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自整業のビジョン2を読み解くー2.車種構成の変化と工賃請求のあり方

2011年07月05日 | 業界動向

おはようございます。株式会社ティオ代表、motown21主宰の山本です。
今日は、自整業のビジョン2を読み解くー2.車種構成等の変化と工賃請求のあり方、です。

保有台数は、人口の減少→世帯数の減少によって間違いなく減少する。
環境省の「環境対応車普及の課題と対策」によれば、2050年には乗用車4,954万台(軽比率37.1%)、
貨物車1,421万台(軽比率7.1.1%)と予測している。

ビジョンでも記述しているが、この先「軽自動車」の保有割合が増してくるとしている。
昨年の9月に、トヨタはダイハツから軽自動車3車種のOEM供給を受け、本年秋以降にトヨタブランドで発売する、
と発表している。今年の秋からトヨタエンブレムがついた軽自動車が街中を走る。

トヨタのエンブレムがついた軽自動車は、乗用車の「ムーヴ・コンテ」と、商用車の「ハイゼット」。もう1車種は「e:S」(イース)
ではないかといわれている。3車種合計で6万台の販売計画だ。 全国一斉販売ではないが、販売状況を睨みながら、いずれは
全国販売に参入してくると思われる。

軽自動車が増えることは、何を意味しているかといえば、工賃売上に影響を与えることになる。
現在の「標準作業点数×レバレート」の請求方式をとっていれば、登録車と同じ作業でも、工賃は低くなる。

車検の基本工賃などが端的な例である。
24ヶ月点検の点検料が、軽自動車のほうが登録車よりも低くなっている。
見る箇所は同じ。作業の容易さは軽自動車のほうが、エンジンルームなどが狭い分やりにくい面も多い。
でも、指数は低いのだ。

さらに、部品や液油脂類の交換サイクルのロング化が進んでいることも工賃売上を下げる要因になりつつある。
例えばLLCでは、ホンダが00年6月発売の「アコード」に初めて採用した「超ロングライフクーラント」は、
新車時11 年または20 万㎞、それ以降は6年または12万㎞毎の交換を推奨している。

超ロングタイプを採用するメーカーは、トヨタが02年5月から全生産車を対象に「スーパーLLC」に順次切り替え、
交換サイクルは初回7年または16万㎞、以降4年または8万㎞毎の交換としている。
ミツビシも初回5年、以降4年毎の交換のLLCを採用している。

プラグも同様に、白金やイリジウムなどによって、10万キロ無交換が当たり前になっている。
また、デフオイルやミッションオイルも、交換不要などといったクルマが出ている。
クルマは、ユーザーの維持費低減に向けて、メンテナンスのロングライフ化が進んでいる。

こうしたことから、ビジョンでは工賃売上の請求項目として、「診断の有料化」を業界上げて取り組み必要を訴えている。
標準作業点数表では、診断料を指数化するとしている。

診断の有料化以外では、指数工賃から「価値工賃」に改めることが必要だと、私は思っている。
例えば、整備作業の難易度に応じて、工賃を決める方法である。

どのような方法であれ、従来の「時間によって工賃が決まる」請求方法を改めないと、
車種構成の構造変化、動力源の変化、パーツ・液油脂類の変化などによって、
工賃売上構成が減少することになる。

このことは、5年先、10年先のこととしてではなく、今すぐに取り組むべき課題である。


株式会社ティオ
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