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【絵本から専門書まで】 塾講師が、生徒やご父母におすすめする書籍のご紹介です。

『評論家入門』 小谷野敦

2008年07月04日 | 新書教養


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 『禁煙ファシズムと闘う』 と 『バカのための読書術』 の2冊 、いずれも大変刺激的な小谷野氏の著作(前者は共著)をこれまで拙ブログで取り上げましたが、本書もそれら同様に非常におもしろい一冊でした。

私はこうしてブログは書いていても、自分が、“物を書く” ことを職業にしようなどとは、まったく考えたこともないのですが、塾講師でいるとまわりに “いずれは小説家になりたい” という夢を持っている人間に何人か出会うものです。

もちろん国語や社会など文系の講師に多いのですが、やはり常人とは違うスケールというか、考え方というか…。そういう人の授業を聞いていますと、おもしろいし、読解などにも妥協がありませんね。問題集に付いている解説よりも詳しいし、奥が深い。


また、こうしてブログを通して、小説ではなくても、灘高の キムタツ先生 や、当教室の吉野先生など、実際にご自分の著作を何冊も持っている方々と直接お知り合いにもなることができました。出版に関するお話をうかがうのは興味深く、現実の世界は想像とは違っていることが多いですね。


本書は、ものを書くことを職業にするとはどういうものなのか、“(小谷野氏のような)評論家になりたい” という人に向けて書かれています。

ご自分の経験を中心にして、評論家とはいったいどういう商売なのか、どれほどの勉強が必要で、収入はどうで、世に出るためにはこんな苦労があるぞ、などということを教えてくれます。

新書が一冊でもヒットすればそこそこ生活できる…、な~んて考えている人々にも、それで得られる収入が、世間で想像されているよりずっと低いことなどをストレートに語り、それでも書きたい人には、“エッセーを書く” ように勧めています。

さらに、言論界の裏話のようなものから良い評論や悪いものなど、本書自体が入門書であると同時に、評論、エッセーとして私は楽しめました。小谷野氏の歯切れの良い切り口が魅力的です。


以下が目次です。

第1章 評論とは何か―「学問」との違い
第2章 基本的な事柄とよくある過ち
第3章 評論をどう読むか
第4章 『日本近代文学の起源』を読む
第5章 評論家修行
第6章 論争の愉しみと苦しみ
第7章 エッセイストのすすめ、清貧のすすめ


最終章にある、“清貧のすすめ” が本書全体の主張となっているのではないでしょうか。新進気鋭、人気の売れっ子評論家のように外からは見えても、そうなるためには大変な量の勉強や読書が必要であるし、そうなったとしても甘い生活があるわけではないということが分かります。

評論家志望でなくても、本好きの方ならばきっと興味深く読める一冊だと思います。



P.S. 久しぶりの書籍紹介になってしまいました。時々、のぞいて頂いた方、本当にすみません。 


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評論家入門―清貧でもいいから物書きになりたい人に (平凡社新書)
小谷野 敦
平凡社

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