当ブログにいつもコメントをくださる酒仙堂さんから先日(7/9)、こんなメールをいただいた。
ブログを拝見し、今日の昼に「カレーハウス峰」のカレーを食べたくなり、行ってきました。あいにく7月8日から11日まで臨休でした。そこで食べに行ったのがJR奈良駅前の「更科食堂」。特に何が美味いという訳ではありませんが名前も、外観も、内部も“正しい昭和の駅前食堂”です。
実はこの店、年内いっぱいで廃業します。三条通りの交差点から南へ歩道を拡張するため、立ち退きになるらしいのです。それで銀行の支店も移転されたのですね。ブログで紹介されるほどではないかもしれませんが、もしあちらで昼食をとる機会がありましたら、お立ち寄りください。色々食べましたが、お勧めというほどの一品が無いのが残念ですが。
この店は、私が就職で奈良へ来て1人暮らしを始めたばかりの1978年(昭和53年)頃から、よく通った店である。日曜になるとこの店の前を歩いてダイエーへ買い出しに行った(ダイエーは、ドラッグストアとパチスロ店になってしまった)。帰りにはよくここに立ち寄ってご飯をいただいたが、食べた料理も味も、さっぱり記憶にない。しかし年内で閉店(廃業)とは…。早速、訪ねてみた。
JR奈良駅は東京のあやかさんが、《ホテルがいくらJR駅に隣接しても、観光客にとっては不便極まりないのです》《JRの奈良駅は立派ですが、ホームはガラガラ、本数は少ない。都心では電車が一時間4本「しかない」と思われてしまうのです》と書かれて物議を醸した、あの場所である。
構内や周辺には食べ物屋さんも増えてきたが、大手飲食チェーンの店が多く、特色のある地元の店は少ない。そのなかで、「三丁目の夕日」に出てきそうな昭和レトロの店は、特異な存在感がある。
まずはランチタイムに訪ねた(7/19)。先客はおばあさんが1人。私はメニュー見て迷った末、カツ丼(630円)を注文した。途中から何人か入って来たが、ほとんどが常連さんのようで、豚カツ(720円)やチキンライス(630円)を注文して昼間からビール(中瓶520円)を飲み出すおじいさんグループもいた。一見さん風の若いサラリーマンは、小声で「カツ丼を大盛りで」と注文していた。写真のカツ丼(並盛)は、カツが卵の下に隠れているが、関西風に薄味の、ごく普通のカツ丼だった。
次は夕食時に訪ねた(7/29)。このときは、中華そば(530円)と焼き飯(630円)を注文。ラーメンとチャーハンでないところが、いかにもレトロ食堂だ。中華そばのスープは鶏ガラベースにあっさり醤油味。麺はごく普通の中細麺。チャーシューの代わりにハム1/4枚と豚肉のコマ切れ、ナルトの代わりにカマボコが入っていた。ゆで卵はスライスした薄いもの。焼き飯は普通の炒めご飯で、量も少なめ。薄味なので、ソースをかけた方が美味しかったかも知れない。
途中から90歳くらいのおばあさんが杖をつきながら入ってきて、「いつものを」と注文。「そうめんでも出てくるのかな」と思っていると、中華そばとオムライス(690円)が出てきた。頼もしい食欲である。カロリーも十分だ。そのあとに入ってきた70歳ほどのおじさんは、鍋焼うどん(580円)を注文した。「真夏に鍋焼き?」と驚いたが、温かいものの方が体に良いのだろう、と納得した。
最後に、もういちどランチタイムに訪ね(7/30)、野菜炒め(520円)とライス(150円)、味噌汁(150円)を注文した。ここの料理、当ブログで紹介するほどの味ではないのだが、何となく懐かしくて心がほのぼのと暖まる、まさに正当派の「駅前食堂」「大衆食堂」の味である。料理を作っているのも、運んでくれるのも、お勘定をしてくれるのも、私の母親世代のおばあちゃんたちである。お年寄りの、お年寄りによる、お年寄りのための店。勘定もレジスターではなく、ソロバン。5つ玉ではなく4つ玉ではあったが…。
私の故郷の九度山にも、こんなお店が何軒かあった(今はない)。カゼを引いたとき、出前に鍋焼きうどんを取ってもらったこともあった。東京の叔母は、帰省すると決まって肉うどんを取っていた。担任の先生は放課後、よく電車の時間待ちで関東煮をサカナにビールを飲んで時間をつぶしていた。
案外、外国人観光客など、こういう昭和レトロな店を喜ぶかも知れない。「Traditional Japanese Restaurant」なのだ。こってりした中国東北部や西安の料理店を教えてくれた中国人女性たちをここに招待したら、どんな顔をするか、ちょっと楽しみな気もする。瓶ビールは、サッポロの赤星ラガーだったらいいな…。
閉店まで、あと4ヵ月。JR奈良駅周辺へお出ましの折は、ぜひ「更科食堂」で「三丁目の夕日」の世界を味わってください!
※9:15~18:00、水曜休。「食べログ」の同店サイトは、こちら
(8/13追記)
この記事をFacebookに転載したところ8/11(日)、たくさんのコメントをいただいた。中島智加さん《確かここは昔祖父がエビ天を卸していたお店です。残念!》。彦坂真一郎さん《三条通りが拡幅されて、だんだん「綺麗」になっていってますが、全国展開のフランチャイズのお店がいっぱい並んで、どこにでもある「普通」の商店街になっていくのは寂しいいような気がします。ビジネスの世界ですから、そうもいってられないのでしょうけど》。
近藤法子(旧姓 柳橋法子)さん《そのお店はうちの長男が中学生の時の担任の先生のお母様がされてたと記憶しています。息子がそんなことを話してくれました。先生も休みの日は手伝いに行くと言ってたようです。本当に淋しいですね。三条通りも銀行に勤めていた頃とはすっかり変わってしまいましたね》。
ブログを拝見し、今日の昼に「カレーハウス峰」のカレーを食べたくなり、行ってきました。あいにく7月8日から11日まで臨休でした。そこで食べに行ったのがJR奈良駅前の「更科食堂」。特に何が美味いという訳ではありませんが名前も、外観も、内部も“正しい昭和の駅前食堂”です。
実はこの店、年内いっぱいで廃業します。三条通りの交差点から南へ歩道を拡張するため、立ち退きになるらしいのです。それで銀行の支店も移転されたのですね。ブログで紹介されるほどではないかもしれませんが、もしあちらで昼食をとる機会がありましたら、お立ち寄りください。色々食べましたが、お勧めというほどの一品が無いのが残念ですが。
この店は、私が就職で奈良へ来て1人暮らしを始めたばかりの1978年(昭和53年)頃から、よく通った店である。日曜になるとこの店の前を歩いてダイエーへ買い出しに行った(ダイエーは、ドラッグストアとパチスロ店になってしまった)。帰りにはよくここに立ち寄ってご飯をいただいたが、食べた料理も味も、さっぱり記憶にない。しかし年内で閉店(廃業)とは…。早速、訪ねてみた。
JR奈良駅は東京のあやかさんが、《ホテルがいくらJR駅に隣接しても、観光客にとっては不便極まりないのです》《JRの奈良駅は立派ですが、ホームはガラガラ、本数は少ない。都心では電車が一時間4本「しかない」と思われてしまうのです》と書かれて物議を醸した、あの場所である。
構内や周辺には食べ物屋さんも増えてきたが、大手飲食チェーンの店が多く、特色のある地元の店は少ない。そのなかで、「三丁目の夕日」に出てきそうな昭和レトロの店は、特異な存在感がある。
まずはランチタイムに訪ねた(7/19)。先客はおばあさんが1人。私はメニュー見て迷った末、カツ丼(630円)を注文した。途中から何人か入って来たが、ほとんどが常連さんのようで、豚カツ(720円)やチキンライス(630円)を注文して昼間からビール(中瓶520円)を飲み出すおじいさんグループもいた。一見さん風の若いサラリーマンは、小声で「カツ丼を大盛りで」と注文していた。写真のカツ丼(並盛)は、カツが卵の下に隠れているが、関西風に薄味の、ごく普通のカツ丼だった。
次は夕食時に訪ねた(7/29)。このときは、中華そば(530円)と焼き飯(630円)を注文。ラーメンとチャーハンでないところが、いかにもレトロ食堂だ。中華そばのスープは鶏ガラベースにあっさり醤油味。麺はごく普通の中細麺。チャーシューの代わりにハム1/4枚と豚肉のコマ切れ、ナルトの代わりにカマボコが入っていた。ゆで卵はスライスした薄いもの。焼き飯は普通の炒めご飯で、量も少なめ。薄味なので、ソースをかけた方が美味しかったかも知れない。
途中から90歳くらいのおばあさんが杖をつきながら入ってきて、「いつものを」と注文。「そうめんでも出てくるのかな」と思っていると、中華そばとオムライス(690円)が出てきた。頼もしい食欲である。カロリーも十分だ。そのあとに入ってきた70歳ほどのおじさんは、鍋焼うどん(580円)を注文した。「真夏に鍋焼き?」と驚いたが、温かいものの方が体に良いのだろう、と納得した。
最後に、もういちどランチタイムに訪ね(7/30)、野菜炒め(520円)とライス(150円)、味噌汁(150円)を注文した。ここの料理、当ブログで紹介するほどの味ではないのだが、何となく懐かしくて心がほのぼのと暖まる、まさに正当派の「駅前食堂」「大衆食堂」の味である。料理を作っているのも、運んでくれるのも、お勘定をしてくれるのも、私の母親世代のおばあちゃんたちである。お年寄りの、お年寄りによる、お年寄りのための店。勘定もレジスターではなく、ソロバン。5つ玉ではなく4つ玉ではあったが…。
私の故郷の九度山にも、こんなお店が何軒かあった(今はない)。カゼを引いたとき、出前に鍋焼きうどんを取ってもらったこともあった。東京の叔母は、帰省すると決まって肉うどんを取っていた。担任の先生は放課後、よく電車の時間待ちで関東煮をサカナにビールを飲んで時間をつぶしていた。
案外、外国人観光客など、こういう昭和レトロな店を喜ぶかも知れない。「Traditional Japanese Restaurant」なのだ。こってりした中国東北部や西安の料理店を教えてくれた中国人女性たちをここに招待したら、どんな顔をするか、ちょっと楽しみな気もする。瓶ビールは、サッポロの赤星ラガーだったらいいな…。
閉店まで、あと4ヵ月。JR奈良駅周辺へお出ましの折は、ぜひ「更科食堂」で「三丁目の夕日」の世界を味わってください!
※9:15~18:00、水曜休。「食べログ」の同店サイトは、こちら
(8/13追記)
この記事をFacebookに転載したところ8/11(日)、たくさんのコメントをいただいた。中島智加さん《確かここは昔祖父がエビ天を卸していたお店です。残念!》。彦坂真一郎さん《三条通りが拡幅されて、だんだん「綺麗」になっていってますが、全国展開のフランチャイズのお店がいっぱい並んで、どこにでもある「普通」の商店街になっていくのは寂しいいような気がします。ビジネスの世界ですから、そうもいってられないのでしょうけど》。
近藤法子(旧姓 柳橋法子)さん《そのお店はうちの長男が中学生の時の担任の先生のお母様がされてたと記憶しています。息子がそんなことを話してくれました。先生も休みの日は手伝いに行くと言ってたようです。本当に淋しいですね。三条通りも銀行に勤めていた頃とはすっかり変わってしまいましたね》。