ロシア発のダーチャについては、ブログに何回も取り上げている。現在、ロシアの悪質な侵略行為で、ロシア全体の印象が最悪に転落しているが、1992年のソ連崩壊時に、2200%のハイパーインフレが起きた。
これによってロシア国民は、外国からの食料輸入を断たれ、国内産も、腐敗した官僚制度によるコルホーズの非効率から、食料供給が望めず、多くの人々が飢えに苦しんだ。
これを救ったのが市民農園ダーチャである。ロシア国民の主食といえば、小麦と馬鈴薯だが、ダーチャは、ロシア国内の食料需要の8割をまかなったともいわれている。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%80%E3%83%BC%E3%83%81%E3%83%A3
http://tokaiama.blog69.fc2.com/blog-entry-1796.html
今回予想される食料危機にあたって、私の予想では、年内は、食料全般の価格が急上昇するものの、加工食品などの在庫から、飢えるほどの不足は生じないと思うが、来年は食料在庫も底を尽き、一部の窮乏者から太平洋戦争以来の飢餓がはじまる可能性があると考える。
こうなれば、食料を確保する手段はただ一つ。自家生産しかない。
もちろんプロ農民と同じような生産手段を持つことは無理筋なので、せめて食料の数割を確保し、可能ならバザーなどで換金や物々交換できればよい。
これについても、何回も書いているが、自家菜園の経験もない市民が、いきなり農地を確保しても、何をやってよいのか悪いのか、小学生レベルの知識もなければ、必ず失敗して、骨折り損のくたびれもうけになるしかない。
また、本当に飢餓が始まれば、大都会近郊の農園は、おそらく徹底的に荒らされ、絶望的な結果になると考える。
だから、大都市圏から100Kくらい離れた、過疎の山村が理想だが、一方で過疎地帯であれば獣害が凄まじいので、もしも防御手段がなければ、農産物が全滅させられるしかない。
だから獣害と対峙する覚悟なしに過疎農地を利用することはできない。
現在、ダーチャ農園で自給自足の農産を試みようとするなら、30年前とは比べものにならないほどの困難が待ち構えている。
次々に遭遇する農作業の困難を解決するには、絶対に仲間が必要ということも、何度も書いてきた。
可能なら3~5家族、10人程度で小さな農業共同体を結成して、助け合い、支え合って自給自足農業を目指すことだけが確実な成果を保証するものだ。
田舎の放棄農地を確保できたとしても、耕運機を入れて耕耘し、畑の体裁だけを整えても、たちまち周囲に潜む動物たち、わけてもイノシシに食害されて、あっというまに農産物が全滅させられてしまう。
こんな困難に直面させられ、問題を解決するには「三人寄れば文殊の知恵」システムに限る。ワイワイと相談しながら、手を携えて困難に直面することだけが未来を保証してくれる。
一人、あるいは1家族での孤立したダーチャ農園は、やめた方がいい。
もしも3家族10名として、食料の半分を自給する計画を立てるなら、一町歩=1ヘクタールの畑を確保すれば、なんとか生き抜いてゆけるだろう。
3~4名ならば300坪=一反くらいの農地は欲しい。
私の住む中津川市で農地を確保する場合の手引きを市が用意している。
空き家と一緒に農地を「売りたい」、「買いたい」方へ 2021年12月07日
https://www.city.nakatsugawa.lg.jp/soshikikarasagasu/nogyoiinkaijimukyoku/1/1/2094.html
「空き家に付属する農地」の取得等について下限面積要件を1アール(100平方メートル)まで引き下げました
空き家に付属する売買等が難しい農地について、一定の条件を満たす場合に、農地法(3条)による下限面積を30アール(3,000平方メートル)から1アール(100平方メートル)まで引き下げ、農地の売買または賃借することで、遊休農地等の有効利用と移住定住を促進します。
空き家に付属する農地取得等についての手続きの流れ
空き家及び付属農地の所有者が「空き家に付属する農地指定申請書」を農業委員会へ提出する。
農業委員会は、「空き家に付属する農地」として指定の可否についえ決議する。
農業委員会が農地所有者へ結果を通知する。
所有者と取得等希望者が「農地法第3条許可申請書」を農業委員会へ提出する。空き家の売買がわかる契約書・確約書等を添付すること。
農業委員会は、許可の可否について決議する。
農業委員会において許可書を発行する。
所有権移転完了後、「空き家に付属する農地所有移転完了報告書」を農業委員会へ提出する。
農業委員会では、所有権移転された農地を特定の農地から外す。
関連書類
空き家に付属する農地指定申請書(Wordファイル:16.6KB)
空き家に付属する農地指定申請書の添付書類:農地の登記事項証明書、公図、位置図等
空き家に付属する農地所有移転完了報告書
空き家に付属する農地所有移転完了報告書の添付書類:所有権移転後の土地登記簿謄 本または登記事項要約書
農業委員会事務局
電話番号:0573-66-1111(内線267・268)
メールによるお問い合わせ
https://www.city.nakatsugawa.lg.jp/cgi-bin/inquiry.php/66?page_no=2094
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引用以上
早い話、中津川近郊の農地を確保したければ、上の農業委員会事務局に電話かメールをして、情報を収集することが必要だ。
不動産業者から買うと、農業委員会経由に比べて3~5倍の費用がかかる。
首尾良く、一反の農地を持った中古の一軒家(全部で300~600万円?)が手に入ったなら、これを数家族で共有しながら、放棄された農地の再開墾にかかる。
耕耘そのものは、5万円程度のカルチベータで十分だ。
ただし頻繁に草刈りをしないと、すぐ壊れてしまうので、草刈機やスコップなどの農機具を含めて10万円くらいかかる。
耕したなら、最初にやるのは種苗つけだが、このとき同時に、畑の周囲に獣害対策用の柵を設ける。
まずはコールタールを塗りたくった杭(鉄筋でもよい)をたくさん用意して、2m感覚でハンマーで打ち込む。
次に、熊・イノシシ対策としてホームセンターで一枚400円程度で売られているワイヤーメッシュ(1×2m)をそのまま針金などで杭に固定する。
次に、高さが1.6~1.8mの獣害用緑色ポリネット(メッシュ)をワイヤーメッシュを覆うように設置する。これをやらないと、アライグマやハクビシン、猿が侵入して食害する。高さ1.6m以上ないと、鹿やカモシカが飛んで侵入する。
出入口は、農機が通過できる頑丈なものを設置する。
もしも鶏放飼をするなら、上部に大鷹侵入防止用の鳥用ネットを張る必要がある。わずかな隙間でも入り込んで鶏を虐殺するので、丁寧に張る必要がある。
また鶏が兎のように土を掘って脱出するので、ネットの下に防護板を埋め込む必要がある。
ポリネットの支持は、四隅に鉄パイプを立てて、9ミリトラロープを張り、そこに紐で結べばよい。
これで、やっと獣害対策ができる。高圧電気防柵は、イノシシの一部に効果があるが、草が伸びると短絡して、すぐに電池が切れるから、結局、ワイヤーメッシュの方が安上がりだ。
後は、水やりと草取り、追肥のスケジュールを立てれば順調に収穫できるだろう。
一番しんどいのは草取りだ。梅雨時は、一日30センチも草が伸びるので、放置したら畑に入ることさえできなくなる。
だから、可能なかぎり、黒マルチや防草ネットに穴を開けて栽培するようにする。
まずは、馬鈴薯や甘藷の栽培が一番大切だ。馬鈴薯は、最初だけは優しく、大量収穫できるが、だんだん病害虫にやられるようになるので、結構難しいものだ。
連作障害を避けるため、3年に一度作って、他の野菜とローテーションするようにする。アブラムシを放置すると必ずモザイク病にかかって、収量が望めない。
甘藷は、肥料を入れた土地ではツルボケ障害が起きてイモが大きくならないので、必ず日当たりのよい専用畑を定める。
基本的に硫酸カリのようなカリ肥料か、草木灰を入れる程度で、窒素肥料は入れない。
現在は、ネット環境さえあれば、あらゆる農作情報が、ネットで閲覧できるので、ネット上の知識だけでも十分に通用するが、やはり、実際に土と格闘する経験を積まないと、農業を深く理解することはできない。
耕運機に頼るより、スコップや鍬に頼り、肥料も購入するのではなく、落葉や残飯コンポストなどを多用し、最終的には、福岡正信農業を目指したいものだ。
今、中津川では、毎日のように全国の不動産業者が入り込んで、良い出物がないか情報収集している。我が家にも訪ねてくる。
だから、もう農業委員会にも良い出物は少ないかもしれないが、交通の便から顔を背けるような不便な土地の方が、人に荒らされず安全かもしれないので、ダーチャを目指す人は、何より農業委員会に電話して、それから現地を訪れてみることだ。