少し古い話ですが,触れざるを得ない,この問題。岩手日報によると,【新司法試験の導入などで弁護士志望者が現在の倍近くになるとみられる2007年に、弁護士事務所の求人が就職希望者を下回る可能性が高いことが23日、日弁連のアンケートで分かった。】という。
この【アンケートは今年5-7月、全国の弁護士を対象に実施し、所属事務所ごとに回答をまとめた。1万1076事務所のうち3146事務所の回答を得た。
日弁連は、従来の司法試験合格者と法科大学院修了者が対象の新試験合格者の司法修習終了が重なる07年の修習終了者は約2500人、うち今年より約1000人多い約2200人が弁護士になると見込んでいる。
アンケート結果によると、07年の弁護士の採用予定は07年の修習修了者が875人、その他105人の計980人となっている。】という。
日弁連のHP(←クリック)でも,【来年度(60期)は、現60期司法修習生と法科大学院出身者で新司法試験合格者である新60期司法修習生の修習終了者は、本年度と比較して合計約1000人増加すると推測されます。アンケートによって、求人に関する有用な情報を入手できましたが、現段階では未だ多数の弁護士事務所が60期の採用計画を決めていないことや、採用予測をする上で数多くの考慮すべき要素があることから、現時点において確度の高い求人数の予測はできませんでした。しかしながら、現時点においては、弁護士事務所就職希望者数より求人数の方が下回っている可能性が大きいと考えます。】と説明している。
法曹資格を持つものが毎年3000人になることが予定されているが,その最初の年に,もはや,弁護士が余ってしまうことが判明したというのは衝撃的だ。弁護士が余るということは,最初から1人で独立して弁護士を開業するほかなくなる。顧客を持たない新人弁護士が増大すると,いわゆる「悪徳弁護士」が増えることになる。なぜなら,相談者は,困ってほかに相談するところがないから弁護士のところに来るのであり,騙そうと思えば簡単に騙せるし,他方,事務所を維持するための費用は毎月かかるから,騙そうっていう動機もあるからだ。
これまでは,いきなり独立開業するのは地方だと相場が決まっていた。地方の場合,弁護士会や周囲の弁護士が顧客や業務についてフォローしてくれるので,上記の問題点が顕在化することは避けられた。
しかし,行く当てのない弁護士が都会で次々と開業した場合は,上記問題点が顕在化することは避けられない。
日弁連の総会で,弁護士大幅増員の可否について決定した際,賛成に投じた皆様,そういうことがないように,自分たちの事務所できっちり,採用して下さいね!
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この【アンケートは今年5-7月、全国の弁護士を対象に実施し、所属事務所ごとに回答をまとめた。1万1076事務所のうち3146事務所の回答を得た。
日弁連は、従来の司法試験合格者と法科大学院修了者が対象の新試験合格者の司法修習終了が重なる07年の修習終了者は約2500人、うち今年より約1000人多い約2200人が弁護士になると見込んでいる。
アンケート結果によると、07年の弁護士の採用予定は07年の修習修了者が875人、その他105人の計980人となっている。】という。
日弁連のHP(←クリック)でも,【来年度(60期)は、現60期司法修習生と法科大学院出身者で新司法試験合格者である新60期司法修習生の修習終了者は、本年度と比較して合計約1000人増加すると推測されます。アンケートによって、求人に関する有用な情報を入手できましたが、現段階では未だ多数の弁護士事務所が60期の採用計画を決めていないことや、採用予測をする上で数多くの考慮すべき要素があることから、現時点において確度の高い求人数の予測はできませんでした。しかしながら、現時点においては、弁護士事務所就職希望者数より求人数の方が下回っている可能性が大きいと考えます。】と説明している。
法曹資格を持つものが毎年3000人になることが予定されているが,その最初の年に,もはや,弁護士が余ってしまうことが判明したというのは衝撃的だ。弁護士が余るということは,最初から1人で独立して弁護士を開業するほかなくなる。顧客を持たない新人弁護士が増大すると,いわゆる「悪徳弁護士」が増えることになる。なぜなら,相談者は,困ってほかに相談するところがないから弁護士のところに来るのであり,騙そうと思えば簡単に騙せるし,他方,事務所を維持するための費用は毎月かかるから,騙そうっていう動機もあるからだ。
これまでは,いきなり独立開業するのは地方だと相場が決まっていた。地方の場合,弁護士会や周囲の弁護士が顧客や業務についてフォローしてくれるので,上記の問題点が顕在化することは避けられた。
しかし,行く当てのない弁護士が都会で次々と開業した場合は,上記問題点が顕在化することは避けられない。
日弁連の総会で,弁護士大幅増員の可否について決定した際,賛成に投じた皆様,そういうことがないように,自分たちの事務所できっちり,採用して下さいね!
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ところが同じことが他の国家資格でも起こっています。典型例が税理士・司法書士・薬剤師です。税理士も経済大学院を出ると試験が免除になるため,それを利用して税理士がここ数年で急激に増えました。ところがその税理士を受け入れるだけのマーケットがない。不況のせいで零細自営業者がばたばた潰れたものだから,自宅で事務所を開いても顧客を集めきれなく,年度末に税務署のバイトをして糊口を凌ぐはめと……。
薬剤師も同様で,4年制から6年制への移行期間に,大量の「薬剤師ジプシー」が発生しました。ドラッグストアが各地で大量出店したため,その「店員」として4年制を出たばかりの「薬剤師の卵」が雇われたのです。ところが薬剤師というのは初任給は高いものの,医師と同様基本給は一生同じなんですね。だから若い薬剤師の卵は大金を手にして,あちこちの薬店を渡り歩くという訳です。その結果,本来なら病院にて2年間の継続研修をうけなければならない彼らは,単なる薬店の売り子として一生を終える,下手をするとフリーターになってしまうという訳です。
他にも色々ありますけど,理科系の資格商売でさえこのざまですから,「悪徳ヤクザ医師」がこれからどんどんのさばっていくのは悪辣な将来像のように思えてなりません。
そこで、国民の人権実現の見地から司法改革について言えば、
①開業医程度の「かかり付け弁護士」が身近にいて欲しい。そのためには、医者と同じように弁護士の地域偏在の問題があるだろうが、それは国民の責任ではなく弁護士自治の問題であるから、弁護士会の規則で解決する性質の問題だ。
そもそも、日本国の弁護士の数が少なくて「かかり付け弁護士」が地域に開業医ほど身近にいないことは述べた。
国民の裁判を受ける権利を実現する見地から、弁護士偏在問題と関係付けて弁護士の数も増やしていくべきである。
さて、論点が逸れるが一言しておく。国民の職業選択の自由を実現していく見地から、司法試験は競争試験を廃止し、資格試験に切り替えていくべきである。このことは弁護士業のみならず、すべての「試験」について言える。
ところで、②国民の見地から言えば、弁護士費用が高額であるという問題である。弁護士をかかり付け医と同程度に国民に根付かせて、国民の裁判を受ける権利を実現するには、医療制度のような「国民皆保険」制度を実現する必要がある。
司法改革を国民の裁判を受ける権利の実現の見地から進める民主主義運動の先頭に弁護士・弁護士会が立つということである。
さて、弁護士・弁護士会が自主的・積極的・自治的に以上のような国民運動を進めることは弁護士法の趣旨から当然の社会的責任となる。
しかし、今現在の社会環境を見れば、弁護士業に対する「国民皆保険」制度は存在せず、労働者・勤労者の総額人件費も削減されてきており、大企業のみが内部留保金を溜め込み、利益を上げている社会環境にある。さらには、都市と地方に格差が拡がっている。
こうした具体的な社会環境の下において、弁護士の数だけを増加させても、労働者・勤労者の受け取る賃金総額は低下しているので、国民の裁判を受ける権利は実現しない。しかも、弁護士の数を増やして弁護士の供給量を増やすわけだから、労働者・勤労者と共に弁護士の労働条件も低下していく。
そうして、労働者・勤労者相手の弁護士は貧困化していくのであるから、社会環境は弁護士に対し、自らの労働条件を防衛することを迫り、勢い弁護士は利益を上げている大企業相手に業務を行うことになっていき、弁護士法の精神は崩壊するであろう。しかも、弁護士の数は増加していくのであるから、大企業相手でも今現在よりも弁護士の報酬単価は低下していく。
結局、弁護士・弁護士会が搾取社会・階級社会の本質を認識した上で、弁護士法の趣旨に誠実であるのならば、弁護士・弁護士会は国民に対し、弁護士の労働条件の現状を全部公開しながら、労働者・勤労者・国民と共に労働運動・国民運動を積極的に闘い、労働条件と生活の向上を実現せねばならない。
弁護士・弁護士会にとっての司法改革とは労働者・勤労者の組織する労働組合運動による全労働者・勤労者の労働条件向上運動であり、同時に、国民の裁判を受ける権利を中心として全国民の生活向上を実現していく国民政治運動に対し、全弁護士に強制加入を義務付ける弁護士自治・倫理改革なのである。
ゆえに、弁護士としては大企業との顧問契約は最悪の裏切り行為となり、弁護士としての免許の取り消しを執行せねばならない。
もちろん、個別具体的な違法行為問題については大企業であろうが、国家権力であろうが、弁護士・弁護士会が総力を挙げて団結し、大企業・国家権力に対するあらゆる勢力の違法行為・「暴力」を排除していくことは当然の任務・職責となる。
最後に、現状の弁護士の労働条件についての正確な情報を弁護士会が、分かりやすく丁寧に労働者・勤労者に説明している事実があれば、労働者・勤労者は弁護士の雇用・労働条件を引き下げるような財界・自公政権の無謀な司法改革に反対し、投票に向かうと思います。
というか、国民世論を憲法完全実施による人権擁護・社会正義実現の方向に向けていくことが弁護士・弁護士会の社会的責任であることは当然である。
東西南北さんが長々と言われた司法改革というのは,まさにこういう知識を弱い立場の人々に啓蒙することだと私は思うのですけど,いかがでしょうか。(^^;)確かに弁護士は少なすぎますね
# 政治家になるために立派なテナントを借りて弁護士活動をしてるろくでなしもいるから,まさに薬剤師と似たり寄ったりなんだけど。
よって、国民の裁判を受ける権利を実現するには、裁判費用を国民的に負担する制度が必要であり、それは国民皆保険の医療制度がモデルになるんじゃないかと考えるわけです。
やはり、裁判費用の高額負担と「かかりつけ弁護士」の不足は国民の裁判を受ける権利の阻害要因です。
そこで、労働運動と政治運動が必要となり、労働者・庶民の立場で弁護士・弁護士会が先頭に立つことは当然だという趣旨でした。
私も、いつも「訴えてやる!」と、怒っているのに
一度も訴えたことがありません。裁判のやり方も知りません。こういうことこそ小学校から教えてほしいものです。
思い返せば、小学校5年生のとき「ベニスの商人」という劇を学芸会で観ましたが、それが裁判だと知ったのは大人になってからでした。
法科大学院や弁護士増員の真の狙いは何ですか?
よって、私たち労働者・国民にとって必要な意識・態度、つまり積極性・主体性・独立性・変革性・教育性・主権者意識は次のとうりです。
①どのような司法を要求していかねばならないのか、②そのためにはどのようにして学習を進めていかねばならないのか、③あるべき司法の姿はどのようなものなのか、④では、どのようにして現実の司法を理想の司法に接近させていくか、です。
私たち労働者・国民に必要な意識と態度は、少なくとも、①政党公式ホームページ等出版物②労働組合公式ホームページ等出版物、③弁護士会公式ホームページ等出版物④新聞社公式ホームページ等出版物⑤テレビ・ラジオ報道等を中心に独習・独学する独立性・主体性・主権者意識を実行した上で、政党・労組・弁護士会等の労働・住民・国民運動団体に相談し、協力して現実を理想に接近させていくことです。
労働者・国民の一人ひとりが現実を変革する理想とそれを実現していくプロセス、そのための団体・組織の創造・運営のあり方を自主独立した学習運動で認識することでしか国家権力の民主化を実現することはできないということが「個人の尊厳」を打ち出した日本国の憲法の精神だし、社会科学の結論です。
その上で、「法科大学院や弁護士増員の真の狙いは何ですか?」についての回答です。
それは①司法試験制度において、法科大学院導入の前と後の実態を比較すれば分かります。②弁護士増員については「ヤメ記者弁護士」のレポートの通りです。
法科大学院や弁護士増員に賛成した勢力の真の狙いは、早くも、こうした事実によって証明されたのではないでしょか。つまり、反対した勢力の理論上の洞察が的中したのであるから真の司法改革を労働者・国民がどう認識し、どう実現していくかという情勢です。