社会福祉士「とど」の うつ病と脳卒中の闘病日記

医療ソーシャルワーカーだった「とど」が、うつ病と脳卒中に。
それからの闘病の様子や趣味の事などをつらつらと…。

介護保険に思う

2015年04月01日 12時27分43秒 | 社会福祉
平成12年(西暦2000年)4月1日に法施行された介護保険法。

平成9年(西暦1997年)12月に法が制定されましたが、決まっていたのは名前と目的だけで、大切な内容は制定後に策定された不思議な法です。

『介護を必要とする高齢者の、治療や介護等にかかる負担を、社会全体で支援する』ためにつくられた筈の法です。

この法律は、対象となる人については「他の法律・制度よりも最優先で適用する」という厄介な決まりごとがあります。
そのため、施行時には、例えば以下のような弊害が生じました。

1.それまでのデイサービスや訪問介護などといった高齢者福祉制度は、利用者(世帯)の所得に応じた費用負担となっていたため、月額負担0円という世帯もありました。しかし、介護保険法は、所得に関係なく1割負担となり、経済的負担が増加し、利用しにくくなってしまった世帯を生み出しました。

2.寝たきり高齢者、身体障害者(障害区分による)の制度では、特殊寝台(介護用ベッド)の給付制度がありました。
同じ対象者であっても、高齢者福祉と障害者福祉では、自己負担が異なったりしたため、両方の条件を確認して、条件の良い方を選択できました。
また、給付制度ですから、給付を受けるときの1回だけの費用負担で済んだのです。
それが、介護保険の対象となったことで、障害者福祉制度では自己負担0円で給付を受けられる場合でも、毎月1割の費用を負担してレンタルを受けるしかなくなりました。
選択の自由がなくなり、費用負担の増加まで強いられる事になる訳です。

お金のある人(制度を作ったり決めたりする人や高所得の世帯)にとっては、何ら問題はないのかもしれませんが、さまざまな意味で社会的弱者となっている、「社会全体で支援する」事を必要とする介護者・世帯にとって、介護保険法は、実際には首を絞められる制度になってしまったのです。

私も、医療ソーシャルワーカー時代は、自治体の各福祉・介護保険担当部署と連絡を取り、折衝を繰り返したものですが、行政は「決まりごと」を大切にして「人」を大切にはしてくれません。
必ずではありませんよ。
でも、「国が決めた事だから」が決まり文句。住民の声を「国」に伝えて、良くしていく努力をするのも地方自治体に勤務する、法で定められた「住民の奉仕者」たる公務員の役割だと思うのですが、よく失望したものです。

それでも、対象者にとってよりbetterな方法を探っていました。


さて、そんな「問題」を持った介護保険法ですが、5年毎に制度の見直しを行っています。
しかし、残念な事に、行政が考える事で主となるのは、「いかに利用者にとって有効な制度となるか」「サービスを提供する事業者がいかに利用者のために良いサービスを提供出来るか」といった現場レベルではなく、「いかにお金をかけないようにするか」であり、利用者の事は後回しです。

そもそも消費税って社会保障費財源にしか使わないって言って、3%で導入され、5%、8%とあげられ、10%も目の前です。
それでいて、年金は下がっていくし、介護保険もサービス低下、医療だって例外ではありません。

介護保険に話を戻すと、要支援が要支援1,2に拡大されたのは、現実的には要介護1の人の一定数(多数?)を要支援2に下げて、介護費用を抑えるためのものになっています。

新年度となった今日から、要支援は国から市区町村(市町村総合支援事業)に移行します。
介護費も下げられ、既に要支援の人の受け入れを拒否し始めた事業所も出始めています

行政の常套手段。
自分たちは「使えないようにはしていない」と言いますが現実的には、行政が無意味に決めた介護報酬額では事業者が経営していけなくなるため、事実上の受け入れ拒否をせざるを得ないんです。

このままでは、次の改正では要支援が消えるかもしれませんね。

介護保険法も本末転倒です。

今、国は療養型病床を減らすとも言っています。
介護については、上からも下からも締め付けられ、日本はどうなっちゃうんですかねぇ…。

私は介護支援専門員(ケアマネージャー)の資格も持っていますが、こんな状況では働けませんよね。
(働きたくないです。現業の方には敬服致します。)

っていうか、今はサービス利用者ですが…。
コメント
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