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自整業のビジョン2を読み解くー3.環境対応車の動向と技術対応

2011年07月06日 | 業界動向

おはようございます。株式会社ティオ代表、motown21主宰の山本です。
今日は、自整業のビジョン2を読み解くー3.環境対応車の動向と技術対応、です。

政府は、2020年に1990年比でCO2を25%、2050年までに80%を削減すると世界に公約している。
これに向けて産業界は、相当努力を行い、一定の成果を上げている。

今後は、産業界の削減を継続する一方で、使用過程における削減が主たるターゲットとなる。
その中心が、運輸部門中の自動車からのCO2削減である。

家庭からのCO2排出の中で、用途別では家電製品についで二番目に多いのが自動車からだ。
自動車は全体の中の約30%を占めている。燃料種別では、第一位が電気の42.4%、第二位が
ガソリン+軽油で30.3%となっている。

こうしたことから環境省は、2020年には環境対応車の新車販売台数を2,368千台(シェア48.6%)、
保有台数を14,335千台(シェア19.7%)の目標においている。

また、経済産業省は2020年にはHVの販売シェアを30%、PHV+EVの販売シェアを20%、FCV+CDV
の販売シェアを6%とし、合計で56%を環境対応車にするという目標を掲げている。

EVおいては、構造が簡単なこともあって従来のメーカー以外のベンチャー企業の参入や、整備工場を中心にした
「コンバージョンEV」などもあり、保有台数に占めるシェアは、政府の計画よりも増える可能性があることを、加味
することが必要だ。

環境対応車の整備指数(整備箇所)は、ビジョンによるとHVはガソリン車とほぼ同じ、PHV95%、EV50%
と程度であろうとしている。したがって、環境対応車の普及拡大は、整備指数を小さくすることになり、
工賃収益にマイナス影響を及ぼすことになる。

一方で、OBD2の搭載車が増えることで、故障の有無、故障個所の特定、故障個所の修正などスキャンツールが
不可欠である。

ビジョンでは、電子制御装置の点検・整備(スキャンツールの活用)について、「点検基準、認証基準での位置づけ」と
「保安基準、検査の位置づけ」などが今後検討が進められる課題であろうとしている。

つまり、スキャンツールが認証基準のテスターに追加されること。定期点検や車検時の保安確認として点検項目に
加えられることが将来あるのではないかとしているのだ。このことは、国交省の安全課の担当者の話しでも触れられ
いることでもあり、実現性が高いと思われる。

OBD2車両に対するスキャンツールを使用した標準作業点数を、H23年度版の自動車整備標準作業点数表(乗用車編)
から、掲載するとしている。新しい工賃請求項目が業界全体で動き出すことで、工賃収益アップの明るい材料もある。

こうしたことを踏まえて、自社のビジョンを策定する中に「環境対応車の診断ビジネス」と言ったことを、考慮した内容を
検討することも必要になるだろう。地域の小規模整備工場と連携を取り、診断を請け負うビジネスと、調整・修理を
受託するビジネスなどが考えられる。

そのためにも、人材の確保は勿論、育成のための計画もしっかりと立てるべきである。
ビジョンでは、「汎用スキャンツール普及検討会」の報告書内容を紹介している。

一つは、汎用スキャンツールの活用に向けて、「整備主任者研修」を活用して初歩的な知識習得ができるようにすると
している。また、スキャンツール基本研修や応用研修を、今後創設することも触れられている。

また、整備事業者に対する「認定制度」の創設も予定している。これは、高い技術力や設備を有している整備工場を
業界として認定し、ユーザーにPR、アピールすることができるようにする。

これらの制度を活かすためにも、場当たり的な教育ではなく、3年、5年先を見越して、
ツールの準備と知識習得の計画的な育成が必要である。

メカニックのモチベーションを高めるためにも、高難度診断技能手当とか、1級整備士手当などの技能手当など
もこれから必要になるだろう。


株式会社ティオ
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