情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

訴訟になった方が儲かる弁護士?!とILO偽装請負勧告を無視する?!政府

2006-08-10 22:51:12 | そのほか情報流通(ほかにこんな問題が)
増田尚弁護士のブログをみてびっくり。何と,「弁護士は示談交渉で終わらせるよりも、訴訟になった方が儲かる職業である。それに対して、行政書士は訴訟になると儲からない職業である。したがって、行政書士に示談交渉を認めることで、訴訟とならずに済交通事故損害額算定書の作成やクーリング・オフの通知、そむ件数は飛躍的に増えると考えられる。なお、行政書士会連合会は倫理規定を設けており、行政書士による犯罪の発生率が、弁護士よりも高いといったデータや、弁護士よりも凶悪な犯罪を犯しているといったデータは無い。行政書士に示談交渉をするだけの倫理が無いと回答するのであれば、その根拠となるデータを示すべきである。また、行政書士には、示談書などの契約書を作成することのみならず、行政書士法1条の3により、『代理人として作成をすること』をも業とすることが法律上が認められている。したがって、行政書士法を所管しない法務省が、総務省に相談もしないまま、行政書士に法的能力が乏しいと回答することは、根拠の無い回答と言わざるを得ない。初めから全国一律に開放することが困難であれ防ぐためのものであるが、行政書士を三百代言として規制ば、構造改革特区制度を利用して、試験的に行政書し、示談交渉の代理を弁護士に独占させることは、本来の弁士に示談交渉を認め、データを取ってみてはどうか。護士法第72 条の趣旨を逸脱しているものと考えられる。そもそも、弁護士法第72 条は三百代言を取り締まる規定であり、行政書士までをも三百代言として禁じる目的で定められた法律でないことは、国会議事録からも明らかである。』という意見を、構造改革特区推進室・地域再生推進室がまともにとりあげ,これに回答するよう法務省に指示しているのだ(ここ←クリック)。

法務省が,「弁護士法第72 条が非弁護士による法律事務取扱の禁止を定めているのは,厳格な資格要件が設れ,かつ,その職務の誠実適正な遂行のための必要な規律に服すべきものとされるなど, 法律専門家としての能力的・倫理的担保を図るための諸般の措置が講じられた弁護士が法律事務を独占することが, 国民の法律生活の公正円滑な営みと法律秩序の維持のために必要とされたからである。行政書士については,上記のような法律専門家としての能力的,倫理的担保が図られていないから,示談交渉のような法律事件に関する法律事務を行政書士に行わせることは,弁護士法第72 条の趣旨に照らし,相当でない。」と回答しているにもかかわらずだ。

示談交渉をする前提として,それが裁判で争われた場合の予測をすることは不可欠であり,そのような予測なくして,すなわち,法的根拠を伴わない示談交渉はかえって事案の解決を困難にするということは明らかである。

それにもかかわらず,内閣府がこれをまともにとりあげるのは,どういう趣旨か?まったく分からない!


こんなことをまともに取り合うくらいなら,偽装請負に関するILOの勧告(←クリック)に真面目に取り組んだらいかがか!

同勧告は,

①労働市場構造の変化による結果として,事実上被用者であるのに,雇用関係に伴う保護が得られない労働者において,労働組織と法律の適用が不完全な場合が増加している。このような,見せかけの自営業はフォーマルではない経済で多く発生しているが,労働市場構造が整っている国でもこのような現象は増えている。こうした変化は近年のものである場合も,何十年間も存在し続けた場合もある

という認識を踏まえた上で,

②特に依存労働者と自営業との区別など,雇用関係について明確な指導を労使に提供すること,効果的で適切な保護を労働者に提供すること,適切な法的保護を依存労働者から奪う結果となる偽装雇用をなくすこと

などを求めている。


…こういうことをいうから,弁護士の職域を侵して兵糧攻めにして黙らせようっていうことになるのかねぇ…。



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タイトル名変更~News for the people in Japan

2006-08-10 21:20:02 | インターネットとメディア
情報発信源の一つにしたいという思いで始めたHPの名称をNews for the people in Japan(←クリック) に変更しました。従前の名称だと,日本人のニュースという印象で,日本に在住・滞在している外国人を排斥するような感じがするとのご指摘を受けたための変更です。

市民側の掲示板としても使って頂きたいと思っています。催し情報などありましたら,お知らせ下さい。テスト版ではありますが,有益な情報については,流通の一助になりたいと考えています。




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憲法改正国民投票法案の法律案資料のご紹介~どの用紙なら納得できるか?

2006-08-10 03:52:25 | 憲法改正国民投票法案そのほか
前回の国会で提出された憲法改正国民投票法案の衆院委員会での参考資料がHPに掲載されていますので,ご紹介します。「衆憲資第 72 号 (未定稿) 日本国憲法の改正手続に関する法律案」というタイトルで,ここ(←クリック)にあります。引用したとおり,非常に分かりやすく書かれているところもあり,問題点がどこにあるか,いろいろな批判が正しいかどうかなどを自分で検討するための資料として使えそうです。

巻末には,各国の投票用紙がありますので,実際に投票するようなことになってしまったら,どの程度の内容が書かれた用紙でないと納得できないか,シミュレーションしてみるのもいいかも。


個人的には,投票方法の問題に加え,広報について賛成,反対のバランスをいかにとるのか,運動の主体が限定されすぎていないか,などに関心があります。




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情報源秘匿に対する侵害?~米国連邦高裁判決

2006-08-10 02:39:44 | メディア(知るための手段のあり方)
少し古い話ですが,備忘録的に取り上げます。東奥日報(共同配信)によると,情報源の秘匿を害する判決が下されたという。(参照はここここなど)

■■引用開始■■

【ニューヨーク2日共同】米紙ニューヨーク・タイムズが米当局によるイスラム系団体の捜索情報を事前に入手、捜索前に報道したことについて、ニューヨークの米連邦高裁は1日、1審判決を覆し、情報源を突き止めるため、政府が同紙の2記者の通話記録を調べてもよいとの判決を言い渡した。米メディアが伝えた。

 記者の1人は米中央情報局(CIA)工作員名漏えい事件で取材源を守るため、大陪審証言を一時拒否し、刑務所に収監されたジュディス・ミラー元同紙記者。高裁判断は、情報源保護を前提とする報道機関にとって新たな痛手となった。


■■引用終了■■

う~ん,これは…。当然,上訴するんでしょうね?と思って探したら,

ニューヨークタイムズに,「Mr. Freeman said The Times had not decided whether to pursue an appeal, either to the full appeals court, the United States Court of Appeals for the Second Circuit, or to the United States Supreme Court.」という記事があり,一応,上訴はするようだ。


上訴の結果が注目される。

ところで,ACLU(米国自由人権協会)が先日,連邦シールド法(情報源秘匿を補償する法)制定を求める書面(←クリック)を上院法務委員長に提出した。

この中には,Reporters’ Privilege is Important to Maintain the Flow of Information to the Public(市民への情報流通を維持するためには,記者の特権が重要だ)などと泣かせるフレーズが出てくる…。

米国議会の良識にも期待したいが…。




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新聞博物館が自由研究企画!~戦争とメディアの展示も

2006-08-10 01:46:28 | メディア(知るための手段のあり方)
日本新聞博物館(←クリック)が夏休み期間特別企画(←クリック)として,自由研究企画を用意しているようです。同時に戦争と報道をテーマにした展示もしていますので,メディアリテラシーの観点からも,お立ち寄り下さい。

■■引用開始■■

①夏休み自由研究 親子新聞作り教室 (事前申込制)
記事の書き方、写真の撮り方、レイアウトの仕方など、新聞づくりのノウハウを楽しくていねいに指導
します。パソコンを使って実際に新聞を作る実習も行います。
▼日 時:第1回 7月29日(土)13:00~15:00 レクチャー(新聞を作る楽しみ/記事の書き方/写真
の撮り方)と新聞製作体験
第2回 8月19日(土)13:00~15:00 実際の新聞製作
※ 電話でお申し込みください。連続講座なので、両日とも受講が必要です。
(先着順・事前申込制により小・中学生8組の親子)
②夏休みの思い出を新聞に残そう!
楽しかった夏休みの思い出を、写真新聞に残してみませんか。デジタルカメラで撮影した写真を使って、
新聞製作工房でオリジナル新聞が作れます。夏休みの自由研究に「あなただけの新聞」を作ってみよう!
▼日 時:8月26日(土)~31日(木)10:00~16:00(受付時間)※8月28日(月)は休館
▼会 場:新聞製作工房
▼お持ちいただくもの:デジタル写真を12,13枚(写真データ)
※ 紙にプリントした写真は使用できません。
※ 写真データは、デジタルカメラ付属メディアあるいはフロッピーディス
ク、CD、MO、DVDにJPEG形式で保存してお持ちください。新聞
製作工房ではWindowsのパソコンを使用しています。マッキントッ
シュ用のメディアは使用できません。
※ 実際に掲載できる写真は8枚程度で、写真の組み合わせによって変わり
ます。縦長写真と横長写真を合わせて12,13枚お持ちください。また、
掲載の優先順位と場所・日時などの短い写真説明文(キャプション)をあ
らかじめお考えください。
※ 作業中にデータがこわれることもありますので、写真データのバックア
ップは各自でとってください。

■■引用終了■■




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馬に有利なルールでいいのか~労働法制改悪に反対

2006-08-10 00:03:43 | そのほか情報流通(ほかにこんな問題が)
先日紹介した「労法センターニュース」に掲載された近藤昭雄・中大教授の講演録についてもうひとつご紹介したい。というのも,労使関係のあるべき姿について示唆的なお話だからです。

動脈硬化や高血圧などの基礎疾病がある場合には,労災認定が難しいということについて次のように話されています。

■■引用開始■■

ところが、厚生労働省などが使う基準は何かというと、例えば100人の労働者が働いている時、ある人が脳血管疾患とか虚血性心疾患で倒れたということになると、他の99人がケロッとしてピンピンしていると、それは本人の基礎疾病が原因であるということにしてしまいます。即ち、特にその人の仕事が過重で、自然的増悪の過程を超えて、わっと急に、仕事がその人だけ増えたから、或いは重いものが課せられたから、だからその人が過労死したという関係がないとダメだという理屈にもっていく訳ですね。
 ですから往々にして、厚労省、労働基準監督署の認定が厳しいのは、このような論理枠組みが原因であるともいえる。そうすると、レジュメでは相当因果関係説の根本的問題性という表現を使っておきましたが、業務が相対的に有力な原因となって、その当該の病気とか怪我が発生したものでなければならないという理論的前提が、大きな問題になる。要するに、仕事の中に含まれる危険性が現実化して、その結果、病気とか怪我とか死亡が発生した場合、初めて業務災害に当たると。そうではない他の要因が働いた場合は業務災害に当たらないとする考え方、それが大きな問題ということになる。
 皆さんはある程度違和感を感じてらっしやるかと思いますが、自然的増悪の過程と言うけど、これ、どんなものなのだろうか?考えてみれば、これは単なる机上の空論ではないのか、と。
 労働者というのは、仕事に従事しているあいだに、だんだんと少しずつ有害因子に蝕まれて悪化していく訳です。朝から晩まで寝ていられて、それで優雅にメシを食えていけるのだったら、誰だってそうしたい。基礎疾病をもっていても働かざるを得ないという現実の中で病気が発生する訳ですから、そのことを含めて保障するのが社会保障というべきものである。労働者というのは、ちょっとぐらい病気、持病をもっていようと、仕事に就いて生活を維持せざるを得ないところに労働者の労働者たる所以があるのであって、発病の過程は、まさに業務従事に基づく悪化の過程なのであるから、そこの過程で発生したものも、基本的には業務災害として捉えるべきで、特に仕事が原因でということを労働者の側で立証しなければダメだという判断枠組み、論理枠組みというのは、僕は、労働の現実ということを無視した、単なる机上の空論に過ぎないと思います。仕事に伴う災害、即ち、自然的増悪の過程それ自体が、仕事によって蝕まれていく現実の結果なんだということを踏まえた上で議論していくのか、これらの問題の基礎であるべきではないのかと考えています。

■■引用終了■■

いま,労働者と使用者が対等であるかのような労使関係論が幅を利かせているように思いますが,実際には,上記講演のように労働者は働かざるを得ない現実があります。他方,使用者側には,選ぶ権利があります。

ジョン・スタインベッックは,「アメリカで社会主義が根づかなかったのは,貧乏人が自分たちを搾取されたプロレタリアートではなく,一時的に困っている億万長者だとみなすからだ」と述べたといいます(「暴走する文明」ロナルド・ライト著149頁)。

現代の日本の労働者は,自分たちをどのように見ているのでしょうか?

ロナルド・ライトは,1970年代以降,新右派は,民主的な資本主義を突き崩し,無限の成長を前提とした競争社会に退行させることに成功した趣旨の説明をしたうえ,規制緩和について,「古い考え方を新しい包装紙にくるみ,それを使って,選挙で成立する政府から選挙の先例を受けない企業へと権力のテコを移動させようとする。そのために,メディア内部にいる右派の太鼓持ちたちが,右派政治家たちの目的を『減税』や『規制緩和』として売り込んだのだ。馬にたらふくカラスムギを食わせれば,スズメたちにも何かおこぼれがあるだろうという自由放任経済の発想(ヤメ蚊注:そして,自分たちがいつの日か,スズメから馬になれるかもしれないという夢)は,これまでもいくたびとなく試みられ,いくたびとなく失敗して,廃墟と社会的瓦礫を残してきた」と述べています。

スズメが馬になることを夢見て,馬にとって有利ないまのルールを温存するより,スズメにもきちんと配当するようにルール改正を迫ることの方が大切なのは明らかではないでしょうか?!自分が馬になったとしても,馬に一方的に有利なルールである必要はないと考えることが「民主的な資本主義」だと思うのです。

労働者側は圧倒的に弱い立場にあることを踏まえ,「よりのうのうと」働けるようなルールを実現するよう声を挙げていきましょう!労働法制の決定的な改悪を防ぐために!




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