しかしながら、本条例案はなお重大な欠陥を覆いがたく、憲法違反の恐れすらある。よって、鳥取県弁護士会としては、このまま可決されるについては強く反対の意を表せざるを得ない。また、可決されたとしても、このような制度であれば、人権救済推進委員会(以下「委員会」という。)委員(委員のうちには、弁護士の資格を有する者が含まれるよう努めなければならないこととなっている。)の派遣については、現時点において当会として明確な態度を表明することは出来ない。

 すなわち、本条例案には、少なくとも以下の5つの大きな欠陥がみられるからである。

 第1点は、適正な手続の保障に欠けるという問題である。
 人権侵害の救済予防の申出がなされた場合、5人の委員からなる委員会が調査にあたり、人権侵害性を認めた場合、侵害者に対し助言、説示、啓発などが行われ、さらに重大な人権侵害の場合、是正等の勧告を行うこととなっている。懸念されるべきことは、この勧告に従わない場合は、その旨を公表できることである。この公表は、刑事罰ではないにしても、間違いなく公表された者やその家族などの名誉や社会的信用を著しく失墜させることとなるはずである。内容如何によっては職業的あるいは社会的生命すら奪うことも十分にあり得る苛酷な処分であり、刑事罰に匹敵あるいはそれ以上の重大な制裁を科す可能性を否定できない。
 ところで、日本国憲法は第31条において「何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命もしくは自由を奪われ、又はその他の刑罰を科せられない」と定め、刑事罰を科す場合に法の適正な手続がとられることを求めている。裁判を受ける権利(憲法第32条)、資格を有する弁護人のもとで公平で公正な裁判を受ける権利(憲法第37条)はこれに由来する。この適正手続は、刑事罰に限らず国民の自由の制約を伴う行政手続においてもとられることが必要であり(最高裁平成4年7月1日大法廷判決)、それ故、告知・聴聞・防御の機会の付与が必要とされているところ、本条例案の如き刑事罰に匹敵する重大な制裁を科す場合は、刑事手続に匹敵する適正な手続がとられることが必要である。
 しかるに、本条例案は、一応は弁明の機会を与えてはいるものの、申立人に対する反対尋問権も保障されておらず名ばかりのものである。また、委員会の審理は非公開であり、弁護人選任権も制度として保障されておらず、さらには、刑事罰を科す場合に当然のこととして遵守されている事実を厳格な証拠のみによって認定するという原則も確立されていない。これでは到底実質的な弁明権を付与したとは言い難く、あまつさえ事実を適正に認定するという保障も無いに等しいと言わざるを得ない。

 第2点は、人権を擁護するはずの本条例案が却って国民の基本的人権を著しく制約する結果をもたらす懸念を払拭できないということである。
 本条例案が人権侵害として取り扱う対象範囲は一見極めて広い。「人種等を理由として行う不当な差別的取扱い又は差別的言動」、「虐待」、「性的言動等」「ひぼう・中傷」「人種等の属性に関する情報の収集・摘示等」「著しく粗野又は乱暴な言動」など、限定列挙となってはいるものの市民生活において発生する様々な紛争を極めて広範にその射程に含めようとするものとなっているだけでなく、近代市民社会において最大限に尊重されるべき報道の自由(国民の知る権利の保障)を含む表現の自由(憲法第21条)もその対象としている。
 しかも、現実にその人権侵害性を認定するのは極めて困難な作業である。「差別」「ひぼう・中傷」「虐待」「性的な言動」など対象行為はすべて抽象的な概念規定であり、現実に即した場合、その認定作業は至難であり誤判の恐れがあるにもかかわらず、それを防止する手続的保障すらない。さらに、表現の自由との関係から見れば、刑法第230条の2による、「公共の利害に関する事実が真実で、その目的が専ら公益を図る目的であったと認められる場合には罰せられない」との限定もない。
 市民生活における紛争は極めて多様であり、見ようによってはすべて人権侵害的な色彩を帯びていると言っても過言ではない。「ひぼう・中傷」などは、例えば、公人の汚職に関する報道や表現も公人に対するひぼう・中傷と評価される可能性があり、また、大声で不当な差別等に対して抗議する言動も「生活の平穏を害する著しく粗野な言動」と評価される可能性がある。このように本条例案の規制については一般市民の言論及び表現の自由、報道の自由と真っ向から対立する場面も予想される。このような個々の場面において、本条例案が規定するような、是正勧告が発動され、しかも勧告に従わない者が氏名を含めて公表されるというような事態を想定した場合、それは、憲法が厳しく戒める表現の自由の事前検閲に他ならない。言論・表現の自由に対する看過しがたい重大な制約となると言って過言ではない。本条例案には報道の自由を尊重するという規定が設けられているにしても、抽象的な規定であり、前述した刑法第230条の2の特例に比べて実効性に欠けるのみならず、国民一般の表現活動の自由を対象としたものではない。
 市民間の紛争や表現の自由に関わる問題は、国民の基本的人権の根幹に関わる問題である。その解決過程において、一方の基本的人権のために他方の基本的人権を制限せざるを得ないとすれば、それは本来司法の役割であり、行政権力の役割ではない。ましてや、本条例案が予定しているようないわば不完全な制度のもとの行政委員会の役割ではあり得ない。本制度は、人権を擁護するはずのものが却って国民の基本的人権を著しく制約する結果をもたらすという構造的且つ致命的な欠陥を有するものと言うべきである。

 第3点は、調査過程そのものが国民の基本的人権を侵すということである。
 すなわち、委員会が行う調査に対し、協力しない当事者に対して「5万円以下の過料」が科せられるという罰則規定に関わる問題である。刑事手続ですら、任意捜査が原則であり、被疑者を含め国民は捜査に応ずることは強制されない。罪を犯したと疑うに足る証拠がある場合に裁判官の発する令状によって逮捕されたり捜査・差押を受けることがあっても、供述や自白が決して強制されないこと(憲法第38条、刑事訴訟法第198条)は、近代憲法、近代刑事司法の大原則であるのに、本条例案ではこのような刑事被疑者にすら認められている人権も保障されていない。本条例案は、人権侵害の調査という美名の下に刑事司法すらはるかに乗り越えようとしているのである。

第4点は、行政権力による人権侵害に対する救済規定が極めて不十分であるという問題である。
 本条例案は救済対象を私人間の紛争のみならず公権力からの侵害についても含めるものとした旨説明されている。しかし、第3条は主に私人間の紛争を前提として考えられた限定列挙であり、公権力の行う人権侵害の類型を十分に含んでいるものではない。例えば、全国的に問題となっている刑務所の中での医療体制の不備などはどの類型にも該当しないとされる可能性が高い。また、調査協力義務の点についても、弁護士会の人権擁護委員会に対する人権救済申立において多数を占める刑務所・警察に対する人権救済申立においては、第19条第3項で「刑の執行」・「捜査」に支障を来すとまさに侵害者の立場にある側の刑務所長・県警本部長が判断しただけで調査を拒否できるというものであり、実効性に重大な疑問がある。それ以外の公権力からの侵害についても同条第4項の運用とあいまって関係行政機関の調査協力の義務は骨抜きとなっている。このような形で公権力の側の調査拒否が容易に認められる可能性を残す反面で、私人においては罰則等の不利益を科して極めて重い調査協力の義務を負わせるということは明らかに均衡を欠いている。
なお、実質上、私人間にのみ極めて重い協力義務を科す点に関し付言する。これらの協力義務の必要性の根拠と言われている児童虐待に対しては「児童の虐待の防止等に関する法律」「児童福祉法」が、家庭内暴力に対しては「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」が、ストーカー行為に対しては「ストーカー行為等の規制等に関する法律」が各整備されており、本条例案はこれらの法律との関係において屋上屋を架するものであり、本条例案はその必要性を支える立法事実にも乏しいと言わねばならない。

第5点は、委員会の独立性の保障が極めて不十分という問題である。
本条例案において救済機関とされる人権侵害救済推進委員会については、職務権能行使についての独立性は保障しているものの、その機構上の独立性は保障されていない。議会の同意を得て知事が任命するものとなっていることでは保障されていないことを昨年県提出の議案において当会は指摘した。すなわち、この条例案でも委員の任命権、予算編成、事務局職員、規則の制定がすべて県知事に握られており、私人間の人権侵害をも対象とすることから考えると、任命がこのような形でしか行われないとすれば、行政機関の市民生活への干渉を招くための道具となりかねない。
これについて当会は、委員の選任過程においての独立性を担保するために、議会内に推薦委員会を設け、その推薦委員会の委員として県議会議員のみならず司法、報道関係者、弁護士会、学識経験者・人権福祉関連団体等の外部委員を置くなどの対処により、上記弊害が生じないための工夫を考えるべきであると指摘していたものであるが、本条例案においても選任過程についての対処はなされていない。
また、事務局の職員及び専門委員について、本条例案では独立性担保の観点から守秘義務及び不適格者の排除の規定を入れている。しかし、僅か5名の委員に代わって職員が相談や調査を行うことを明文で認めている以上、実質的な申立の処理は職員中心でなされることになることが明らかであり、職員に対する監督をどのように行うのかが重大問題となる。そうであれば職員の選任過程についての工夫も委員同様に必要である。本条例案は独立性の保障が極めて不十分であり、権力の濫用的な行使の道具となりかねない。

 以上、本条例案は人権救済の名のもとに行政機関による人権侵害を引き起こす可能性が極めて高いものであると判断せざるを得ず、憲法違反のおそれすらある重大な欠陥を有するものであり、当弁護士会としては到底賛成し得ないものとして頭書の意見に至ったものである。

2005(平成17)年10月8日
鳥取県弁護士会会長松本光寿


自民党、人権擁護法案今国会提出見送り…国籍条項導入を最後まで叫んだ者の素性

2005-07-24 00:58:07 | 人権擁護法案(原則必要派)
朝日新聞によれば、【自民党は、人権が侵害された場合の救済手続きなどを定める人権擁護法案の今国会提出を見送る方針を固めた。党内の推進、反対両派の調整が暗礁に乗り上げており、来月13日の会期末までに妥協案をまとめるのは困難と判断した。近く与党人権問題懇話会を開いて、最終決定する。】
http://news.goo.ne.jp/news/asahi/seiji/20050723/K2005072303330.html?C=S

暗礁に乗り上げたのは、【平沼赳夫前経産相や安倍晋三幹事長代理らが「人権侵害」の定義の明確化や、人権擁護委員を日本国民に限る「国籍条項」の導入など法案の大幅修正を求めていた。】からであるが、どう考えても、人権を擁護する法案に国籍差別という人権侵害規定を持ち込むのは、おかしい。

平沼氏や安倍氏の発言に賛同する方は、平沼氏や安倍氏がいかに「華麗な」親族・経歴に恵まれ、われわれ庶民の苦労からほど遠い人物かご存じなのだろうか?庶民のことを知らずして、国を憂うことが可能なのか?憂うべきは、3万人もの自殺者が出るようなリストラ社会を改善することではないのか?リストラ社会改善のために、彼らは何をしているのか?

と怒りが止まらなくなるような経歴だねぇ。貧乏人のひがみかねぇ。

http://www.hiranuma.org/japan/index.html
http://newleader.s-abe.or.jp/modules/auth/index.php/index.html

人権法のメディア規制削除して6月提出へ?自民反対派

2005-05-31 05:35:55 | 人権擁護法案(原則必要派)
共同によると、http://news.goo.ne.jp/news/kyodo/seiji/20050530/20050530a1650.html?C=S
【政府の人権擁護法案に反対する自民党議員の「真の人権擁護を考える懇談会」(平沼赳夫会長)がまとめた修正案が30日明らかになった。(1)人権侵害の調査をする「人権擁護委員」の選任基準について「市町村議会選の選挙権を有する住民」とし、日本国籍に限定(2)「メディア規制条項」は削除--などが最大の特徴だ。】という。

他方、読売によると、http://news.goo.ne.jp/news/yomiuri/seiji/20050530/20050530ia23-yol.html?C=S
【自民、公明両党で作る与党人権問題等懇話会(座長=古賀誠・自民党元幹事長)は30日、国会内で会合を開き、今国会での人権擁護法案提出、成立を目指すことを改めて確認した。
 この中で、公明党の冬柴幹事長は、政府原案の反対派から指摘のある人権擁護委員の国籍条項盛り込みについて、「国会審議の中で十分に議論を交わし、必要があれば修正すればいい」と述べ、扱いを国会審議に委ねるべきだとの考えを示した。】 らしい。

総合すると、法案成立へ向けて本格的に動きそうだ。ただし、独立性の問題は修正されないままで、かつ、国籍条項が入ることになりそうだ。
かなり危険な状態…。メディア規制がはずされても、メディアがきちんと、批判できるかどうかが鍵になりそうだ。



人権委の権限縮小検討 自民反対派、党内調整:共同:

2005-05-28 01:11:08 | 人権擁護法案(原則必要派)
共同通信 http://news.goo.ne.jp/news/kyodo/seiji/20050527/20050527a1320.html によると、
【政府の人権擁護法案に反対する自民党議員でつくる「真の人権擁護を考える懇談会」(会長・平沼赳夫前経産相)は27日午後、党本部で開いた会合で同法案の対案づくりについて詰めの協議をした。】という。

【対案では、人権救済機関として設置される「人権委員会」は出頭要請や立ち入り検査などが可能で、権限が強大すぎるとして(1)法案通り、公正取引委員会などと同じく国家行政組織法3条を根拠に設置するが、権限を縮小する(2)同8条に基づいた審議機関とし独立性を弱めた組織にする--の2案を検討。】(最初は、権限のないところから始めるのは一つの方法であろう。しかし、刑務所や入管などの類の公権力を行使する機関に対しては、立ち入り検査は当然必要ではないでしょうか)

さらに、【また、人権侵害を調査する「人権擁護委員」の選任基準については、日本国籍を持つ者に限定する国籍条項を設ける方向。ただ公明党は国籍条項に否定的なことから、自民党内の推進派の一部では、北朝鮮による拉致問題解決に支障が出ることを懸念する反対派に配慮し、「国交のある国」とする案も浮上している。】というが、もし、このような国籍条項を入れたら、日本は世界の笑いものになるでしょう。差別をなくすための法律が差別をしていると…。

民主、人権擁護で対案作成 委員会は内閣府外局:共同

2005-05-26 20:27:28 | 人権擁護法案(原則必要派)
少し古いですが、共同通信 http://news.goo.ne.jp/news/kyodo/seiji/20050524/20050524a1780.html によると、

【民主党の「人権侵害救済プロジェクトチーム」(座長・江田五月参院議員会長)は24日午前、自民党内で調整が難航している政府の「人権擁護法案」の対案となる「人権侵害被害救済・予防法案」をまとめた】そうです。

【人権委員会を法務省の外局として設ける政府案に対し「中央人権委員会」を内閣府の外局として設置】(ここは独立性確保という点では評価できる)

【各都道府県にも「地方人権委員会」を設けるほか】(ここは、実効性という点、地方で事務局主導となることを防ぐ点で評価できる)

【委員には人権擁護を目的とした団体や人権侵害の被害経験者も加える努力義務を盛りこんだ】(ここは、実際に人権侵害を受けた立場の人が入ることが大切。長野県の公安委員に、松本サリン事件の河野義行さんが選ばれたように…)

【報道機関の「過剰取材」に関しては、「表現の自由」も考慮し、報道機関などが「人権侵害について自主的な解決に向けた取り組みを行うよう努めなければならない」とした】(この点は、表現の自由の観点から、当然評価できる)

民主党も、頑張ったね。

人権擁護法案提出困難?-しかし、差別を禁止する立法は必要

2005-05-10 23:29:00 | 人権擁護法案(原則必要派)
読売新聞によると、
http://news.goo.ne.jp/news/kyodo/seiji/20050510/20050510a1200.html

【自民党は10日、党内調整が難航している人権擁護法案について、今国会提出を当面先送りする方針を固めた。小泉純一郎首相が最重要法案と位置付ける郵政民営化関連法案の成立を目指した国会会期の延長幅にもよるが、人権擁護法案の今国会成立は困難な情勢になった。】

という。

【同法案の取り扱いをめぐり10日、与謝野馨政調会長と推進派の古賀誠人権問題等調査会長(元幹事長)、反対派議員でつくる「真の人権擁護を考える懇談会」の平沼赳夫会長が会談。同懇談会で今月末までに法案の問題点をまとめ、その上で法案修正も含めあらためて協議することで合意した。これにより法案提出は6月以降にずれ込むことが確実になった。】

という状況らしい。

確かに人権擁護法案には、独立性の問題、メディア規制の問題など修正すべき点はあった。
しかし、人権侵害、特に差別を禁止する立法の必要性は否定できない。今国会での修正しての提案・成立が困難だとしたら、直ちに、次期国会以降差別禁止法を制定するための取り組みを始めなければならない。

民主党内での反対派の意図は?

2005-04-27 00:32:47 | 人権擁護法案(原則必要派)
民主党一部議員が人権擁護法案に反対する会を立ち上げたらしい。
【わが会派でも、来週26日夕刻に、櫻井よしこ氏、政治両論家の屋山太郎氏をお迎えしての勉強会を開催します。
 この法案は、そもそも、3年前廃案になったものがほぼそのまま提案されようとしたことに国会の権威が損なわれています。
 改めて問題点を示しますと、大きく2つあります。一つは、メディア規制です。このままの法案が通ると、自由な言論、報道は出来なくなります。(修正案で規制は撤廃する密約もあるようですが・・・)二つ目は、人権擁護の意味です。この規定があいまいなため、法律の解釈の幅が大きく、恣意的に悪用される危険性をはらんでいます。
 わが会派にも様々な考え方があるのも承知しておりますが、一政治家として、国政を担う責任からして、正々堂々と主張して参ります。
】http://www.shinnpei.com/diary/index.html

とのこと。

二つめの議論て、結局、自民党の反対派と同じことなのでしょうか…。勘弁してほしい。