昭和三十年代まで、広島の街でも、夏と言えば、虫の音を楽しむ風習があった。 子供達は、「キリギリス」を捕まえて、虫かごで飼っていた。 熱い夏休み中、「チョウンギース」 と鳴いていた。 それに夜となると、「クツワムシ」。 「ガチャ、ガチャ、ガチャ、」 と、一晩中鳴いていた。 こんな虫を売っている店が、市内の中心部にあって、料亭や、大きな邸宅の住人などが、買い求めていらしたようだ。 俗にゆう風流人の方々である。 結構子供の小遣い稼ぎになっていた。 「キリギリス」が十円、 「クツワムシ」 は、十五円で買ってくれた。 大きな料亭は三十個以上の虫かごを、庭につるしていた。 私は縁あって、広島では一番大きく、高級な料亭に、直接虫を売りに行っていた。 それはビックリするくらいの値段で、買っていただいていた。 秋に成ると、「鈴虫」や、「こおろぎ」など、秋の虫を届けていた。 特に喜ばれたのが、「草ひばり」だった。 その爽やかな鳴き声は、料亭に相応しい鳴き声だった様だ。 小泉八雲も、この虫を好んで飼っていたそうである。 その代金は、私学の中学校の授業料となって消えた。 そんな副収入が無い時は、新聞配達と、牛乳配達で賄っていた。 そんな風流な時代は、二度と来ないのだろう。
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今はお料理屋さんには、よくどうでもいいような琴のBGMとかが小さな音で流れています。
また、その買値が素晴らしい、よかったですね。
夫は子どもの頃ウナギを捕って、川魚の卸屋さんにもっていったら、10円か20円で、そのお金を持って駄菓子屋さんで、釣り道具の小さな部品などを買ったそうです。
農家の婿とりの祖母は自家野菜を売って、
それで料理屋に飲みに行くような粋な婆様でした、
その息子である父は仕事を終えると同じく友人と、
飲みに立ち寄るようでした、
そこで同じ料理屋で襖越しに聞き覚えのある声が、
襖を開けた父がそこに見たのは、その母親だった、
一緒に飲んだそうな(笑)
二人から聞いたのだから事実でしょう、
私が中学生になったかならないか頃の思い出話でした、
時代ですね~またね。