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新型コロナ禍から解放されて、以前の通勤スタイルが復活するのか?

2022年06月12日 | インポート




 まだ、完全に警戒を緩めることはできないが、2020年段階で予想された通り、新型コロナ禍は年内をもって、丸三年程度で終わりになるかもしれない。

 RNAウイルス禍に共通するパターンとして、突然変異を繰り返すなかで、徐々に弱毒化し、最期はタダの風邪になってしまう。これは第一次世界大戦のなかで起きたスペイン風邪が示してみせた。



 スペイン風邪(H1N1インフルエンザ)は、1918年段階で、北極エスキモーや、チベット高原、太平洋の遠い離島や、「日本のチベット」と呼ばれるような過疎の山村でも猛威をふるい、当時の世界人口20億人中、1~2億人を殺したといわれている。

 https://news.yahoo.co.jp/byline/ishidamasahiko/20210929-00260596



 理由は、空気感染力の非常に強いタイプで、大気の微粒子にくっついて、世界中を駆け巡ることができたからのようだ。

 新型コロナも空気感染力強いが、スペイン風邪ほどの伝播が起きなかった理由としては、おそらく、スペイン風邪以降のさまざまなインフルエンザの、「交叉免疫」が関係しているとも指摘されている。

https://mlslabo.com/blog/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E4%BA%BA%E3%81%AB%E3%83%AF%E3%82%AF%E3%83%81%E3%83%B3%E3%81%AF%E4%B8%8D%E8%A6%81%EF%BC%9F%E3%80%80%E6%AD%BB%E4%BA%A1%E7%8E%87%E3%81%8C%E4%BD%8E%E3%81%84%E3%81%AE%E3%81%AF%E4%BA%A4/



今回のウイルス感染騒動は、全人類に感染症対策の基礎知識を授けることになり、空気感染の恐ろしさへの警戒心を植え付けた。

 さらに、このウイルス感染がもたらした交叉免疫によって、これ以降の、性質の似たエンベロープウイルスの重症化効果が軽減されてゆくだろうとも予想されている。



 何よりも、このような強感染率の疫病が蔓延しはじめたなら、人々が密集して体液飛沫が飛び交うようなライフスタイルを避ける知識が、多くの人の生活習慣に定着することになった。

 大規模な密集を伴うイベントとしては、集会、コンサート、通勤電車、飲み屋などだが、今回の疫病体験は、これまで、まったく目が向けられなかった密集の恐ろしさを、人々の脳裏に刻むことになった。



 そこで、今後の日本におけるライフスタイルは、おそらく大きな新型コロナ禍に大きな影響を受けて、密集を避けるようなスタイルに変貌してゆく可能性がある。

 人々は、通勤ラッシュを嫌うようになって時間差通勤にシフトし、集中型オフィスワークを嫌って、個別の自宅ワークにシフトするようになった。

 この傾向は、おそらく強まることはあっても、元に戻る可能性は小さいように思える。



 欧米では、親愛の情を示す抱擁やキスという習慣でさえ衰退し、一定の距離を保った日本型の接触スタイルに変化しているともいわれ、逆に、日本での感染率が欧米より低かった理由として、人との距離をとる生活習慣やマスク着用率が挙げられている。

 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210708/k10013123201000.html



 こうなれば、軍隊式に集中する企業スタイルは廃れて、リモートワークをグリッド結合するようなシステムが主流になるのは確実だろう。

 人々は、各自、好きな場所で仕事をし、それを有機的に結びつけるグリッドシステムの方が、はるかに重要になるというわけだ。

 https://www.smart-japan.org/reference/l3/Vcms3_00000130.html



 このとき問題になるのは、社員一人一人の意欲やライフコントロールが、自律的に最適化されるかということで、「みんながいるから、集団規律に迎合→同調圧力で、個人的暴走を抑え込んできたものが、誰も指示を出してくれず、「空気を読んで」仕事したくても、その空気が自由すぎて、自分をコントロールできないということだ。

 例えば、釣りやパチンコ、ギャンブルが好きな人は、それを抑制してくれていた環境から解き放たれて三昧に陥り、自分だけで自律的に企業社員としての任務をこなすことは、非常に困難になる。



 「軍隊に入って上官の指示に従って仕事をしてきた」人々が、いきなり組織の規律を外れて、自分で自律的な生活をすることは、極めて困難を要するもので、鉄人的な意思とモチベーションがなければ勤まらないことになってしまう。

 そこは「上官がいない、誰もいない、自分一人だけの軍隊」なのだ。

 逆にいえば、企業に勤めるということは軍隊に入るということだった。そこには規律があり、破れば懲罰を食らうから、やむをえず、規律を守ってきたわけだ。



 分散、時間差通勤までは問題なくとも、自宅のリモートワークには、「みんなで空気を読んで自律してきた」という統制がきかなくなるわけで、仕事をやり過ぎる、遊びすぎる、アホらしくなる、精神異常を来すなど、さまざまの、これまで経験したことのない困難が待ち構えている。



 そこで、一定の経験則が蓄積されるまでの数年あるいは数十年の間、おそらく軍隊式集中企業形式と自由なリモートワークの新しいライフスタイルを行ったり来たり揺れ動く日々が続くのではないだろうか?



 また、こうした揺れ動く経験のなかでも、人々は「自由」の味をしめて、「大きいことはいいことだ」というスケールメリットのライフスタイル、企業形式から、分散し、職人的な仕事をこなして、有機的に結合するマイクログリッド型の実務にシフトしてゆくのではないだろうか?

 つまり「小さいことの方がもっとよかった」という社会になるということだ。



 世界の情勢を俯瞰してみよう。以下は、まだ新自由主義的思想が残る外国人のもの。

 ズームアイランドへの脱出

 https://www.gqjapan.jp/lifestyle/article/20220611-zoom



 2022年6月11日

 もうすぐ、朝がまた始まる。渋滞や満員電車のなか、人々は指定された場所へと移動する。しかし、亜熱帯のマデイラ島にある古き村、ポンタ・ド・ソルの1日は違う。日の出を見ながら、崖の上でのヨガから始まるのだ。マデイラ島はリスボンから南西に約970キロに浮かぶポルトガル領の小さな島だ。



 「息を吸って、海に向かって手を伸ばしてください」。2021年10月のある澄んだ朝、ブロンドヘアのインストラクター、リンジー・バレットは、6人のミレニアル世代の若者にそう語りかけた。

 彼らは大西洋の海面から数百フィートの高さにある石造りのパティオにいる。眼下の溶岩に波がぶつかる音が聞こえてくる。ピンクがかったオレンジ色の日光が、広大な青い水平線に広がり、緑の山々や流れ落ちる滝など、はるか先まで包み込んでいる。



 かれらは休暇中の億万長者ではない。パンデミックの真っ只中に、仕事をするために移住してきた、専門職を担う外国人たちだ。31歳のバレットは、かつてニューヨークの大手会計事務所に勤務していたが、自分自身を取り戻すために、2019年にマデイラ島までの片道航空券を予約した。「一生懸命働きたいけど、自分の人生も楽しみたいし、出世競争をしたくないんです」



 彼女の仲間は、石畳の道やカフェ、公園で、パソコンやiPadを使って仕事をしている。彼らはWi-Fiさえあればどこでも働ける「デジタルノマド」で、「ジェネレーション・ズーム」と呼ばれている。ズームとは、いうまでもなく、コロナ禍で利用者が激増したリモート会議アプリの「Zoom(ズーム)」のことである。



 マデイラ島ほどうまくいっている場所はない。西インド諸島のアルバから、黒海沿岸のジョージアまで、さまざまな国がパンデミックで荒廃した経済を活性化するためにデジタルノマドを誘致しようとしているが、アフリカ大陸の北西沿岸に近いこの小さな島は、一足先を行っている。

 バレットをはじめ、島を訪れる人々は「デジタルノマド・マデイラ」─チャットサービスのSlackを使って、人々のニーズに合わせて、賃貸住宅探しを手伝い、街の中心に最先端のコワーキングスペースを用意し、ヨガクラスのようなソーシャルイベントを開催する─というユニークなプログラムに参加している。



 プログラムを創設したゴンサロ・ホールは、リスボン出身で社交的な34歳。ノマドという〝新興国〟の主要な啓蒙者の1人だ。

 観光客が激減したマデイラ島で、自治体からわずか3万5000ドル(約430万円)の出資を受けて、2021年2月にこのプログラムを立ち上げた。半年も経たないうちに、ノマドたちは持続可能なコミュニティを築き、地域経済の活性化に貢献。月に150万ユーロ(約2億円)の収益を上げたこともある。



 どうしてそんなことが成し遂げられたのか?ノマドたちの功績とは? 私はそれを探るためにマデイラ島を訪れた。

 しかし、ホールが言うように、古い漁村に現代のノマドを送り込むのは、経済的な実験であると同時に、社会的な実験でもあった。そしてどんな実験もそうだが、いつも順調にいくとは限らない。ホールは歯を見せて笑いながら言った。「僕らはコミュニティだけど、僕が全員をコントロールするわけではありません」



 デジタルノマド・ビレッジ

 マデイラ島は、モロッコの最大都市、カサブランカから西に約880キロ先、北大西洋の秘境にある。

 子どもの頃からこの地を訪れていたホールにとって、ここはノマドの島を作るには最適な場所だった。自身もノマドである彼は、安定した生活を捨てる難しさを身にしみて感じている。4年前までは、ドイツのスポーツくじの会社に勤めていた。

 ある程度充実した生活は送っていたものの、30歳になったとき、我に返ったそうだ。「1発食らったみたいに、こんなのは自分が望む人生ではないって、わかりました。世界中を旅して冒険がしたい。自分のビジネスを始めたい、と」



 会社を辞め、恋人とポーランド、バリ、ベトナムなど世界を旅して回った。ノマド的ライフスタイルをいち早く提唱し、ポッドキャストを始めたり、リモートワークの取り入れ方について企業にコンサルティングを行ったりしていた。「リモートワークは、世界全体を変えられるツールなんです」とホールは言う。



 2020年2月にパンデミックが発生すると、地球は突如としてリモートワーカーであふれた。同時に観光業も大打撃を受け、業界に依存していた国々は著しく疲弊した。

 そのひとつが、マデイラ島だった。パンデミック以前は年間平均約150万人の観光客が訪れていたが、その大半が姿を消した。



 地元住民を助けるチャンスだと思ったホールは、同年9月、経済長官に計画を持ちかけた─ノマドたちを受け入れれば、地元のビジネスの支援になるだろうし、さらに新規事業も生まれる。なによりも「地元民ファースト」だと。

 政府の支援を受けて運営されているビジネス支援団体「スタートアップ・マデイラ」は、彼の話を聞いてすぐに、ポンタ・ド・ソルに世界初のデジタルノマド・ビレッジを作るというホールの計画に資金提供を行う契約を結んだ。入居者は500件ほどの募集がくればいいという予想に反し、1日に200件の応募がきたという。



 15世紀にできた人口の少ない村を21世紀に蘇らせるという、大規模な挑戦の始まりだった。まずは、コワーキングスペースに転用できる場所を探すことから始め、高速のインターネットを導入した。

 地元の不動産業者スザナ・ペスタナ・シルヴァは、家主と協力して、ノマドのためにアパートを整備し、時には50%引きの低料金で借り手を獲得した。



 ノマド・ビレッジに昼前に出勤すると、アパートからパソコンを持った若者たちが出てきて、石畳の路地を歩いてやってきた。サングラスをかけた若いイギリス人のオンラインマーケターが、パティオで電話をかけていて、ロシアから来たむさ苦しいコンピュータープログラマーが屋外テーブルを占領し、ホームスクーリング中の子どもたちがそばで絵を描いていた。



 旅人の集まりながら、和気あいあいとした雰囲気がある。私が仕事をするための場所を探していると、彼らは笑顔でピースサインを送ってきた。

 エジプト出身で33歳のソフトウェア開発者アハメド・ハモウダは、恋人と一緒にここに移住するために、アマゾンの仕事を辞めた。環境が激変してもノマドになるのには価値があると言う。「気候もコミュニティも最高だし、ここのライフスタイルが好きなんだ」



その週は、50カ国以上から集まった約 1000人のリモートワーカーが、ポンタ・ド・ソルや、そこから45分ほど離れたマチコ、そして賑やかな首都フンシャルで働いていた。青々としたバナナ農園を見下ろす場所に、手頃な値段でアパートを借りている人もいるし、地下に築 200年のワインセラーがある古い農家をシェアしている人たちもいる。

「デジタルノマド・マデイラ」に参加するノマドの多くは、決して裕福ではないため、手頃な価格で生活できるようにライフスタイルが設計されている。しかし最初は順調ではなかった。創設当初に到着したノマドたちは、すぐに問題に直面した。島がゴーストタウン同然だったのだ。



 エキゾチックな場所で働けたとしても、現実からは逃れられない。言葉の壁や時差があり、コミュニティを見つけるのも大変だった。

 ホールは自らのノマド生活から、新参者がビザを取得し、高速インターネットを利用できるようにするだけでは不十分であることを心得ていた。

 「コミュニティを作ることが重要です。他の人たちがデジタルノマドの誘致に失敗しているのは、それが原因でしょう。僕もそうだけど、ノマドが旅をするのは、仲間だと思える人々がそこにいるからなんです」



 ホールはSlackチャンネルを立ち上げ、ノマドたちのネットワークハブとして機能させた。「コミュニティを無理に作ろうとしないことが大事です。インフラは作らなくちゃならないけど、徹底的に管理することはせず、できるだけ早くノマドたちに権限を与えました」とホール。

 彼は当初、サンセットハイキングや海水浴を提案するなどして盛り上げていたが、やがて「ノマドが自分たちで管理するようになっていった」という。



 ノマドたちには共通する願望がある。それは「自己啓発」。その願望を満たすべくノマドたちはヨガ、サルサレッスン、音楽のジャムセッションなどを計画した(ホールは起業家ティモシー・フェリスの講演でそのことを発見し、実際にノマドの多くが旅に出るきっかけとなっていると話す)。



 一方の地元住民たちは、マナーの悪い若い観光客に対して複雑な気持ちを抱いていた。それに、新型コロナウイルスが持ち込まれるのではないかとも心配していた。そこで、マデイラ島では2021年1月、平日午後7時以降の外出禁止令が制定されたが、旅行者のなかにはそれを守らない者がいて、警察騒ぎとなったこともある。



 春になると、ノマドの1人が感染し、彼らは地元住民と距離をとって隔離生活を送った。しかし、その後感染者が少なくなるにつれ、新たな目的意識を持つようになる。村に何かお返しがしたいと、ビーチ清掃や壁画の制作など、町のあちこちでボランティア活動を始めたのだ。

 やがて、ポンタ・ド・ソルは再び活気を取り戻した。地元の人気レストラン「ステーキ&サン」のオーナー、マリサ・フレイタスは「レストランが復興できたのは、ノマドたちのおかげ。私の天使です」と語る。



 仮想通貨ホテル

マデイラ島に来た、進取の気性に富んだノマドはホールだけではなかった。ポンタ・ド・ソルから30分ほど東に行った町、フンシャルにある5つ星ホテルでは、まったく異なるコミュニティが展開されていた。



 猛暑の昼下がり、私は高級リゾートホテル「サヴォイ・パレス」の屋上にあるプールデッキで、ホールとは違うビジョンを実現させた人物に会った。

 ブロンドの髪をお団子にまとめて、ジーンズ姿で現れたボーダン・ダンチュクは、32歳の男性。通りかかったホテルの従業員に、まるでロックスターのように手を振ってみせる。「ここが懐かしいよ」と彼はため息をついた。



 ホールと同じように、ダンチュクもこの土地で仲間を集めたが、ホールが小さな村と協力して地元に根ざした共同生活を営んでいるのに対し、ダンチュクは企業的で派手なやり方を用いた。感染者の数が急増していた時期に、自分と168人のノマドを高級リゾートに住まわせる契約を結んだのだ。半年間、ホテルを専有した彼らは、お祭り騒ぎを楽しみ、退廃的でディストピア的なファンタジーを満喫した。



 インフィニティプールから眼下に広がる海を眺めながら、ダンチュクはしみじみ語った。「僕らにとって人生最高の時でしたね」



 ウクライナの貧しい家庭に育ったダンチュクは、家族でイスラエルに移住して以来、二度と貧乏にならないと誓った。

 18歳でデジタルマーケティング会社を設立すると、その1年後にノマドとなり、以来、アメリカからベトナムまで36カ国以上を訪れ、ひとつの場所で数カ月を過ごしては、次の場所へ移動してきた。



 しかし、1箇所だけ滞在したい場所があった。マデイラ島だ。「人生に求めるものがすべて揃っていることに、驚きました。大自然に囲まれながら、大都会のような感覚を味わえるんです」

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 一部引用以上 長いので、前半だけ引用した。



 これは、新型コロナ禍のなか、世界の一部で起きている現象をピックアップしたものだが、まあ日本人にとっては、ひとつのおとぎ話にすぎない。

 だが、全体として、軍隊形式の企業活動が、分散した個人的事業へと移り変わってゆく有様が捉えられている。



 ほとんどの人が、家族や友人関係というネットワークのなかに生かされている日本では、世界を股にかけて自由に移動しながら収益を得てゆくことは現実的な話ではないが、多くの勤労者が、企業社員という軍人の身分から、007のような自由自在のエージェントになってゆく可能性を見せている。

 

 「軍隊のなかで上官の命令がなければ生きてゆけない」企業戦士=社畜の身分から解き放たれて、一人で大自然の野山に放り出されて、「どうやって生きていったらいいのだろう」と不安感に苛まれている人たちは、やはり、これまで通り満員電車の押しくらまんじゅう生活に郷愁を抱くのかもしれない。



 私が思うのは、新型コロナ禍による軍隊式ライフスタイルの崩壊がもたらすものは、おそらく、明治以前の「職人社会」への回帰であるような気がする。

 職人社会では、一人一人の職人が、創意工夫を発揮して、細やかな消費者のニーズに応えてゆかねばならない。

 一人前になれば、自分に命令してくれるのは自分だけだ。他人の指令に従うだけの精神的依存心に拘泥したライフスタイルは許されない。



 朝起きるのも寝るのも、何かを食べるのも自分の意思、自分の自由であって、他人に指図されない。

 自分の弱気を律してくれるのも自分だけだ。人々は、自分という存在の絶対性に目覚め、自分の宇宙を構築して、自分に対して神として君臨することになるのだろう。