リカバリー志向でいこう !  

精神科医師のブログ。
弱さを絆に地域を紡ぎ、コンヴィヴィアルな社会をつくりましょう。

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休暇とリズム

2009年10月04日 | Weblog
夏期の休暇をもらった。
交代でとるので10月に入ってしまった。

ここ最近やっと気づいたことがある。
それは休むというのは本当に大事であるということである。

日常生活で硬くなった頭と体をほぐす。
休養は生きつづけていくためには必要なことである。

敬愛する精神科医の一人である春日武彦氏によると心を病むとは、「優先順位の狂い」と「選択肢の狭さ」であるという。
自分としては、さらにこれに「リズムの狂い」ということを加えたい。


人は自らリズムを刻みながら、周囲のさまざまなリズムに同調させて生きている。
心や体が固くなり、それがまったく出来なくなったとき・・。
それが、つまり死ぬときである。

そのまえにたいていは警告として「うつ」や体の病気になる。
そうなってしまったら「うつ」や体の病気をうまく経過させることが重要である。
「うつ」や「病気」を敵視するのではなく、それをうまく経過させられるように導くのが医療者の大事な役目である。

うまく経過させることができないと、依存症(引きこもりや、仕事依存も含める)になったり、病死、あるいは自死を選んでしまうという悲しい結末になる。

リズムの観点から精神疾患を見た場合・・・。

・リズムが失われるのがうつ病
・独自のリズムで暴走するのが躁病
・社会とのリズム同調がぎこちなくなくなるのが統合失調症。

であるといえる。

失われそうになったリズムを取り戻し、違った価値観に触れて心をほぐすには、必要なときにはしっかり休むことが必要なのだ。

しかし上手に休むというのは本当に難しい。
だらけてしまってリズムをつくれなくなると本末転倒になる。

うまく休むとは、うまく生きるということに等しい。

休暇に先立ち、しばらく、あけておいてもいいように仕事を整理する。

治療者、患者が距離をとる。これも治療の一環として利用する。
その治療者がいなくなったから患者が自殺しましたなど下手な治療者もいいところなのだから。

休んだ前後は多少忙しくなるが仕方が無い。
周りにも迷惑をかけるが、これはお互い様。

覚悟をきめて休むためには、すぐには日常に戻れないところ、携帯電話の届かないところへ行くのがよい。
そして普段と違う場所に行き、普段と違うことをするのがいい。
それには旅がいちばんだ。

本当は50年後の未来を見にキューバに行きたかったが、そこまでの「ずく」がなかったので今回は台湾に行って来た。

いろいろと気づいたことがあったので、しばらく何回かに分けてのレポートをお送りする。