マクロ経済そして自然環境

経済的諸問題及び自然環境問題に感想、意見を書く事です。基本はどうしたら住みやすくなるかです。皆さんのご意見歓迎です。

現代法人税制の問題点 佐々木憲昭議員に聞く。

2012-06-09 11:41:16 | 税、財政

[経済]と言う月間雑誌が有ります(新日本出版)が其の7月号の中で衆議院議員の佐々木憲昭議員に現在の消費税引上げ、社会保障一体”改革”の問題がインタビュユー記事で載っています。其の中で佐々木議員が現代の法人税制の問題点について述べている部分がありますのでここで紹介します。

 

 

 

”表面的な税率を見ると日本の法人税率は地方税分を含めた[実効税率]が約40%で主要国の中では高いように見えます。しかし問題は[実際の税負担率]がどうなっているかです。日本の大企業の税負担にはさまざまな優遇があって、実際の税負担率は軽くなっています。

 

 一つは[税額控除]です。例えば[所得税額控除]は、企業が受け取った配当などの収入について所得税が課税されていた場合に其の負担額を法人税額から控除できる仕組みです。また[外国税額控除]は企業や海外子会社が外国で法人税に相当する税金を納めた場合に、其の額を法人税額から控除できる仕組みです。[試験研究費の税額控除]は研究費総額の8~10%の税額控除が受けられる仕組みです。これらの[税額控除]は中小企業も利用できるとされていますが、実際には其の多くが大企業によって利用され、大企業の税負担率を引下げる原因になっているのです。

二つ目は、企業の申告所得を小さくする仕組みが有ることです。例えば[受け取り配当益金不算入]と言う仕組みがあります。これは他の企業から受け取った株式配当は収益に計上されるが、法人税の計算では収益に入れないと言う仕組みです。[外国子会社配当益金不算入]は、一定の要件を満たす外国子会社から受け取った配当の95%までは益金に算入しなくてもよいと言う仕組みです。また[特別償却]の仕組みは、過大に償却された分所得が圧縮される仕組みになっています。

 

 さらに[連結納税]による減税があります。これはグループ企業の中に赤字企業があれば、其の分他の企業の黒字を減らす事が出来、税が軽くなると言う仕組みで、これは巨大な企業グループしか利用できません。

 

 

 

 これらの仕組みを利用すれば申告所得を小さくできるのです。国税庁の[会社標本調査](2010年度分「税務統計から見た法人企業の実態」)をもとに減税効果を企業規模別示すと2010年の中小企業の税負担は25%前後です。ところが、資本金100億円以上の企業は、20%程度の負担です。連結法人にいたっては10%以下になります。実際の税負担率は、資本金1億円から5億円で負担率がピークになり、それを過ぎて企業規模が大きくなればなるほど、負担率が低くなるのです。

驚くのは、大企業の実質負担率が、基本税率よりも低いだけでなく一部「軽減税率」が適用されている中小企業よりも、さらに低いと言う事です。この10年間、法定税率が横ばいなのに、次々と優遇処置がとられてきたため、大企業の実質税負担率が下がり続けています。

 

 

大企業向け減税は全く必要ありません。資本金10億円以上の大企業の内部留保、すなわち利益剰余金、資本剰余金、引当金の合計は景気が後退しようが大震災があろうが増え続けています。30年前は36兆円だったのですが、20年前は113兆円、10年前は172兆円になって今は266兆円に積み上がっているのです。帝国データバンクの「アンケート調査」(2010年7月)によると、法人税引下げの使い道でもっとも多かったのが「内部留保の積み増しに充てる」と言う回答、二番目に多かったのは「借入金の返済に充てる」と言う回答です。ですから法人税を減税しても内部留保を拡大するだけです。”

 

 

 

 

 

と言う事でやはり特に大規模企業ほど実効税率が低くなると言うのやはり制度上問題であるとしか言いようが無いでありましょうし、また消費税の転嫁の問題でも小企業ほど転嫁できないと言う事と考えるならこの国の為政者は中小企業の経営には殆ど無頓着であると言いうるでありましょうし、税制は易しくはありませんが我々一般国民は常に勉強をして何が正しいかを自分自身で考える必要があると言う事でありましょう。

 

 

コメント
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