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精神科医師のブログ。
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76/77世代(ナナロク世代)に期待

2006年09月18日 | Weblog
 自分は76/77世代ナナロク世代)といわれる世代らしい。団塊ジュニア世代より少し下。少子化が進む直前の世代だ。さまざまな分野で活躍している有名人に乙武洋匡(1976)、中田英寿(1977)らもいる。日本でも米国でもこのあたりの世代を境に情報に対する感性、接し方にギャップがあるという。

 76/77世代が社会に出て行ったのは、バブル崩壊後で団塊ジュニアが就職を目指した就職氷河期の氷が溶け始めたころである。ネット技術が急速な発展を見せビットバレーが注目され、ITバブルの栄枯盛衰を横目に身ながら学生時代をすごした。生まれたころにパソコンが誕生し、コンピューターは常に身近にあった。学生時代はインターネットの発展とともにありインターネットのエリート世代だという人もいる。

  MixiはてなGreeなどSNS系サービスなど、WEB2.0を牽引する新たなインターネット企業の社長はこの世代が多い。彼らはニッチをみつけ,そこにあらたなビジネスモデルを展開するブルーオーシャン戦略をとっている。
 儲かるかではなく自分らにとって面白いか、やりがいが感じられるかというのが価値基準。ウィナーズ・テイクス・オールのIT業界でナンバーワンでなくオンリーワンを目指している。
 
 また、これらの世代の人材は、かつての価値観にとらわれず、福祉、環境、教育といった決して儲かる仕事ではないが、解決しなくてはならない課題が山積しており、やりがいの感じられる分野に集まりはじめている。

 自分を含めた若手の医師においては回り道をあまりせずに来たならば卒後臨床研修義務化の始まる直前の世代である。そして今、医局崩壊、卒後臨床研修必修化のあおりを一番受けている世代でもある。

 これまでの経験的、あるいは病態生理学的思考に加え、臨床疫学の手法も取り入れたEBMの考え方が普及し、インターネットを利用した情報収集が当たり前になりはじめ、さまざまな技術、手法が標準化されてきたのを目の当たりにしてきた世代でもある。外国語にも苦手意識はなくインターネットを利用した情報交換も盛んで、これまでになかったさまざまなつながりが生まれてきている。

 高度かつ専門的な最新医療技術だけがすばらしいというのではなく、地域や患者の全体をとらえ、ニーズから出発する医療、地域社会とともに作っていく医療というものの存在もやっと認知され「それもかっこいいかも」と評価される雰囲気にかわってきているのが感じられる。

 医師や病院を長らく支配してきた医局講座制は行き詰まりを見せ始め、独裁者だった医学部教授は「裸の王様」になり、医局の民主化が急がれているとともに、医局によらない多様なキャリアパスが生まれ、若い医師たちは自分のキャリアを自分を中心として考えるようになった。(その分厳しさもあるが。)そして大学や病院という既成の枠にとらわれず、それぞれの能力や興味に応じて国内外のさまざまなフィールドで活躍するようになってきている。

 そして今、我々は医療現場の第一線におり、現在進行形の医療崩壊の真っ只中にいる。そしてこのままでは2007年度以降続々とリタイアし、癌や脳卒中、心筋梗塞などの疾病の好発年齢に突入する権利意識の強い団塊の世代の医療福祉をあきれるほど乏しい予算で担わされることになりそうである。

 ますます厳しさをます医療現場、社会保障費削減の欺瞞、変わろうとしない旧態依然の体制、理不尽な病院と患者の要求に不満と怒りを感じ、ボロボロになりながら、大学医局も臨床研修病院も結局のところ頼りにはならず、自分の身は自分で守りたてていくしかないということにやっと気づき始めている。
 
 すこし視野を広げてみるとこれまで人類が経験したことのないほど変化の激しい時代を生きている世代ともいえる。かつてないほどのスピードですすむ情報化、国際化、地球環境の変化などなど、まさに激動の時代といってもいいだろう。

 これが江戸時代なら自分も生まれた村で親と同じように生き、そして死んでいくのだろうと予想できるのだが・・・。今の時代は変化があまりに激しく、今後どうなるのか全く予想できない。ただ、今の延長線上に明るい未来があるとはとても思えない。

 確かに科学技術は発展したが、地球規模での環境破壊も進み、人類活動により、この星の気候まで変わりつつある。人口は64億人を超えこの星のキャパシティを越えつつある。世界で、日本で、さまざまな格差は広がる一方である。10年後、20年後、30年後、もし、自分が運よく今の平均寿命くらいまで生きられたとして50年後にはどうなっているのだろうか。

 日本という国は、一つの国として存在していられるのだろうか?
 地球という星は、その美しい姿を保っていられるのだろうか?

 環境の悪化により大量の難民が生まれ、食糧難、戦争が起きる可能性も高い。凶悪な感染症のアウトブレイクもきっと起きるだろう。大量生産大量消費の破壊的なライフスタイルを見直し持続可能なロハスだの、スローライフだのといったことが言われはじめてはいるが、それでカタストロフィを回避しつつ人類活動をうまく縮小できるのだろうか?もはや手遅れでなのではないだろうか?

 どこかで聞いて歌った歌。「生きている鳥たちが生きて飛び回る空をあなたにのこしておいてやれるだろうか父さんは・・・。」というような気持ちである。もっとも父さんになれるかもわからないが・・・。

 ひょっとすると癌や老衰で死ねるなんて幸せだという時代になるかもしれない。そんな時代を生き抜くためには誰もが人間への基本的信頼、そして死への免疫を身につけておかなくてはならない。コミュニティを再生しソーシャルキャピタルの蓄積をはかっていかなくてはならない。

 とすると、青年のころ悲惨な戦争を経験し、激動の時代を生き抜き、かつての農村を知る今まさに亡くなりつつある世代から学ぶことは多いだろう。(もちろん若月俊一氏からも。)あまり時間は残されてはいない。

 希望の持てる明るい未来を描くために、今こそ動かなければいけない。若い世代にかかる期待は大きい。上の世代も既得権益にしがみついたり、これまでの価値観で「ムリだ。ダメだ。」とばかり言うのではなく、若い世代を積極的にサポートしてほしい。

 扱う情報はそれまでより圧倒的に多く、マルチタスクは当たり前、情報を人と同時にあるいは人よりも早く得ることに強いモチベーションがある新たな能力と感性を持った、U-77世代(Under 77 generations,Generation Y,millennials)を引っ張っり、新たな時代を切り開いていくためにも76/77組の活躍に期待したいところである。
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