2022年11月27日(日)に「木の実、草の実、タネしらべ」を実施しました。
1)果実を探す
2)ドングリ
3)風で飛ぶ
4)ベリー
5)しめくくり
天気予報の通りとても良い天気になりました。
昨日、準備をしていたら持ち物が増えて段ボール2箱になりました。それを駐車場から集合場所まで運んだらリーさんたちがいました。三々五々と参加者が集まり、希望していた12組のうち来れなくなったのが4組あったので8組、大人も含めて30人くらいとなりました。
初めに挨拶をしました。
「今は秋だけど、秋の前は?」
「なつー!」
「そうだね、何が違う?」
「暑い」
「そう、では秋の後は?」
「ふゆー!」
「そう、冬は寒いね。寒いと植物はものを作れなくなって枯れてしまうので危ないんだ。だからその前に葉っぱを落としてしまいます。それまで緑色だった葉が、黄色や茶色や赤に変わります。それから、花が実になるんだけど、その実には色々なものがあるので、今日はそのことを調べたり遊んだりします。
待っている間に見つけたヒヨドリジョウゴを見に行きました。チャック袋を配ってそれに入れてもらいました。この果実がトマトとよく似ていること、実際に近縁だという話をしました。
ヒヨドリジョウゴ
「とったよ」
袋に入れた
玉川上水の歩道
それから線路を超えた鷹の橋に行くことにしましたが、その途中にマユミとトウネズミモチの果実があったので、マユミの「実」が通常の多肉果とちがって種子が赤いこと、果実部分は食べてもおいしくなく目立つためにあること、トウネズミモチが1970年台以降に造園業者が植えてからヒヨドリが種子散布して拡大したことなどを話しました。
マユミ
トウネズミモチ
トウネズミモチをとる
鷹の橋にはムラサキシキブの果実があり、みなさんその色のきれいさを口にしていました。私は捕虫網の軸の部分の先端に太い針金をつけたものを持ってきていたので、これを使って枝をたぐり寄せて、果実がとれるようにしたら、子供たちが競い合ってとって袋に入れていました。
ムラサキシキブ
この場所は明るくてつる植物などが多い場所です、初めにコセンダングサの「くっつきむし」を見てもらい、麻布(あさぬの)につけてみました。それから拡大鏡で先端がフック状になっているところを見てもらいました。
コセンダングサ
コセンダングサの種子の先端にある逆棘
それからヘクソカズラ、スイカズラ、アオツヅラフジなどがあるのを見てもらいました。
ヘクソカズラ
スイカズラ
アオツヅラフジ
センニンソウがあったので説明しました。
「センニンソウという名前はこの白い毛が仙人のヒゲのようだということでつきましたが、この花が純白で十字架のようで実にきれいなので、私は花の名前をつけて欲しかったです」
センニンソウ
センニンソウの説明
「この鳥の羽のようなのは種子の先端についていて、とって落とすと・・・」
落とすと・・
と言って指から離すと、風に乗って斜めにゆっくり落ちていきました。みなさんから歓声が聞かれました。
その後、男の子がオニドコロの果実を見つけてくれたので、スケッチブックに描いていた図を使って説明しました。
オニドコロの説明
「オニドコロの果実は相撲の行事の軍配みたいな形をしています。これを丁寧に開くと、中に1、2枚のごく薄い楕円形のものが入っています。この下の方に種子があって、それに翼がついています。これも・・・・」
と挟んでいた指を離すとヒラヒラと飛んでいきました。
「ヘエー」とか「ハァー」とか声が上がりました。
オニドコロの果実を落とす
「こういう場所は上に木がないので光があたり、つる植物などが入り込みます。わずか5メートルほどのあいだに色々な果実がありましたね。林には樹木が連続して覆いをしていますが、何らかの理由で木が倒れることがあり、穴があきます。これを「ギャップ」といいます。ギャップにはつる植物など明るい場所に生える植物が入ってきてぐんぐん成長して果実をつけます。やがてそこにも木が育ってギャップは消えて林は修復されます。そうするとこういう植物は減って、別のギャップで育ちます。こうして「生物多様性」と言いますが、さまざまな植物が共存するわけです。そのためにも種子が散布されることが重要です。」
ギャップの説明
その後、サワフタギがあるところに行って同じように枝を手繰り寄せて少し果実をとり、説明しました。
「緑の中に赤やオレンジの果実があれば目立つので鳥に食べてもらうチャンスが増えます。さっき見たトウネズミモチのように黒い果実も多いのですが、黒は人の目には目立たない色ですが、鳥の目は感受性が違っていて、黒も目立つという研究があります。ただ、青い実は多くありません。サワフタギの果実はその少ないものの一つで、これは日当たりが良くなせいかあまり育ちが良くありませんが、良いものは磁器の青のようなじつにきれいな青をしています」
サワフタギ
*多くの写真は青木計意子さん撮影、一部の写真は高槻が以前撮影したものです。