日経6月13日付けによるとIMFは12日に対日経済審査を終え声明を公表したとの事である。それによるとIMF筆頭副専務理事が記者会見し其の中で
①財政政策について消費税税率は最低でも15%にして軽減税率は税収減の懸念があるとし、年金支給開始年齢も65→67才に検討
②女性や高齢者の労働参加の拡大やサービス業などの規制緩和で成長押上げを図る
③為替相場は基本的には自由な変動に委ねるべきとする。
というような”提言”を行ったとする。しかし之を見てすぐに解るのはこれは新古典派そのものであり小泉ー竹中”改革”を踏襲する物であるという事である。規制緩和で成長を図ると言うが日本は慢性的GDPギャップマイナス国であり、また勤労者の給与等を表すとされるGDP統計上の雇用者報酬も平成13年より平成22年のほうが少ないと言う状態であり全般的需要不足は否めない状態でありましょう。その様な中で消費税を10%更に15%と言うのは街の中小企業にとっては全く致命的とも言え、、また一般庶民層の消費に大きな足かせになる物でありましょう、またそこに来て年金開始年齢を67才にする等という事は全く国民の生活はなんら省みられていないと言う事であり、それらの需要不足が成長には大きな障害になるでありましょう。
また労働市場やサービス業に更なる規制緩和を持ち込むなら非正規が蔓延するこの国の労働条件を破壊する物でありましょうし以前にも述べましたが日本は三人に一人が非正規と言うことで欧州よりも約10ポイント以上は高いと言われているわけであり、特に若い勤労者の希望を奪う事になるでありましょう。
またIMFが日本に対しこのような”指導”をしたと言う事は以前にも言いましたが新古典派丸抱えの政策展開であり、欧州でも同様である事は恐らく当然で、短期的に流動性を確保したとしても中長期的には安定を確保する事が極めて困難な実物間、実物証券間不均衡的状態、生活悪化に陥る可能性は低くないと言うべきでありましょう。いずれにしても、
①下げ過ぎの法人課税の見直し
②富裕層に対する所得課税の見直し(過度の証券優遇課税の見直し等々)
③不要不急の財政支出の見直し(”コンクリート”の過剰支出、防衛費の見直し等)
等抜きには均衡的展開、生活擁護をしつつの財政再建の方針は見えて来ないと言うべきでありましょう。