今年の4月、雑賀耕三郎さんのご案内でお邪魔した、宇陀市室生の中村地区(三本松)の「安産寺」さんから、こんなお便りをいただいた。
※トップ写真は、ブログ「奈良に住んでみました」から拝借
残暑の候、ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。平素は安産寺 子安地蔵尊への篤い御奉念を賜り厚く御礼申し上げます。
さて、今年も恒例の子安地蔵尊御開帳を下記のとおり執り行いますので、皆様お誘い合わせの上、多数お越し下さいますよう、ご案内申し上げます。合掌
場所 安産寺
行事 自由拝観 昼12時~20時
祈願受付 昼13時~14時
祈願法要 昼14時~15時
盆踊大会 夜19時30分~21時
室生三本松 中村自治会 子安地蔵保護委員会
お問い合わせは専任保護委員(鎌田)まで ℡0745-92-2068 携帯090-3260-5656
子安地蔵尊のご縁日法要は、毎年8月の第4日曜日に営まれているようで、それが今年は25日なのだ。こちらはお寺といっても無住で、地区の集会所を兼ねている。通常の拝観日は毎月9日。これは外すと拝観申請が必要となる。
私は4月13日(土)、雑賀さんからファックスで拝観申請をしていただき、特別に拝観させていただいた(「志納金」という形で拝観料をお納めする)。近鉄三本松駅から徒歩5分、車なら近くの「道の駅 宇陀路室生」に駐める。穏やかな表情の素晴らしい仏さまであった。境内の説明板には、
本尊 地蔵菩薩立像 榧(かや)材 一木造 像高177.5cm 昭和15年10月 (旧)国宝に指定され、昭和25年8月 国指定重要文化財となる。
安産寺(真堂)の本尊は、木造 地蔵菩薩立像で、作者は不明であるが、今から千百余年前の平安時代初期の作といわれている。また、沓(くつ)を履く地蔵菩薩としても珍しい。尊顔は細く切れた目が優しさと慈悲に溢れ、身体は肩が張って十分な厚みがあり、重量感に富み、威容と風格をそなえている。
当初は彩色されていたが、現在では殆ど剥落し、また衣文線に沿って切金を施した痕跡も認められる。衣文は漣波式(れんぱしき)といわれるもので、幾重にも重なり、肩から腹部を経て股間に流れ落ち、裾に至って大きく反転している。その彫り口は繊細かつ大胆で鋭い。
これらの表現は、室生寺金堂の釈迦如来立像(国宝)と共通するところが多く、本像は「貞観(じょうがん)彫刻」の代表作の一つに数えられている。当地ではこの地蔵菩薩を「子安地蔵」と呼び、子授け、安産の地蔵さんとして信仰が篤い。
雑賀さんはご自身のブログ記事「読売ファミリー、奈良まほろばツアー 」(奈良・桜井の歴史と社会)に、このように書かれている。
国指定の重要文化財、榧(かや)の一木作りで顔の表情やY字形に流れる翻波式(ほんぱしき)衣文(大小の波が繰り返すような衣文)から、室生寺金堂ご本尊の伝釈迦如来と一体で作られたものと言われる。この地蔵菩薩は室生寺の金堂から流出したものであることは確実で、「流れてきた」(安産寺側)、「修理に出したが戻らなかった」(室生寺側)と、それぞれの解説は異なるが、室生寺からの由来を双方が認めている。
このお寺のことは、「中村地区で守られる『子安地蔵』@安産寺(宇陀市室生)」(奈良に住んでみました)や「室生・安産寺の地蔵菩薩を訪ねて」などに詳しく紹介されている。特別御開帳(ご縁日法要)は、年に1度の貴重な機会である。この素晴らしい仏さまをぜひご拝観いただきたい。
(8/16追記)この記事をFacebookに転載したところ、やいちさんから次のようなコメントをいただいた。
私は、平成25年6月5日(水)「奈良ファン倶楽部」主催の解説付き特別拝観でお伺いしました際、地元の古老の方の話と菅谷橿考研所長の解説を聴きました。かつて東博(東京国立博物館)で開催された「室生寺展」では、本来の光背を背に、十一面観音さんと並んで立たれたそうですね。見たかったと思います。由来に関して、菅谷先生は「経済的に苦しい室生寺が、伊勢街道に面して裕福な三本松地区に買ってもらったのではないか」と言っておられました。
※トップ写真は、ブログ「奈良に住んでみました」から拝借
国重文 子安地蔵菩薩御開帳のご案内
残暑の候、ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。平素は安産寺 子安地蔵尊への篤い御奉念を賜り厚く御礼申し上げます。
さて、今年も恒例の子安地蔵尊御開帳を下記のとおり執り行いますので、皆様お誘い合わせの上、多数お越し下さいますよう、ご案内申し上げます。合掌
記
期日 平成25年8月25日(日)場所 安産寺
行事 自由拝観 昼12時~20時
祈願受付 昼13時~14時
祈願法要 昼14時~15時
盆踊大会 夜19時30分~21時
室生三本松 中村自治会 子安地蔵保護委員会
お問い合わせは専任保護委員(鎌田)まで ℡0745-92-2068 携帯090-3260-5656
子安地蔵尊のご縁日法要は、毎年8月の第4日曜日に営まれているようで、それが今年は25日なのだ。こちらはお寺といっても無住で、地区の集会所を兼ねている。通常の拝観日は毎月9日。これは外すと拝観申請が必要となる。
お寺のパンフレットにあった地図
私は4月13日(土)、雑賀さんからファックスで拝観申請をしていただき、特別に拝観させていただいた(「志納金」という形で拝観料をお納めする)。近鉄三本松駅から徒歩5分、車なら近くの「道の駅 宇陀路室生」に駐める。穏やかな表情の素晴らしい仏さまであった。境内の説明板には、
本尊 地蔵菩薩立像 榧(かや)材 一木造 像高177.5cm 昭和15年10月 (旧)国宝に指定され、昭和25年8月 国指定重要文化財となる。
安産寺(真堂)の本尊は、木造 地蔵菩薩立像で、作者は不明であるが、今から千百余年前の平安時代初期の作といわれている。また、沓(くつ)を履く地蔵菩薩としても珍しい。尊顔は細く切れた目が優しさと慈悲に溢れ、身体は肩が張って十分な厚みがあり、重量感に富み、威容と風格をそなえている。
当初は彩色されていたが、現在では殆ど剥落し、また衣文線に沿って切金を施した痕跡も認められる。衣文は漣波式(れんぱしき)といわれるもので、幾重にも重なり、肩から腹部を経て股間に流れ落ち、裾に至って大きく反転している。その彫り口は繊細かつ大胆で鋭い。
これらの表現は、室生寺金堂の釈迦如来立像(国宝)と共通するところが多く、本像は「貞観(じょうがん)彫刻」の代表作の一つに数えられている。当地ではこの地蔵菩薩を「子安地蔵」と呼び、子授け、安産の地蔵さんとして信仰が篤い。
雑賀さんはご自身のブログ記事「読売ファミリー、奈良まほろばツアー 」(奈良・桜井の歴史と社会)に、このように書かれている。
国指定の重要文化財、榧(かや)の一木作りで顔の表情やY字形に流れる翻波式(ほんぱしき)衣文(大小の波が繰り返すような衣文)から、室生寺金堂ご本尊の伝釈迦如来と一体で作られたものと言われる。この地蔵菩薩は室生寺の金堂から流出したものであることは確実で、「流れてきた」(安産寺側)、「修理に出したが戻らなかった」(室生寺側)と、それぞれの解説は異なるが、室生寺からの由来を双方が認めている。
このお寺のことは、「中村地区で守られる『子安地蔵』@安産寺(宇陀市室生)」(奈良に住んでみました)や「室生・安産寺の地蔵菩薩を訪ねて」などに詳しく紹介されている。特別御開帳(ご縁日法要)は、年に1度の貴重な機会である。この素晴らしい仏さまをぜひご拝観いただきたい。
(8/16追記)この記事をFacebookに転載したところ、やいちさんから次のようなコメントをいただいた。
私は、平成25年6月5日(水)「奈良ファン倶楽部」主催の解説付き特別拝観でお伺いしました際、地元の古老の方の話と菅谷橿考研所長の解説を聴きました。かつて東博(東京国立博物館)で開催された「室生寺展」では、本来の光背を背に、十一面観音さんと並んで立たれたそうですね。見たかったと思います。由来に関して、菅谷先生は「経済的に苦しい室生寺が、伊勢街道に面して裕福な三本松地区に買ってもらったのではないか」と言っておられました。