マクロ経済そして自然環境

経済的諸問題及び自然環境問題に感想、意見を書く事です。基本はどうしたら住みやすくなるかです。皆さんのご意見歓迎です。

消費税”地方税化”は本当に可能か???

2012-07-25 11:55:40 | 税、財政

大阪××の会より消費税を全て地方税にするという方針が出されているのは些か多くの方もご存知の所と思いますが、周知のように現消費税はその4%が国へ1%分が県市町村に配分されている。これは徴収を国税庁が全て行いそこから都道府県分を清算しさらにそこから市町村分を配分する形になっている。配分の基準は以前にも言ったとおり商業統計や人口数、企業統計による従業員数等となっている。これは言うまでも無く、”既に徴収された金額”の配分と言う形をとっている。したがってかなり配分基準等によって操作がある意味効く形になっている。

 

しかし他方、これを”地方税にしてしかも税率はその団体ごとに決める”と言う事でありますと、それは税率を決めて税収を決定すると言う事は各県ごとに

①ここが肝心ですがまずは納税義務者を確定しなければならない でなければ税額計算が出来ず又納税義務者の確定しない税と言うのは意味をなさない。

②その課税標準(例えば所得とか売上等を指しますが消費税の場合は”課税資産の譲渡等の対価”になる)及び

③は税率でありこの三要素が確定しなければ地方税化したことにならない。

(つまり②課税標準×③税率=税額でこれを①の納税義務者に請求すると言う事になります)

 

 

ところで一般的に地方税で多くの県にまたがる場合、例えば法人事業税等の場合、事務所数や従業員数で”課税標準を”各県等に割り振る形になっています。現在の消費税自体現在は一括徴収が出来ればいいので本店又は主たる事務所の所在地の国税に申告すればいい事になっています。

 

 ここで消費税の”地方税化”の場合を考えるならまず現在同様本店又は主たる事務所の所在地の県等に申告する事になると思われますが、そこから他の都道府県等に分割すると言う形になると思われ、と言う事は事務所等の存在しない県等には取り分が無い事になってしまいます。現在でも其の性質上、消費税は大都市部に優位であり、特に一部に集中する形になっている。

 

 

ところで橋下氏は交付税廃止を他方の方針にしておりその”八策”でも分配にあたり調整制度を作ると言っていますが上記に見たように消費税をその都道府県に配分する段階で上記①~③を確定しなければならず、やはり事務所も何も存在しない県等にどの様に割り振るか不明であります。

 

 考えられるのは徴収した各都道府県から配分原資としてそのかなりの部分をわざわざその”調整機構”に集中しそこから再配分すると言う事ではないかと思われますが、という事であれば地方税と言うより現在の地方交付税制度と殆ど変わらないものが出来上がるでありましょうし、又そうしなければ山間部等の地域にまともな配分は不可能でありましょう。(又国がチェックを入れないとするなら誰がチェックするかも問題)但し其の合計の金額から言うなら10%にならないと合計金額が足らずそういう意味では税率引上げを前提していると言う事としかとれません。

 つまりは”地方交付制度廃止”と言っていますが実質的意味において廃止は不可能であり、あえて廃止と言い出したのは”消費税地方税化”からくる自己矛盾的帰結である事は殆ど明らかでありましょう。

 

結論から言うなら何ゆえに維新の会がこの地方税化を言い出したのかが全く持って不可解で敢えて言うなら以前にも言いましたように維新の会として消費税の引上げの焦眉の問題に賛成の立場を言いたくないからではと言うのが投稿者の見解であり、そもそも論に於いて消費税に地方交付税の性格を与えると言う事自体が土台無理な話で自己矛盾はと言う事であります

 

 

つまり地方交付税→全国の財源を地域ごとに均すものであり郡部に手厚くなる

    消費税→売上に薄く(?)広く徴収すると言う事で都市部ほど税収が多い

 

 しかしながら各県等で徴収した大部分をその”機構”(それ自体誰が決定権を持つか不明であります)に納付する等というような回りくどい事は各県等の自主性も害しかえってその”行革方針”にも反するのではないでしょうか???

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする