情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

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なぜ日本国籍がないと調停委員になれないのか~司法参画における人権差別

2006-08-20 20:33:05 | 適正手続(裁判員・可視化など)
法の下の平等を実現すべき裁判所が国籍による差別を行っていることを批判する論考「なぜ日本国籍がないと調停委員になれないのか~司法参画における人権差別」が日弁連会誌「自由と正義」2006年7月号に掲載された。【二〇〇三年、兵庫県弁護士会が、神戸家庭裁判所からの家事調停委員推薦依頼に対して、韓国籍の四五期の女性会員を候補者として推薦したところ、同家庭裁判所から「調停委員は、公権力の行使又は国家意思の形成への参画にたずさわる公務員に該当するため、日本国籍を必要とするものと解すべきであるので、最高裁判所には上申しないこととなった。」という説明がなされ、同弁護士会は当該会員の推薦を撤回せざるを得なくな
った】というのだ。

確かに,公権力の行使又は国家意思の形成への参画にたずさわる公務員には日本国籍を必要とする趣旨の判例はある。

しかし,上記判例は濫用されてはならない。

調停委員とは裁判所の説明によると,【調停委員は,調停に一般市民の良識を反映させるため,社会生活上の豊富な知識経験や専門的な知識を持つ人の中から選ばれます。具体的には,原則として40歳以上70歳未満の人で,弁護士,医師,大学教授,公認会計士,不動産鑑定士,建築士などの専門家のほか,地域社会に密着して幅広く活動してきた人など,社会の各分野から選ばれています。平成17年現在,全国で約2万人の調停委員がいます。】(ここ←クリック)ということだが,このような調停委員が【公権力の行使又は国家意思の形成への参画にたずさわる】といえるだろうか?

裁判所は自ら判例を拡大して国籍差別の歯止めをなくそうとしているようにすら思えてしまう…。

しかし,他方で裁判所が調停委員よりも公権力を行使する立場に近いと思われる破産管財人については,【破産管財人、相続財産管理人および不在者財産管理人の就任実例について最高裁が「不明(肥握していない)-としたことも注目される。全国で多くの外国籍弁護士がこれらの職に裁判所から任命されており、外国籍者の就任実例があることは公知であるにもかかわらず最高裁は、あえて「不明(把握していない)」と回答した。さらに、参与員以下の職について最高裁が事務部門の運用取扱例も明らかにしなかったことも注目される。】と突っ込みを入れている。


この疑問に裁判所はどう回答するのだろうか?








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