tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

東京で興福寺仏頭展、大阪で東大寺宝物展(2013Topic)

2013年08月28日 | お知らせ
いよいよ9月3日(火)から、「国宝 興福寺仏頭展」が始まる。日本経済新聞(8/22付)の記事「国宝の銅造仏頭を送り出す法要 興福寺、仏頭展出展で」によると、
※トップ写真は、かつてなら奈良館に展示されていた旧山田寺仏頭の精巧なレプリカ

奈良・興福寺は21日、国宝・銅造仏頭(7世紀)を一時的に東京に送り出すための法要を営んだ。9月3日から東京・上野で開く「国宝 興福寺仏頭展」に出展するのに先立ち、移動中の無事を願って仏頭から魂を抜く意味がある。

法要は同寺国宝館で閉館後の午後5時に始まり、多川俊映貫首ら僧侶6人と関係者約30人が参列。仏頭の前で読経や散華、焼香などを行い、展覧会の成功と宝物の安全を祈った。

同展は寺の創建1300年を記念し、11月24日まで東京芸術大学大学美術館で開く。仏頭のほか、国宝・木造十二神将立像(13世紀)など、約70点が出展される。多川貫首は「しばらく国宝館の光の一つが不在となるが、代わりに東日本を照らしてもらうことができる」と語った。


展示の詳細は、同展のHPに掲載されている。みうらじゅんといとうせいこうが「仏頭大使」を務めるのだそうだ。興福寺国宝館では、いつも阿修羅像が一番人気だが、私はこの(旧山田寺)仏頭を偏愛している。かつて相田みつをはこの仏頭をモチーフに、「こんな顔で」という詩を書いた。出だしの部分を引用すると、

この顔は/かなしみに堪えた顔である/くるしみに堪えた顔である/人の世の様々な批判に/じっと堪えた顔である/そして/ひとことも弁解をしない顔である/なんにも言いわけをしない顔である/そしてまた/どんなにくるしくても/どんなにつらくても/決して弱音を吐かない顔である/絶対にぐちを言わない顔である

仏頭の数奇な運命については、『奈良まほろばソムリエ検定 公式テキストブック』(山と渓谷社刊)に出ている。

国宝館の仏像中、唯一の白鳳仏が銅造仏頭である。もともとは興福寺の仏像ではなく、山田寺の講堂に祀られていた。南都焼討ち後、諸堂・諸仏の復興が進む中で、東金堂の造仏が進捗しないことに業を煮やした堂衆たちが、文治三年(一一八七)に山田寺講堂から丈六の銅造薬師三尊像を奪取し東金堂の本尊として移安した。

その後、応永十八年(一四一一)、東金堂が再び落雷で焼失した際に、本尊は頭部のみが灰中から救い出され、新たに鋳造された現本尊像の台座の内部に秘されるように納置された。この頭部が昭和十二年(一九三七)、堂の解体修理時に約五百年ぶりに、まさに劇的に発見されたのである。




さて、今朝(8/28付)の奈良新聞によると、来年(2014年)3月22日にオープンする「あべのハルカス美術館」では、開館記念特別展として、「東大寺宝物展」を開催する。同館のHPによると、

あべのハルカス美術館 開館記念特別展 東大寺
2014年3月22日(土)~5月18日(日)


あべのハルカス美術館の開館記念特別展覧会として、東大寺の宝物展を開催します。東大寺は聖武天皇が創建して以来、1250年近く我が国の宗教的なシンボルであり続けています。新しい美術館の誕生を祝う初回の特別展は、国宝『誕生釈迦仏立像』をはじめ、創建当初の姿を伝える宝物、東大寺の伝統を伝える宝物、数度にわたる被災からの再興の歴史を物語る宝物などを精選して展示し、いつの時代も朝廷・幕府から民衆まであらゆる人々とともにあった東大寺の姿を紹介します。

大阪の新しいシンボルとなる「あべのハルカス」に生まれる美術館で身近に宝物を拝観していただき、時代を超えたすばらしさや作品を生み出した人々に思いを馳せてください。


奈良の住民は、地元にこんなすごい「お宝」があることに無頓着である。だから「奈良には何もない」などと、罰当たりなことをよく口にする。2009年に東京などで開催された「国宝阿修羅展」の入場者数が190万人を超えたり、1日当たりの入場者数が世界一だった(今の世界一は「正倉院展」)と聞いても、驚く様子もない。今回の2つの展示は、おそらく大きな反響があることだろう。地元民にとっては、奈良の良さを再認識する良い機会である。東京の皆さん、大阪の皆さん、ぜひ奈良の「お宝」をじっくりと拝観してください!
コメント (2)
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