マクロ経済そして自然環境

経済的諸問題及び自然環境問題に感想、意見を書く事です。基本はどうしたら住みやすくなるかです。皆さんのご意見歓迎です。

景気政策史-16  “通貨論争“と恐慌-2

2008-07-26 20:43:49 | 景気政策史

前回投稿で“通貨学派“について述べましたが、他方の“銀行学派“と呼ばれたのは、
トーマス・ツウーク、ジョン・フラートン、ジェームズ・ウイルソン等でありました。

 彼等の主張の特徴としては、通貨学派が銀行券の“過剰発行“を主張したのに対し、“銀行がその貸付、前貸しを幾ら抑制しても銀行はその銀行券流通高を直接、減退させえない。
又、銀行券流通高の減退は公衆の側での銀行券需要の減少によって生じるものである。“とし基本的に銀行券の過発券を否定するものでした。

その論理前提の下、銀行学派としての不況認識としてはツウークによれば、

“大なる物価変動の諸現象は最初に信用が容易にかつ広範に与えられ、最後に先の多かれ少なかれ不当な拡張に比例して回収と収縮が有り、その回収は以前の信用の濫用の傾向と程度に従って貨幣市場、あるいは生産物市場、あるいはその両市場に感じられる“と言うものであり、信用の“濫用“にその原因を見たものでした。


従ってその“不況、恐慌対策“としては

“イングランド銀行の金準備を1000万ポンドを下回らないようにすれば信用制度に何の混乱も無く支払いが維持される“とし、
“地金が1500万ポンド以上あるときは500万ポンドまでは地金を自由に流出させて利子率引き上げでその流出を緩和、停止させるべきである。とし、
もし地金が500万ポンドを超えて流出した時には、有価証券に対する操作-有価証券の販売や有価証券満期による資金の回収 や
貸付、割引の制限によって金準備を維持、回復しなければならない。“というものでありました。

上記を見てすぐ分かるように、“銀行学派“としての不況、恐慌対策もやはり、“信用“制限による“金準備保全策“であった訳です(前掲、野村)が、フラートンによっても述べられているように“金利の変動は為替の調節上やや重要な手段となりしかもその作用の及ぶ範囲内では“と言う事で、“金利政策“の重要性が述べられているのは重要であると言うべきでしょうか。(フラートン:通貨論)

そういった中、1841.7から第二次内閣を組んだ当時の有力政治家、ピールはそれらの論議の中で通貨主義者であったロイドの証言によって自らを納得させどんな反対意見にも耳をかさなくなった(フイーヴイヤー)とされ、“ピール条例“と成ってゆきます。

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