玉川上水みどりといきもの会議

玉川上水の自然を生物多様性の観点でとらえ、そのよりよいあり方を模索し、発信します

森林ギャップ

2016-04-15 03:11:45 | 生きもの基礎知識
以下、2016年5月8日の観察会の記録から

 私は少し保全生態学的な話もしようと思い、ある場所で立ち止まった。
 「私から質問です。私はなぜここで立ち止まったでしょう。」
返事がない。私が立ち止まった場所にはとくに花もないし、特別の木もない。
 「向こうを見てください」
と私は水路の方を指差す。
 「どういうわけか、この部分は上の木がなくて、光がさし込んでいます。」
みんながうなずく。でも、「それがどうした?」という顔だ。
 「光がさせば、明るいから植物が育つ。育てば光合成ができて花をつけることができる。見てください、見える範囲だけで何千もの植物があると思いますが、花をつけているのはごく一部です。」
 水路の脇にマルバウツギが花を咲かせている。
 「花が咲けば虫が来ます。見てください、ハエやハチがブンブン飛んでいます。こうして、林に隙間ができると賑やかになります。こういう隙間を「森林ギャップ」あるいは単にギャップと呼びます。
 ということは、林は連続的にうっそうとした状態が続くほどよいというわけではないということです。こういうギャップは原生林にもあって、台風で高齢の木が倒れてギャップができます。そうすると、その下の地面で眠っていた種子が発芽するし、そこで細々と生き延びていた植物が急に育つようになるということが起きます。
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