2014年、ウクライナの領土だったクリミア半島を、ロシアが一方的な軍事侵攻によって強奪しかことは記憶に新しい。これで、ロシアは西側諸国の制裁により経済危機に陥ってきた。
ロシアによるクリミアの併合
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%82%B7%E3%82%A2%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%9F%E3%82%A2%E3%81%AE%E4%BD%B5%E5%90%88
クリミア危機・ウクライナ東部紛争
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%9F%E3%82%A2%E5%8D%B1%E6%A9%9F%E3%83%BB%E3%82%A6%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%8A%E6%9D%B1%E9%83%A8%E7%B4%9B%E4%BA%89
ロシアは、15世紀イワン三世の時代から徹底した大国主義と帝国主義で、領土拡張だけに国家存亡の価値観を求めてきた。侵略戦争は国是といってもいい。
ロシアにとって、ソビエトに変わり、再びロシアに戻った現在でも、他国領土強奪は、いわば習慣的嗜好であり、自尊心の満足である。
日本もまた、戦前、ソビエトとの間に「日ソ中立条約」が結ばれていながら、日本の敗色が色濃くなるとともに、スターリンソ連は一方的に条約を破棄し、日本領土に攻め入り、北方領土を武力で強奪した。
https://www.nemuro.pref.hokkaido.lg.jp/ts/hrt/hoppouryoudo_history.html
今回、ロシアは、ウクライナ全土を併合する下心を持って、軍事的恫喝に臨もうとしている。
ロシア、ウクライナ国境に兵力集結 年初に17.5万人規模の侵攻作戦か 2021.12.05
https://www.cnn.co.jp/world/35180392.html
ロシアとアメリカ、ウクライナで戦争が起こるのか。なぜこうなったのか。現状はどうか。12/5
https://news.yahoo.co.jp/byline/saorii/20211205-00271195
上のリンクでの解説は、ウクライナがNATOとEU加盟を求めて旧ソ連圏からの独立を求めていることに対し、領土拡張は大好きでも、縮小が大嫌いなロシアが軍事的な圧力をかけて強引に阻止しようとしているとされる。
しかし、この背景には、クリミア半島強奪によって大規模な経済制裁を受け続けているロシアが、経済的に追い詰められ、国内で反プーチンの激しい運動が勢いを増していることで、「内憂を外患に転嫁する」という戦略により、軍事侵攻の戦争非常事態をもって国内勢力を武力弾圧したいということだろう。
以下に現代ビジネス、近藤大介の記事を紹介する。とても綿密で深い分析だ。
ロシア「ウクライナ侵攻計画」プーチンの強気の背景にある中国との“準同盟”関係 20121207
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/90094
まさに「年末に危機あり」である。
先週、米『ワシントンポスト』(12月3日付)が、衝撃的な記事を掲載した。タイトルは、「ロシアがウクライナに対する17万5000人の軍人を含む大規模な軍事攻撃を計画していると、アメリカの諜報機関が警告」。
記事はかなりの長文だが、要するに、このまま行けば、年明けにもロシア軍がウクライナに侵攻すると、アメリカの諜報機関が警告しているという。2014年3月にロシア軍がウクライナのクリミア半島に侵攻し、併合してしまった時よりも、世界に大きなインパクトを与える可能性がある。
今回、ロシアは、武力行使に出ようとしている理由を、「ウクライナ及びジョージアが、NATO(北大西洋条約機構)に加盟しようとしているから」としている。周知のように、1991年のソ連崩壊によって、東側陣営の軍事同盟だったワルシャワ条約機構は消滅したが、西側陣営の軍事同盟であるNATOは、社会主義圏の東欧諸国を次々に吸収し、拡大していった。
アイスランド、アメリカ、イタリア、イギリス、オランダ、カナダ、デンマーク、ノルウェー、フランス、ベルギー、ポルトガル、ルクセンブルク、ギリシャ、トルコ、ドイツ、スペイン、チェコ、ハンガリー、ポーランド、エストニア、スロバキア、スロベニア、ブルガリア、ラトビア、リトアニア、ルーマニア、アルバニア、クロアチア、モンテネグロ、北マケドニア……いまや加盟国は、30ヵ国に上る。
このように、現時点でほとんど「ロシア包囲網」となっており、ロシアからすれば、さらにウクライナとジョージアが加盟することは絶対に許せないというわけだ。そのため、「ウクライナとジョージアが将来的にもNATOに加盟しないという正式な文書での保証」を、NATOに要求している。要はアメリカに、「これ以上NATOを拡大するな」と迫っているのである。
この危機を受けて、12月2日にストックホルムで、アントニー・ブリンケン米国務長官と、セルゲイ・ラブロフ露外相による米露外相会談が開かれた。だが、双方の主張は平行線を辿った模様で、両外相が決めたのは、「両国のトップ同士で決めてもらおう」ということだった。
ラブロフ外相が単なる「プーチンの犬」に過ぎないことは「国際常識」だが、ブリンケン国務長官の「能力不足」も、このところ顕著になりつつある。今年一年のブリンケン国務長官を見ていると、まさに「言うだけ番長」という表現がピッタリくる。いつも素晴らしい計画を立て、正しいことを主張するのだが、実行が伴わないのだ。
もっとも、そのことはブリンケン国務長官の責任というより、ボスであるジョー・バイデン大統領の責任である。要はバイデン政権自体が、「口だけ政権」なのだ。ウラジーミル・プーチン大統領は、そうした状況を見透かして、ウクライナに脅しをかけているのである。2014年のクリミア併合の時もバラク・オバマ民主党政権時だったし、おっかないドナルド・トランプ共和党政権時には、蛮行には出なかった。
ウクライナ問題は結局、本日(12月7日)行われるバイデン米大統領とプーチン露大統領のオンライン米露首脳会談に委ねられることになった。世界が注目する年末の「大一番」である。
バイデン大統領は3日、記者団に向かって「プーチン氏が行動を起こしにくくするための包括的で有効な方策を練っている」と述べた。だが、途中で何度もせき込んでしまい、心もとない。79歳を迎えたばかりの歴代最高齢のアメリカ大統領が、米露首脳会談で決着をつけられなければ、いよいよウクライナは「年明け開戦」に向かっていく――。
プーチン大統領と習近平主席の関係性
さて、ここからは中国ウォッチャーの立場から述べるが、ロシアがここまで強気に押し込んでくる背景にあるのが、中国の存在である。中国との「準同盟」とも言える堅固な関係があるからこそ、向後の憂いなくウクライナと、その向こうにいる欧米に「攻勢」がかけられるのだ。
第二次世界大戦の時、当時のヨシフ・スターリン書記長率いるソ連は、西側のナチスドイツと、東側の日本帝国との「東西両戦」になる展開に悩んだ。そのため、1939年8月にドイツと独ソ不可侵条約を結び、1941年4月には日本と日ソ中立条約を結んだ。そうやって何とかして「東西両戦」を避けようとしたが、結局、同年6月に独ソ戦争が始まった。
そのためソ連は、西側の戦いに集中するため、対日開戦を避けようと必死になった。著名な在日ソ連スパイのリヒャルト・ゾルゲ氏は、「日本の北方進出はない」とモスクワに伝えた。この「西側集中」はナチスドイツを降伏させた1945年5月まで続き、ソ連は同年8月、満を持して兵を東側に移動させ、日本に攻め込んだのである。
現在も同様で、ロシアは「東西両戦」は戦えない。そのため、2000年5月に就任したプーチン大統領は、それまでのボリス・エリツィン政権の「親欧米路線」を急転換させ、「親中路線」に舵を取った。
プーチン政権の初期の頃、いかにプーチン大統領が中国との関係強化に腐心したかは、当時の両国関係の中国側キーパーソンの一人だった王海運少将(中国駐モスクワ駐在武官)が、回顧録『新世紀の中露関係』(上海大学出版社、2015年)で詳述している。
同書によれば、プーチン氏が2000年3月27日の大統領選挙で当選した時、当時の江沢民主席が、真っ先にプーチン氏に祝福の電話をかけた。26歳年上の中国国家主席から祝福されたプーチン氏は、こう述べた。
「初めて外国の国家元首から祝福をもらい、感激している。今後は『四不』政策を貫き、中国との関係強化に努めていく」
「四不」政策とは、台湾独立を支持しない、「二つの中国」もしくは「一中一台」を支持しない、台湾の主権国家としての国際組織参加を認めない、台湾に武器を売却しないというものだ。
同書によれば、1991年12月にソ連が崩壊した後、新生ロシアは当初、「欧米的民主国家」を目指したが、それでは「欧米の下につく二流国家」に過ぎなくなると悟り、中国との関係も重視し始めた。
そこで中国とロシアは、1992年に「相互に友好国家とみなす」約束を交わした。1994年に「21世紀に向けた建設的パートナーシップ関係」を結び、1996年に「21世紀に向けた戦略的協力パートナーシップ関係」を結んだ。1999年10月には、初の合同軍事演習を行った。
そうした下地の上に、プーチン時代になった2001年7月16日、中露はモスクワで中露善隣友好協力条約を結んだのである。同年6月15日には、両国が中心となり、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、ウズベキスタンを加えて、上海協力機構(SCO)を結成している。つまりは、旧ソ連圏だった中央アジア地域を、「アメリカの触手から守る」ための組織だ。
2004年10月、中露は長年の懸案事項だった両国の国境を完全に画定させた。その経緯は、日本と中露との外交に長年携わった外交官・井出敬二氏の著書『<中露国境>交渉史』(作品社、2017年)に詳しい。この時、中国から見て東側4320km、西側55km、合わせて4375kmに及ぶ中露国境は完全に画定し、両国間に「国境問題」はなくなったのである。
この中露関係を、さらに発展させたのが、2013年3月に国家主席に就任した習近平氏である。習近平主席はプーチン大統領に、「自分と同じ匂い」を嗅ぎ取ったのだ。
ウクライナ問題と台湾問題の共通点
ユーラシア大陸の2大国であるロシアと中国には、大別して二種類の政治家がいる。
第一は、ゆくゆくは欧米のような民主国家に向かって行こうと志向するタイプだ。ロシアで言うなら、ミハエル・ゴルバチョフ元ソ連代大統領、初期のボリス・エリツィン大統領、ドミトリー・メドベージェフ前大統領らだ。
中国で言うなら、胡耀邦元総書記、趙紫陽元総書記、胡錦濤前主席(前総書記)、温家宝前首相、李克強首相らである。
第二に、欧米民主国家など見向きもせず、かつての自国の皇帝(ツアーリ)時代に回帰しようとする土着派だ。ロシアで言うならプーチン大統領が、中国で言うなら習近平主席がこれにあたるのである。
そのため、2013年3月14日に習近平氏が国家主席に就任して初めて行った「仕事」は、モスクワが朝になるのを待って(北京とは5時間の時差がある)、プーチン大統領と電話で話すことだった。
プーチン大統領に、「史上最も友好的な中露関係を築きたい」と熱っぽく語り、翌週にはもうモスクワへ飛んでしまったのだ。
習新主席はクレムリンでのプーチン大統領との初会談で、長期政権の秘訣を尋ねた。そして「それは軍とエネルギーを完全に掌握することだ」と諭されると、感銘を受けた。また、旧ソ連時代から「外国人立入禁止」を貫いてきたロシア国防省にも、ねだって入れてもらった。
プーチン大統領から、1959年に父・習仲勲副首相(当時)がモスクワを訪問した時の写真を贈られ、これまた大感激である(その写真はいまでも「中南海」の総書記執務室に飾ってある)。習近平主席はプーチン大統領に、「年に5回の首脳会談」を提案し、快諾をもらった。
習主席は2014年2月、欧米首脳の多くが政治ボイコットしたソチ冬季オリンピックの開会式に参加した。そしてロシアは、冬季オリンピック閉会直後の同年3月、ウクライナのクリミア半島を併合してしまった。このことはますます、習主席の「プーチン信仰」を強め、「いつかあのように台湾を統一したい」と夢想を掻き立てることになった。
このように、習近平政権初期の中露関係というのは、「ロシアが兄貴分で中国が弟分」という関係だった。それは多分に、20世紀全般の中露関係を、そのまま引きずったものと言えた。
ところが習近平政権は2013年秋に、「ユーラシア大陸制覇」を目指した広域経済圏構想「一帯一路」(シルクロード経済ベルトと21世紀海上シルクロード)を打ち出した。習主席自身、多くの首脳会談や国際会議などを経験する中で、外交に自信をつけてきた。
思えば、ロシアは軍事大国、エネルギー大国ではあるが、経済規模は韓国程度、人口規模は日本程度である。習近平新時代の中露関係は必然的に、過去100年とは異なり、「中国が兄貴分でロシアが弟分」となる。そのため、徐々に習主席の中で「プーチン・コンプレックス」が解けていった。
2018年に、トランプ政権が「米中新冷戦」を仕掛けてきた時、習近平政権はロシアを味方につけて対抗しようとした。トランプ大統領自身は、何とかプーチン大統領と友好関係を築こうとしたが、ワシントンにはそれを許さない雰囲気が溢れていた。
今年1月、バイデン政権が発足すると、中国とロシアを「専制国家」とひとくくりにして、対抗意識を鮮明にした。それに伴い、中国とロシアは「アメリカへの対抗」という側面から、「準同盟」的関係を築きつつある。
いわば中露は、「背中」(4375kmの国境)をピタッと合わせながら、ロシアは西のNATO軍(アメリカ+西欧)に、中国は東の米インド太平洋軍に、銃口を向けている状態なのだ。そして、中国はウクライナ問題でロシアを支持し、ロシアは台湾問題で中国を支持する。経済的にも、両国の貿易額は今年、過去最高の1300億ドル規模に達する見込みだ。
中露「準同盟」の向かう先
12月1日、習近平主席は、中国共産党総書記と中国国家主席の二つの名義で、「統一ロシア党」成立20周年の祝電を、モスクワに送った。
「統一ロシア党」は、別名「プーチン党」と呼ばれる政権与党で、今年9月17日~19日にロシア全土で行われた下院選挙では、450議席中、324議席を獲得した。改憲に必要な3分の2以上を確保したことで、プーチン大統領によるさらなる恣意的な憲法改正も可能になった。
習近平総書記(主席)の祝電では、「中国共産党と統一ロシア党の友誼と提携の強化」を強調している。習総書記にとって「中露蜜月」とは、「政党同士の蜜月」をも意味するということだ。
習総書記が祝電を送った前日の11月30日には、オンライン形式による「中露首相第26回定期会合」が開かれた。中国側は李克強首相が、ロシア側はミハイル・ミシュスティン首相が参加した。
この会合は、ソ連が崩壊し、新生ロシアに生まれ変わった1990年代から、ほぼ毎年1度のペースで連綿と開かれ、前回は昨年12月2日に、やはりオンライン形式で開かれている。年々、両国の提携の規模が拡大し、内容が深化しているのが特徴で、「中露善隣友好協力条約」締結20周年にあたる今年の主な合意点は、以下の通りだ。
・双方は「中露貨物貿易及びサービス貿易の高質の発展路線図」を制定し終えたことを歓迎する。
・双方がデジタル経済分野の投資協力に関する覚書を取り交わしたことを歓迎する。
・2022年の第7回中露博覧会を支持し、2030年のモスクワ万博の申請を歓迎する。
・電子ビジネス分野の協力を、引き続き深化させていく。
・食品と農産品の貿易を推進していく。良好な農業への投資環境を促進していく。
・「中露大豆協力に関する発展規則」を引き続き実行し、双方の大豆及び油糧油脂貿易量を引き上げる。
・「北斗-グロナス」の衛星ナビゲーションシステムを基礎として、中露間の国際道路・運輸のデジタル情報交換の研究を積極的に推進していく。また、そこを走る運転手のビザの利便化を図る。「スマート国境」を推進していく。
・中露の衛星ナビゲーションの長期協力をさらに拡大する。「2021~2025年 中露衛星ナビゲーション分野協力路線図」と中露国内に相互に建設した北斗とグロナスの観測所項目の契約、及び「中国衛星ナビゲーションシステム委員会とロシア国家航天集団の北斗とグロナスの全地球衛星ナビゲーションシステムの時間操作の協力協議」の署名への準備作業を、積極的に評価する。
・「2018~2022年 中露航天協力大綱」に基づき、国際月面科学研究所を含む月面と深空の探測、ロケット及びエンジン、地球観測と低軌道衛星通信システム、航天電子機器、宇宙ゴミ、ミリメトロン天体物理空間天文台などの重要項目の長期互利的な協力を、引き続き展開していく。
・科学技術分野の両国の経験の余地を最も友好に利用するため、双方が国際月面科学研究所を建設し使用することに関する互利協力を双方で推進する。それは、「中国とロシア政府の国際月面科学研究所の建設協力に関する協定」の締結も含む。
・「中国工業・情報化部とロシアデジタル発展・通信大衆メディア部のデジタル技術開発分野に関する協力諒解覚書」の枠組みのもと、デジタル経済分野での協力をさらに深化させる。共同で情報技術の研究開発を展開し、市場を開拓し、両国の情報技術産品の輸出潜在力を解き放ち、両国の大学でデジタル分野の開発発展の交流・協力を支持する。
・インターネットの安全分野での相互信頼と協力を強化する。中心となる情報インフラの保護を探り、インターネット安全技術産業など具体的で広範な分野に協力を拡大していき、先進的な管理システムと技術の実践などの方面の交流を深化させる。
・無線周波数資源を管理する分野での互利協力を拡大する。それは、中露の国境地域での5G移動通信網、ラジオ業務など事業協力の発展などを含む。、また2023年世界無線通信大会を巡る準備業務でも、引き続き連携を強化する。
・中欧班列(中国欧州横断列車)の新シベリア、エカテリンブルク、カザンの税関の項目などの方面で協力を展開し、電子商取引の顧客や製造企業にさらなる利便性を提供していく。
・中露投資協力委員会の両国の投資協力の指導を強化し、共同で新たな「中露投資協力計画綱要」を改修していく。
・「中露の投資協定の奨励と相互保護」及び両国の法律既定に則り、中露投資協力委員会の枠組みのもと、関係主管部門を統合協調させ、中露投資協力の重点項目とビジョン項目を進める中で表れる問題を積極的に解決していく。
・両国首相の提起会合委員会金融協力分科会の潜在能力を引き続き発揮し、両国の金融分野での協力発展を推進していく。
・両国のG20の財政金融のルート、BRICS(新興5ヵ国)財務相・中央銀行総裁会議など多国間機構のもとでの政策協調と実務協力を強化する。AIIB(アジアインフラ投資銀行)や新たな開発銀行などの方面での協力を強化していく。
・双方の貿易、投資及び借り入れにおいて、さらなる双方の通貨での決済拡大を支持する。ロシアにおける人民元決済を含む両国のインフラ組織や金融機構がうまく作用していくようにする。
・石油と天然ガスの分野での全面的な協力を深化させる。それは石油と天然ガスの探索、採掘及び加工を含む。中露イーストラインの天然ガスのパイプラインと、北極地域の液化天然ガスの事業を、つつがなく実施する。中露のその他の天然ガスのパイプライン事業の商談を引き続き推進し、関係する現有の政府間協議を一歩一歩実行していき、合わせて石油と天然ガスの分野での協力の新たなモデルを研究していく。
・現有の電力契約の十全な執行を支持し、中露の企業連合が第三国のクリーン電力の分野で参与し、共同で科学技術の潜在力を発揮し、先進的な経験と技術の交流を図っていくことを支持する。
・高質で高基準の2018年に署名した核分野でのパッケージ重要協力分野の実行を確実に行い、全地球での原発協力の新たな規範を作っていく。
・2021年5月19日に両国の国家元首が出席した田湾原発(江蘇省)7号機、8号機と、徐大堡原発(遼寧省)3号機、4号機の着工式で結んだ重要な共通認識を積極的に実行していく。
・スポーツ協力を強化する。ロシアは中国が主催する北京2022年冬季オリンピック・パラリンピックを支持する。国際スポーツ分野で立場を合わせ、スポーツの政治化に共同で反対していく。
・国連、WHO(国際保健機関)、BRICS、SCO(上海協力機構)、APEC(アジア太平洋経済協力会議)など国際組織の枠組みで、衛生健康分野での協調協力を深化させる。
・「中露のロシア極東地域の協力発展計画(2018-2024年)」を全力で実行していく。
・「(中国の)東北・(ロシアの)極東+α」の協力モデルの効用を積極的に発揮していく。中国東北地域とロシア極東及びバイカル地域の地方自治体間協力委員会の活動に、中国の関係沿岸発展地域の参加を奨励していく。
・第7回中露博覧会の枠組みの中で、第3回中露地方協力フォーラムの可能性を研究していく。
・朝鮮民主主義人民共和国と、図們江での中国船の出航案件の建設的な対話を行っていく。それは中露朝3ヵ国政府の図們江の共同調査の協議準備も含み、早急に該当調査の条件を出していく。
・「一帯一路」建設と「ユーラシア経済連盟」の深いドッキングを図っていく。
「中国が上でロシアが下」に
以上である。中露の連携は、たしかに「準同盟」のレベルまで来ていることが分かる。だが重ねて言うが、21世紀の中露関係は、あくまでも「中国が上でロシアが下」となる。
そうした関係を、プーチン大統領は内心、面白く思っていないはずだ。その証拠に、重要なバイデン大統領との会談を翌日に控えた12月6日、インドを電撃訪問し、ナレンドラ・モディ首相と密談に耽(ふけ)った。
アメリカも面白くないが、昨年インドと国境紛争を起こした中国もまた、眉を顰(しか)めているに違いない。年末の国際情勢は、誠に複雑である。
****************************************************************
引用以上
問題点は、中露が事実上、軍事同盟を結んでいること。したがって、ロシアがウクライナに軍事侵攻することが避けられない場合、アメリカ・EU連合Vs 中国・ロシア連合の全面的衝突に発展する可能性が小さくないこと。
ウクライナ軍事侵攻は、まさに第三次世界大戦の導火線といえるのではないか?
そして、尖閣諸島と台湾に、中国が軍事侵攻をかけたとき、ロシアが軍事同盟として参戦してくる可能性が極めて高いことが浮き彫りになってきた。
ここで思い出すのは、敗戦直後の出口王仁三郎と日月神事の予言だ。
出口王仁三郎の預言集 続瑞能神歌
シベリア狐は 死にたれど 醜の曲霊は 種々に 妖雲よんで
東天は 北から攻め入る非道さよ
オホーツク海や、千島船 カラフト島を ゆさぶりて 雪割草の間より 暗雲低く 仇鳥の舞い下り上る恐ろしさ
北海道から三陸へ なだれの如く押しよする
ここを先どと 連合の戦の場や 神の国
華のお江戸は 原爆や水爆の音 草もなき
一茫千里大利根の 月の光も あわれぞかし
尖閣台湾問題で日中が軍事衝突したとき、領土拡張が国是のようなロシアが、手をこまねいているはずがないと私は思ってきた。ロシアは日本の弱みにつけこんで侵攻し、北海道の領有を企んでいるような気がする。
出口王仁三郎の予言は、時間的整合性を棚上げにすれば、的中率は極めて高い。ほとんど外れないといってもいい。
その王仁三郎が、「ロシアが日本に軍事侵攻してくる」と予言しているのだ。
それは日中戦争で、東京が核攻撃を受け、壊滅状態になって戦闘能力を失っているときに行われるのだろう。
ロシアによるクリミアの併合
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%82%B7%E3%82%A2%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%9F%E3%82%A2%E3%81%AE%E4%BD%B5%E5%90%88
クリミア危機・ウクライナ東部紛争
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%9F%E3%82%A2%E5%8D%B1%E6%A9%9F%E3%83%BB%E3%82%A6%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%8A%E6%9D%B1%E9%83%A8%E7%B4%9B%E4%BA%89
ロシアは、15世紀イワン三世の時代から徹底した大国主義と帝国主義で、領土拡張だけに国家存亡の価値観を求めてきた。侵略戦争は国是といってもいい。
ロシアにとって、ソビエトに変わり、再びロシアに戻った現在でも、他国領土強奪は、いわば習慣的嗜好であり、自尊心の満足である。
日本もまた、戦前、ソビエトとの間に「日ソ中立条約」が結ばれていながら、日本の敗色が色濃くなるとともに、スターリンソ連は一方的に条約を破棄し、日本領土に攻め入り、北方領土を武力で強奪した。
https://www.nemuro.pref.hokkaido.lg.jp/ts/hrt/hoppouryoudo_history.html
今回、ロシアは、ウクライナ全土を併合する下心を持って、軍事的恫喝に臨もうとしている。
ロシア、ウクライナ国境に兵力集結 年初に17.5万人規模の侵攻作戦か 2021.12.05
https://www.cnn.co.jp/world/35180392.html
ロシアとアメリカ、ウクライナで戦争が起こるのか。なぜこうなったのか。現状はどうか。12/5
https://news.yahoo.co.jp/byline/saorii/20211205-00271195
上のリンクでの解説は、ウクライナがNATOとEU加盟を求めて旧ソ連圏からの独立を求めていることに対し、領土拡張は大好きでも、縮小が大嫌いなロシアが軍事的な圧力をかけて強引に阻止しようとしているとされる。
しかし、この背景には、クリミア半島強奪によって大規模な経済制裁を受け続けているロシアが、経済的に追い詰められ、国内で反プーチンの激しい運動が勢いを増していることで、「内憂を外患に転嫁する」という戦略により、軍事侵攻の戦争非常事態をもって国内勢力を武力弾圧したいということだろう。
以下に現代ビジネス、近藤大介の記事を紹介する。とても綿密で深い分析だ。
ロシア「ウクライナ侵攻計画」プーチンの強気の背景にある中国との“準同盟”関係 20121207
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/90094
まさに「年末に危機あり」である。
先週、米『ワシントンポスト』(12月3日付)が、衝撃的な記事を掲載した。タイトルは、「ロシアがウクライナに対する17万5000人の軍人を含む大規模な軍事攻撃を計画していると、アメリカの諜報機関が警告」。
記事はかなりの長文だが、要するに、このまま行けば、年明けにもロシア軍がウクライナに侵攻すると、アメリカの諜報機関が警告しているという。2014年3月にロシア軍がウクライナのクリミア半島に侵攻し、併合してしまった時よりも、世界に大きなインパクトを与える可能性がある。
今回、ロシアは、武力行使に出ようとしている理由を、「ウクライナ及びジョージアが、NATO(北大西洋条約機構)に加盟しようとしているから」としている。周知のように、1991年のソ連崩壊によって、東側陣営の軍事同盟だったワルシャワ条約機構は消滅したが、西側陣営の軍事同盟であるNATOは、社会主義圏の東欧諸国を次々に吸収し、拡大していった。
アイスランド、アメリカ、イタリア、イギリス、オランダ、カナダ、デンマーク、ノルウェー、フランス、ベルギー、ポルトガル、ルクセンブルク、ギリシャ、トルコ、ドイツ、スペイン、チェコ、ハンガリー、ポーランド、エストニア、スロバキア、スロベニア、ブルガリア、ラトビア、リトアニア、ルーマニア、アルバニア、クロアチア、モンテネグロ、北マケドニア……いまや加盟国は、30ヵ国に上る。
このように、現時点でほとんど「ロシア包囲網」となっており、ロシアからすれば、さらにウクライナとジョージアが加盟することは絶対に許せないというわけだ。そのため、「ウクライナとジョージアが将来的にもNATOに加盟しないという正式な文書での保証」を、NATOに要求している。要はアメリカに、「これ以上NATOを拡大するな」と迫っているのである。
この危機を受けて、12月2日にストックホルムで、アントニー・ブリンケン米国務長官と、セルゲイ・ラブロフ露外相による米露外相会談が開かれた。だが、双方の主張は平行線を辿った模様で、両外相が決めたのは、「両国のトップ同士で決めてもらおう」ということだった。
ラブロフ外相が単なる「プーチンの犬」に過ぎないことは「国際常識」だが、ブリンケン国務長官の「能力不足」も、このところ顕著になりつつある。今年一年のブリンケン国務長官を見ていると、まさに「言うだけ番長」という表現がピッタリくる。いつも素晴らしい計画を立て、正しいことを主張するのだが、実行が伴わないのだ。
もっとも、そのことはブリンケン国務長官の責任というより、ボスであるジョー・バイデン大統領の責任である。要はバイデン政権自体が、「口だけ政権」なのだ。ウラジーミル・プーチン大統領は、そうした状況を見透かして、ウクライナに脅しをかけているのである。2014年のクリミア併合の時もバラク・オバマ民主党政権時だったし、おっかないドナルド・トランプ共和党政権時には、蛮行には出なかった。
ウクライナ問題は結局、本日(12月7日)行われるバイデン米大統領とプーチン露大統領のオンライン米露首脳会談に委ねられることになった。世界が注目する年末の「大一番」である。
バイデン大統領は3日、記者団に向かって「プーチン氏が行動を起こしにくくするための包括的で有効な方策を練っている」と述べた。だが、途中で何度もせき込んでしまい、心もとない。79歳を迎えたばかりの歴代最高齢のアメリカ大統領が、米露首脳会談で決着をつけられなければ、いよいよウクライナは「年明け開戦」に向かっていく――。
プーチン大統領と習近平主席の関係性
さて、ここからは中国ウォッチャーの立場から述べるが、ロシアがここまで強気に押し込んでくる背景にあるのが、中国の存在である。中国との「準同盟」とも言える堅固な関係があるからこそ、向後の憂いなくウクライナと、その向こうにいる欧米に「攻勢」がかけられるのだ。
第二次世界大戦の時、当時のヨシフ・スターリン書記長率いるソ連は、西側のナチスドイツと、東側の日本帝国との「東西両戦」になる展開に悩んだ。そのため、1939年8月にドイツと独ソ不可侵条約を結び、1941年4月には日本と日ソ中立条約を結んだ。そうやって何とかして「東西両戦」を避けようとしたが、結局、同年6月に独ソ戦争が始まった。
そのためソ連は、西側の戦いに集中するため、対日開戦を避けようと必死になった。著名な在日ソ連スパイのリヒャルト・ゾルゲ氏は、「日本の北方進出はない」とモスクワに伝えた。この「西側集中」はナチスドイツを降伏させた1945年5月まで続き、ソ連は同年8月、満を持して兵を東側に移動させ、日本に攻め込んだのである。
現在も同様で、ロシアは「東西両戦」は戦えない。そのため、2000年5月に就任したプーチン大統領は、それまでのボリス・エリツィン政権の「親欧米路線」を急転換させ、「親中路線」に舵を取った。
プーチン政権の初期の頃、いかにプーチン大統領が中国との関係強化に腐心したかは、当時の両国関係の中国側キーパーソンの一人だった王海運少将(中国駐モスクワ駐在武官)が、回顧録『新世紀の中露関係』(上海大学出版社、2015年)で詳述している。
同書によれば、プーチン氏が2000年3月27日の大統領選挙で当選した時、当時の江沢民主席が、真っ先にプーチン氏に祝福の電話をかけた。26歳年上の中国国家主席から祝福されたプーチン氏は、こう述べた。
「初めて外国の国家元首から祝福をもらい、感激している。今後は『四不』政策を貫き、中国との関係強化に努めていく」
「四不」政策とは、台湾独立を支持しない、「二つの中国」もしくは「一中一台」を支持しない、台湾の主権国家としての国際組織参加を認めない、台湾に武器を売却しないというものだ。
同書によれば、1991年12月にソ連が崩壊した後、新生ロシアは当初、「欧米的民主国家」を目指したが、それでは「欧米の下につく二流国家」に過ぎなくなると悟り、中国との関係も重視し始めた。
そこで中国とロシアは、1992年に「相互に友好国家とみなす」約束を交わした。1994年に「21世紀に向けた建設的パートナーシップ関係」を結び、1996年に「21世紀に向けた戦略的協力パートナーシップ関係」を結んだ。1999年10月には、初の合同軍事演習を行った。
そうした下地の上に、プーチン時代になった2001年7月16日、中露はモスクワで中露善隣友好協力条約を結んだのである。同年6月15日には、両国が中心となり、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、ウズベキスタンを加えて、上海協力機構(SCO)を結成している。つまりは、旧ソ連圏だった中央アジア地域を、「アメリカの触手から守る」ための組織だ。
2004年10月、中露は長年の懸案事項だった両国の国境を完全に画定させた。その経緯は、日本と中露との外交に長年携わった外交官・井出敬二氏の著書『<中露国境>交渉史』(作品社、2017年)に詳しい。この時、中国から見て東側4320km、西側55km、合わせて4375kmに及ぶ中露国境は完全に画定し、両国間に「国境問題」はなくなったのである。
この中露関係を、さらに発展させたのが、2013年3月に国家主席に就任した習近平氏である。習近平主席はプーチン大統領に、「自分と同じ匂い」を嗅ぎ取ったのだ。
ウクライナ問題と台湾問題の共通点
ユーラシア大陸の2大国であるロシアと中国には、大別して二種類の政治家がいる。
第一は、ゆくゆくは欧米のような民主国家に向かって行こうと志向するタイプだ。ロシアで言うなら、ミハエル・ゴルバチョフ元ソ連代大統領、初期のボリス・エリツィン大統領、ドミトリー・メドベージェフ前大統領らだ。
中国で言うなら、胡耀邦元総書記、趙紫陽元総書記、胡錦濤前主席(前総書記)、温家宝前首相、李克強首相らである。
第二に、欧米民主国家など見向きもせず、かつての自国の皇帝(ツアーリ)時代に回帰しようとする土着派だ。ロシアで言うならプーチン大統領が、中国で言うなら習近平主席がこれにあたるのである。
そのため、2013年3月14日に習近平氏が国家主席に就任して初めて行った「仕事」は、モスクワが朝になるのを待って(北京とは5時間の時差がある)、プーチン大統領と電話で話すことだった。
プーチン大統領に、「史上最も友好的な中露関係を築きたい」と熱っぽく語り、翌週にはもうモスクワへ飛んでしまったのだ。
習新主席はクレムリンでのプーチン大統領との初会談で、長期政権の秘訣を尋ねた。そして「それは軍とエネルギーを完全に掌握することだ」と諭されると、感銘を受けた。また、旧ソ連時代から「外国人立入禁止」を貫いてきたロシア国防省にも、ねだって入れてもらった。
プーチン大統領から、1959年に父・習仲勲副首相(当時)がモスクワを訪問した時の写真を贈られ、これまた大感激である(その写真はいまでも「中南海」の総書記執務室に飾ってある)。習近平主席はプーチン大統領に、「年に5回の首脳会談」を提案し、快諾をもらった。
習主席は2014年2月、欧米首脳の多くが政治ボイコットしたソチ冬季オリンピックの開会式に参加した。そしてロシアは、冬季オリンピック閉会直後の同年3月、ウクライナのクリミア半島を併合してしまった。このことはますます、習主席の「プーチン信仰」を強め、「いつかあのように台湾を統一したい」と夢想を掻き立てることになった。
このように、習近平政権初期の中露関係というのは、「ロシアが兄貴分で中国が弟分」という関係だった。それは多分に、20世紀全般の中露関係を、そのまま引きずったものと言えた。
ところが習近平政権は2013年秋に、「ユーラシア大陸制覇」を目指した広域経済圏構想「一帯一路」(シルクロード経済ベルトと21世紀海上シルクロード)を打ち出した。習主席自身、多くの首脳会談や国際会議などを経験する中で、外交に自信をつけてきた。
思えば、ロシアは軍事大国、エネルギー大国ではあるが、経済規模は韓国程度、人口規模は日本程度である。習近平新時代の中露関係は必然的に、過去100年とは異なり、「中国が兄貴分でロシアが弟分」となる。そのため、徐々に習主席の中で「プーチン・コンプレックス」が解けていった。
2018年に、トランプ政権が「米中新冷戦」を仕掛けてきた時、習近平政権はロシアを味方につけて対抗しようとした。トランプ大統領自身は、何とかプーチン大統領と友好関係を築こうとしたが、ワシントンにはそれを許さない雰囲気が溢れていた。
今年1月、バイデン政権が発足すると、中国とロシアを「専制国家」とひとくくりにして、対抗意識を鮮明にした。それに伴い、中国とロシアは「アメリカへの対抗」という側面から、「準同盟」的関係を築きつつある。
いわば中露は、「背中」(4375kmの国境)をピタッと合わせながら、ロシアは西のNATO軍(アメリカ+西欧)に、中国は東の米インド太平洋軍に、銃口を向けている状態なのだ。そして、中国はウクライナ問題でロシアを支持し、ロシアは台湾問題で中国を支持する。経済的にも、両国の貿易額は今年、過去最高の1300億ドル規模に達する見込みだ。
中露「準同盟」の向かう先
12月1日、習近平主席は、中国共産党総書記と中国国家主席の二つの名義で、「統一ロシア党」成立20周年の祝電を、モスクワに送った。
「統一ロシア党」は、別名「プーチン党」と呼ばれる政権与党で、今年9月17日~19日にロシア全土で行われた下院選挙では、450議席中、324議席を獲得した。改憲に必要な3分の2以上を確保したことで、プーチン大統領によるさらなる恣意的な憲法改正も可能になった。
習近平総書記(主席)の祝電では、「中国共産党と統一ロシア党の友誼と提携の強化」を強調している。習総書記にとって「中露蜜月」とは、「政党同士の蜜月」をも意味するということだ。
習総書記が祝電を送った前日の11月30日には、オンライン形式による「中露首相第26回定期会合」が開かれた。中国側は李克強首相が、ロシア側はミハイル・ミシュスティン首相が参加した。
この会合は、ソ連が崩壊し、新生ロシアに生まれ変わった1990年代から、ほぼ毎年1度のペースで連綿と開かれ、前回は昨年12月2日に、やはりオンライン形式で開かれている。年々、両国の提携の規模が拡大し、内容が深化しているのが特徴で、「中露善隣友好協力条約」締結20周年にあたる今年の主な合意点は、以下の通りだ。
・双方は「中露貨物貿易及びサービス貿易の高質の発展路線図」を制定し終えたことを歓迎する。
・双方がデジタル経済分野の投資協力に関する覚書を取り交わしたことを歓迎する。
・2022年の第7回中露博覧会を支持し、2030年のモスクワ万博の申請を歓迎する。
・電子ビジネス分野の協力を、引き続き深化させていく。
・食品と農産品の貿易を推進していく。良好な農業への投資環境を促進していく。
・「中露大豆協力に関する発展規則」を引き続き実行し、双方の大豆及び油糧油脂貿易量を引き上げる。
・「北斗-グロナス」の衛星ナビゲーションシステムを基礎として、中露間の国際道路・運輸のデジタル情報交換の研究を積極的に推進していく。また、そこを走る運転手のビザの利便化を図る。「スマート国境」を推進していく。
・中露の衛星ナビゲーションの長期協力をさらに拡大する。「2021~2025年 中露衛星ナビゲーション分野協力路線図」と中露国内に相互に建設した北斗とグロナスの観測所項目の契約、及び「中国衛星ナビゲーションシステム委員会とロシア国家航天集団の北斗とグロナスの全地球衛星ナビゲーションシステムの時間操作の協力協議」の署名への準備作業を、積極的に評価する。
・「2018~2022年 中露航天協力大綱」に基づき、国際月面科学研究所を含む月面と深空の探測、ロケット及びエンジン、地球観測と低軌道衛星通信システム、航天電子機器、宇宙ゴミ、ミリメトロン天体物理空間天文台などの重要項目の長期互利的な協力を、引き続き展開していく。
・科学技術分野の両国の経験の余地を最も友好に利用するため、双方が国際月面科学研究所を建設し使用することに関する互利協力を双方で推進する。それは、「中国とロシア政府の国際月面科学研究所の建設協力に関する協定」の締結も含む。
・「中国工業・情報化部とロシアデジタル発展・通信大衆メディア部のデジタル技術開発分野に関する協力諒解覚書」の枠組みのもと、デジタル経済分野での協力をさらに深化させる。共同で情報技術の研究開発を展開し、市場を開拓し、両国の情報技術産品の輸出潜在力を解き放ち、両国の大学でデジタル分野の開発発展の交流・協力を支持する。
・インターネットの安全分野での相互信頼と協力を強化する。中心となる情報インフラの保護を探り、インターネット安全技術産業など具体的で広範な分野に協力を拡大していき、先進的な管理システムと技術の実践などの方面の交流を深化させる。
・無線周波数資源を管理する分野での互利協力を拡大する。それは、中露の国境地域での5G移動通信網、ラジオ業務など事業協力の発展などを含む。、また2023年世界無線通信大会を巡る準備業務でも、引き続き連携を強化する。
・中欧班列(中国欧州横断列車)の新シベリア、エカテリンブルク、カザンの税関の項目などの方面で協力を展開し、電子商取引の顧客や製造企業にさらなる利便性を提供していく。
・中露投資協力委員会の両国の投資協力の指導を強化し、共同で新たな「中露投資協力計画綱要」を改修していく。
・「中露の投資協定の奨励と相互保護」及び両国の法律既定に則り、中露投資協力委員会の枠組みのもと、関係主管部門を統合協調させ、中露投資協力の重点項目とビジョン項目を進める中で表れる問題を積極的に解決していく。
・両国首相の提起会合委員会金融協力分科会の潜在能力を引き続き発揮し、両国の金融分野での協力発展を推進していく。
・両国のG20の財政金融のルート、BRICS(新興5ヵ国)財務相・中央銀行総裁会議など多国間機構のもとでの政策協調と実務協力を強化する。AIIB(アジアインフラ投資銀行)や新たな開発銀行などの方面での協力を強化していく。
・双方の貿易、投資及び借り入れにおいて、さらなる双方の通貨での決済拡大を支持する。ロシアにおける人民元決済を含む両国のインフラ組織や金融機構がうまく作用していくようにする。
・石油と天然ガスの分野での全面的な協力を深化させる。それは石油と天然ガスの探索、採掘及び加工を含む。中露イーストラインの天然ガスのパイプラインと、北極地域の液化天然ガスの事業を、つつがなく実施する。中露のその他の天然ガスのパイプライン事業の商談を引き続き推進し、関係する現有の政府間協議を一歩一歩実行していき、合わせて石油と天然ガスの分野での協力の新たなモデルを研究していく。
・現有の電力契約の十全な執行を支持し、中露の企業連合が第三国のクリーン電力の分野で参与し、共同で科学技術の潜在力を発揮し、先進的な経験と技術の交流を図っていくことを支持する。
・高質で高基準の2018年に署名した核分野でのパッケージ重要協力分野の実行を確実に行い、全地球での原発協力の新たな規範を作っていく。
・2021年5月19日に両国の国家元首が出席した田湾原発(江蘇省)7号機、8号機と、徐大堡原発(遼寧省)3号機、4号機の着工式で結んだ重要な共通認識を積極的に実行していく。
・スポーツ協力を強化する。ロシアは中国が主催する北京2022年冬季オリンピック・パラリンピックを支持する。国際スポーツ分野で立場を合わせ、スポーツの政治化に共同で反対していく。
・国連、WHO(国際保健機関)、BRICS、SCO(上海協力機構)、APEC(アジア太平洋経済協力会議)など国際組織の枠組みで、衛生健康分野での協調協力を深化させる。
・「中露のロシア極東地域の協力発展計画(2018-2024年)」を全力で実行していく。
・「(中国の)東北・(ロシアの)極東+α」の協力モデルの効用を積極的に発揮していく。中国東北地域とロシア極東及びバイカル地域の地方自治体間協力委員会の活動に、中国の関係沿岸発展地域の参加を奨励していく。
・第7回中露博覧会の枠組みの中で、第3回中露地方協力フォーラムの可能性を研究していく。
・朝鮮民主主義人民共和国と、図們江での中国船の出航案件の建設的な対話を行っていく。それは中露朝3ヵ国政府の図們江の共同調査の協議準備も含み、早急に該当調査の条件を出していく。
・「一帯一路」建設と「ユーラシア経済連盟」の深いドッキングを図っていく。
「中国が上でロシアが下」に
以上である。中露の連携は、たしかに「準同盟」のレベルまで来ていることが分かる。だが重ねて言うが、21世紀の中露関係は、あくまでも「中国が上でロシアが下」となる。
そうした関係を、プーチン大統領は内心、面白く思っていないはずだ。その証拠に、重要なバイデン大統領との会談を翌日に控えた12月6日、インドを電撃訪問し、ナレンドラ・モディ首相と密談に耽(ふけ)った。
アメリカも面白くないが、昨年インドと国境紛争を起こした中国もまた、眉を顰(しか)めているに違いない。年末の国際情勢は、誠に複雑である。
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引用以上
問題点は、中露が事実上、軍事同盟を結んでいること。したがって、ロシアがウクライナに軍事侵攻することが避けられない場合、アメリカ・EU連合Vs 中国・ロシア連合の全面的衝突に発展する可能性が小さくないこと。
ウクライナ軍事侵攻は、まさに第三次世界大戦の導火線といえるのではないか?
そして、尖閣諸島と台湾に、中国が軍事侵攻をかけたとき、ロシアが軍事同盟として参戦してくる可能性が極めて高いことが浮き彫りになってきた。
ここで思い出すのは、敗戦直後の出口王仁三郎と日月神事の予言だ。
出口王仁三郎の預言集 続瑞能神歌
シベリア狐は 死にたれど 醜の曲霊は 種々に 妖雲よんで
東天は 北から攻め入る非道さよ
オホーツク海や、千島船 カラフト島を ゆさぶりて 雪割草の間より 暗雲低く 仇鳥の舞い下り上る恐ろしさ
北海道から三陸へ なだれの如く押しよする
ここを先どと 連合の戦の場や 神の国
華のお江戸は 原爆や水爆の音 草もなき
一茫千里大利根の 月の光も あわれぞかし
尖閣台湾問題で日中が軍事衝突したとき、領土拡張が国是のようなロシアが、手をこまねいているはずがないと私は思ってきた。ロシアは日本の弱みにつけこんで侵攻し、北海道の領有を企んでいるような気がする。
出口王仁三郎の予言は、時間的整合性を棚上げにすれば、的中率は極めて高い。ほとんど外れないといってもいい。
その王仁三郎が、「ロシアが日本に軍事侵攻してくる」と予言しているのだ。
それは日中戦争で、東京が核攻撃を受け、壊滅状態になって戦闘能力を失っているときに行われるのだろう。