フジキです。
12月18日(1日目)
午前11時01分、某日比谷駅にて
奴とは2週間ぶりの再会だ・・・
ガムを一粒口に放り込む。
俺は高ぶる心を懸命に抑え、
奴に悟られぬよう平静を装い、待ち合わせ場所へと向かった。
・・・居た。
奴はいつもの愛車に乗り俺を待っていた。
隣にはいつもの運転手が立っている。
そう、奴は一人で移動する気などさらさらない。
どこぞの国の王でも気取っているのだろう。
相変わらずのふてぶてしさだ。
久しぶりの再会にもかかわらず、
奴は俺と目を合わせようともしない。
まるで俺など相手にする気はない、とでも言わんばかりだ。
望むところだ、
振り向かせてやるよ。
俺は奴の愛車を受け取り、運転を始めた。
その愛車には奴の戦闘服、そして大量の宝が積まれている。
重い・・・そして邪魔だ。
勿論奴は俺のそんな苦労も知らず、
いや、知ろうともせず、
悠々と愛車に腰かけ、一人芝居にいそしんでいる。
ふっ、馬鹿なやつだ。
これから恐怖の5日間が始まることなど
想像もしていないのだろう。
せいぜい今の内に楽しんでおくがいいさ・・・。
そして俺たちは
それぞれの思惑をかかえたまま、
足早に電車に乗り込んだ・・・。
・・・・・・・・・・・・・つづく・・?