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自整業のビジョン2を読み解くー1.整備売上源泉の変化と売上高

2011年07月04日 | 業界動向

おはようございます。株式会社ティオ代表、motown21主宰の山本です。
今日は、自整業のビジョン2を読み解くー1.整備売上の源泉の変化と売上高、です。

本年3月に日整連から「自動車整備業のビジョン2(以下、ビジョン)」が発行された。
サブタイトルに「転換期に立つこれからの自動車整備業の在り方」と題されている。

本書では、2020年までの自動車保有台数の変化や、整備経営に関する変化を
予測し、必要な対応策を指針的に纏めたものだ。

ビジョンに基づいて、中長期的な経営計画を立てるために、本書を読み、内容を
それぞれの立場で、理解することになる。

本書では、マーケットが縮小し、競争が激しくなり価格競争によって単価が下がる。
また、自動車そのものが高度化すると同時に、電動自動車の比率が高まり、
整備指数も下がるとしている。

また、インターネットなどコミュニケーションインフラが、どの世代においても当たり前になっていこと。
そして、自動車や道路品質などがよくなっていることで、ユーザーはクルマは壊れない、という意識
を当たり前のように持ち、長期保有傾向が続くとしている。

とはいえ、マーケットの潜在能力は大きいので、そこから需要を顕在化させる新しい努力が必要
としている。5年後、10年後の自社のあるべき姿を、ビジョンに照らし明確にして、新しい
ステージに向かうことを勧めている。

ところで、ビジョンとはなんだろうか。
ビジョンとは、『ある時点の「あるべき姿=こうなろうという」という到着点を示し、その到着点と現在のギャップを
埋めるための、アクション(戦略)が示されたもの』である。

あるべき姿というのは、「定性的」なことに「定量的」要素を加えて示されていることが大事だ。
つまり、願望ではなく、必ず到達しなかればならない、会社の姿といえる。

さて、先ずビジョンを策定する場合、整備経営では売上の源泉である「保有台数」が、
どのように変化するかに大きく左右される。

ビジョンでは、2015年で乗用車5,722万台(内、軽乗用車1,960万台、34.3%)、貨物車1,420万台
(内、軽貨物869万台、61.2%)、その他537万台、合計7,679万台と予測している。
総台数では、2010年の7,850万台よりも▲171万台、比率にして▲2.2%減少するとしている。

その5年先の2020年では、乗用車5,624万台(内、軽乗用車2,000万台、35.6%)、貨物車1,356万台
(内、軽貨物844万台、62.2%)、その他535万台、合計7,515万台と予測している。
総台数では、同様に2010年と比べると総台数で▲335万台、比率にして▲4.3%減少するとしている。

自販連の「H22年版:自動車ディーラー・ビジョン」では、乗用車の保有台数を、2015年の標準ケースで5,700万台
(内、軽乗用車1,938万台)、2020年で5,600万台(同、2,044万台)と予測している。
ビジョンと多少の差があるが、この程度の差は、誤差のうちだろうからビジョンの予測を前提にして、
自社の経営ビジョンの骨格を組み立て行くことだ。

売上の源泉の変化を整備売上高(標準ケース)を以下のように予測している。2009年は実績値。
 ・整備売上高(億円)--------2009年-----2010年-----2015年(09年比)-----2020年(09年比)
 ・総整備売上高------------54,869------54,289------51,639(94.1%)-------51,307(93.5%)
 ・モータース店-------------26,305------26,041------24,626(93.6%)-------24,430(92.9%)
 ・ディーラー---------------26,311------26,016------24,893(94.6%)-------24,770(94.1%)

この予測値は現状維持ケースの場合だ。低水準ケースでは、総整備売上高は、2015年で50,440億円(09年比91.9%)、
2020年では48,605億円(88.6%)と予測している。2020年までには、消費税を含めて増税が行われるだろうか、
私は、低水準ケース以下になるように思う。

整備売上高においては、「現状維持ケース」「高水準ケース」「低水準ケース」の3つのパターンで予測値を出している。
どのケースも、一工場あたり整備売上高は、モータース店(専業+兼業)では、2020年の整備売上高は09年と比べて
プラスを予測しているが、ディーラーはその逆で3ケースともマイナスを予測している。

ディーラーは、メンテナンスパックのさらなる拡大・長期商品、あるいは最近の新車販売時に初回車検付販売などの
実態を見てみると、予測の逆になるように思える。明確な根拠があるわけではないが、今年の4月から6月の3か月間、
新車営業マンは一様に「サービス営業マン」に変身して、定期点検や車検の入庫促進活動に懸命になっていた。

ある業界団体の方が、最近整備工場に行っても工場が暇に見える、といっていた。新車ディーラーの営業マンは、
今後よりサービス営業の割合を高めてくると思われる。こうしたことからも、ディーラーの2020年時の整備売上は、
09年比プラスになる確率が高いように思うし、自社のビジョン策定ではそれを前提に組み立てるこだ。


株式会社ティオ
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