リカバリー志向でいこう !  

精神科医師のブログ。
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「うつ」や依存症がよくなれないワケ その1

2009年10月22日 | Weblog
今は「うつと依存症の時代」であると言われる。

社会の抑圧や規範がゆるみ、かわりに自由と自己責任が言われるようになった。
一見、自由で選択肢はたくさんあるように見えるが、失敗すると自己責任として突き放される世の中である。

そんな時代を反映してか、うつ病自体のあり方も変わってきている。

休養、抗うつ薬の内服だけで十分よくなる従来のいわゆるメランコリー親和型のうつ病は減り、社会との関わりを取り戻すのに難渋するうつ病が増えている。

いわゆる「新型うつ」である。

「新型うつ」はパーソナリティに深く食い込み、環境との相互作用の関与が大きい。

この新型うつに対しては旧来の「はげましてはダメ」「すべてを棚上げにして休め」だけでは太刀打ちができない。

治療の後半戦は精神療法とリハビリテーション(認知行動療法や対人関係療法、SSTなど)が中心となるし、時に励ましリカバリーを果たすまでつきあうことが重要である。
そしてこの「新型うつ」は上手に経過させないと、「うつ」は慢性化し「うつ」という状態に依存して離れられなくなる場合がある。
下手な治療者にかかると医源性に、うつ病という状態や、抗うつ薬、抗不安薬への依存をつくりかねない。