CHESTNUTS's Living

Living・・・意味は「暮らし」
(なるべく)手作り、平穏で安心できる暮らしを目指しています・・・

のだめカンタービレの音楽会 @りゅーとぴあ…後編

2010-03-16 23:03:10 | のだめ&クラシック
              




茂木大輔の「生で聴く“のだめカンタービレ”の音楽会」
「ピアノの詩人・ショパン VS 管弦楽の魔術師・ラヴェル」
(ショパン生誕200年記念)

@りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館 コンサートホール

2010年(平成22年)2月28日(日)14:30開場 15:00開演


♪プログラム

ベートーヴェン:交響曲第7番 イ長調 Op.92より第1楽章

★第1部「パリの千秋:ラヴェル特集」
  亡き王女のためのパヴァーヌ
  「ピアノ協奏曲 ト長調」より第1楽章
  組曲「マ・メール・ロワ」より 第1曲 眠れる森の美女のパヴァーヌ
                 第4曲 美女と野獣の対話
                 第5曲 妖精の園
  ボレロ

★第2部「のだめ+ミルヒー:ロンドンで協奏曲共演!」
  ショパン:ピアノ協奏曲 第1番 Op.11
   第1楽章:アレグロ・マエスト―ソ
   第2楽章:ロマンツェ・ラルゲット
   第3楽章:ロンド・ヴィヴァーチェ

 指揮・お話:茂木大輔
   ピアノ:高橋多佳子
オーケストラ:群馬交響楽団


プログラム内容だけでお腹いっぱいになる程の、すごいボリュームの選曲!
都内オケ探して聴きに行ったって、3~4曲演奏される中で「のだめ」関連曲はせいぜい1曲か2曲で…この密度、超半端ない!



■『ベートーヴェン:交響曲第7番 イ長調 Op.92より第1楽章』

前に行った「のだめシンフォニックコンサート」の時、ラストを飾る曲として全楽章が演奏された「ベト7」。
ここではオープニングとして第1楽章が演奏された。
11月同様、茂木先生の指揮はパワフル。
指揮の振りを見て「!」と思った位置で、また「!」と思わせられた。
驚きが蘇り、再び記憶に積み重なっていく。
すっかり「のだめ」の定番として定着した「ベト7」。この華やかさは「のだめコンサート」の幕開けに相応しい。

ところでこのコンサートの意図は、スクリーンにある。
のだめの世界にどっぷり浸れるように、「原作のこの位置でこの曲が演奏される」というシチュエーションが分かるように、オケの後ろに設置されたスクリーンに原作のシーンが次々登場する。

このスクリーン初体験は、すごい感動があった。
まさに「かゆい所に手が届く」ような、適切で、精査され、作り手の愛や心情までが伝わってくるような。
このコンサートは、「のだめカンタービレ」作品への深い愛情で満たされている。
スクリーンに投影される画を構成する方達と、茂木先生の「のだめ作品」への深い思いを全て受け入れ反映させる、その精密さと息のあった心地よさ。
オケの音も ホールの響きも、何もかもが「のだめ愛」でいっぱいだ。
都内であちこち行くようになったけど、ここまで感動するコンサートには未だ巡り合っていない。
この快感は、癖になる。



■第1部「パリの千秋:ラヴェル特集

今回は第1部「ラヴェル」第2部「ショパン」で構成されている。



■『亡き王女のためのパヴァーヌ』

ラヴェルは父と母それぞれの国の音楽を受け継いでおり、更に自分独自の世界観も持っている。
「パヴァーヌ」とはスペイン起源の舞曲と言われており、母はバスク人(スペインにほど近いバスク地方出身)であった。
また父はスイス出身の発明家兼実業家であり、家族でパリに移住している。
(Wikipediaより)

「のだめ」の中では、千秋の指揮コンで登場する。(10巻)
「細く」「なめらかに」---
ジャンとの差に焦りを感じはじめた千秋は、自分の世界を表現しようとするあまりホルン奏者と対決状態になり、ついにはオケとの信頼関係にまで響いてしまう。
ちなみに二ノ宮先生はこの選曲にあたり、「ホルン奏者にプレッシャーを与える曲は何か?」をポイントに置いたらしい。


■「ピアノ協奏曲 ト長調」より第1楽章

のだめが愛し、千秋とのコンチェルトを夢見る曲。
当時ラヴェルが影響を受けたジャズ要素を取り入れ、リズミカルでユーモラスに描かれる。
このピアノを、ラヴェルは自分が演奏するつもりでいたが、実際は他の演者に委ねられた。

この曲が「のだめ」内で登場するのはRuiの伏線であるが、原作に登場するよりもずっと前から茂木先生は「のだめコンサート」で演奏していた。
その曲が原作に取り上げられる! 嬉しかったに違いない。
高橋多佳子さんのピアノもキラキラと輝き、眩しかった。

私が座った席は左手の上で、ピアニストさんの手の動きもよく見える位置。
いい席に座れてよかった!…心から感謝。
これなら、ショパンも期待が高まる。
ちなみに「りゅーとぴあ」はホールの大きさが程よく座席配置も工夫されて音響も素晴らしく良い会場だった。
そしてオケとホールの規模が丁度良い…このバランスの良さは重要だ。


■組曲「マ・メール・ロワ」

子供のために書かれた、物語の情景を思わせる小品集。(ラヴェルは独身であり、子供はいない)

第1曲「眠りの森の美女のパヴァーヌ」
第2曲「おやゆび小僧」(一寸法師)
第3曲「パゴダの女王レドロネット」
第4曲「美女と野獣の対話」
第5曲「妖精の園」

この中から第1曲・第4曲・第5曲が演奏された。


NHK教育で放送された「音楽探偵アマデウス」で、「マ・メール・ロワ」(ピアノ版)が取り上げられ見ていたのだけど、ももがウチに来てまだ1週目だったので とても見られなかった。(なんで録画しなかったんだー!?)
その中で心に留まったのは、
「ラヴェルはこの曲で自分のコンプレックスを表現している」というようなことだ。

ラヴェルは自分の小さな容姿にコンプレックスを持っていたらしい。
「小粋でお洒落なパリの紳士」というイメージが強いが、それは自分のコンプレックスをカバーする手段であったようだ。
変身願望。
それは「美女と野獣」の野獣の魔法が解け、王子にかわることの他「妖精の園」「パゴダの女王レトロネッド」…に見てとれるらしい。

これを踏まえ、また物語を知った上で「マ・メール・ロワ」を聴くと、より浸れて楽しめる。


■第1曲「眠りの森の美女のパヴァーヌ」

「眠れる森の美女」をモチーフにした曲。
「のだめ」の中では、千秋がデビューコンサートのためにピアノを弾きながらする練習で登場する。(12巻)
「眠れる美女が夢の中で パヴァーヌを踊っている」…
オクレール先生に早く認められたい余りに焦り、自分本来の音楽を見失っているのだめは、千秋の奏でるピアノの音のなか、うたた寝から目覚め、正気に戻る。


■第4曲「美女と野獣の対話」

美女と野獣。
「のだめ」の中では、「美女」も「野獣」ものだめ自身のようにも取れる。
千秋が「美女」で、のだめが「野獣」なのか。
それとも王子(千秋)のキスで魔法がとけたのか。

この曲の中での、ラヴェルが残した指示がスクリーンに映し出される。
野獣の魔法がとけ王子になったところで涙がぽろぽろとこぼれ、自分でも驚いてしまった。
コンサートが始まってから ずっと私は美しい音に浸り、じわじわと感動がこみ上げていた。
それがこのタイミングでぷつっと切れたのかもしれない。

音が美しいのは、生まれた途端にこの世から消えてしまうからだ。
人の息により生み出された音、空気を震わせ響いた音。その全てが儚い。
何度でも繰り返し出かけ聴きたくなるのは、その儚さとライブ感を味わいたいからなのだろう。
それは生きていること全てに通じる。


■第5曲「妖精の園」

第1曲「眠りの森の美女」のラスト、王子が美女を見つけ目覚めさせる。

目覚めたのだめは、千秋の気持ちを受け取る。
二ノ宮先生は「マ・メール・ロワ」で二人を優しく結びつけたのだなぁ。



■ボレロ

超有名曲、ラヴェルの「ボレロ」。
ニューイヤーでコバケン先生のボレロを初めて聴いてから、のだめオケで「またボレロか~」というくらい聴いてきた。

しかし、茂木先生のボレロは一味違う。
のだめオケで、「ボレロによるオーケストラ楽器入門講座」を見ていたせいもあるけど、小太鼓の緊張感、次々と新たに加わるソロ、ラヴェルの絶妙な楽器の組み合わせを堪能し、
そして最後は極めつけ「ボロボレロ」の最後を締めるゴング!

原作がスクリーンに映し出される。
「打楽器奏者がひとり足りてないから、最後は僕がゴングにミュートをかけなければ」
「手早くシンバルを置いて、ゴングに抱きついて音を止める!!」「よし!」(14巻)

原作では大失敗をやらかすのだが、群響のゴングはびしっとフィニッシュを決めた!
美しくかっこいい!パーフェクト!

もちろん群響のパーカッションの人が原作同の失敗をやらかす筈はない。
でもでもこの高まる緊張感のなかプレッシャーに耐え終曲を迎えたことは本当に素晴らしい!



(20分の休憩)



■第2部「のだめ+ミルヒー:ロンドンで協奏曲共演!」

いよいよ今回の真骨頂、自由奔放な「のだめ」がミルヒーを振り回すショパンピアコン1番の登場だ!




■ショパン:ピアノ協奏曲 第1番 ホ短調 Op.11

茂木先生とピアニスト高橋多佳子さん登場。
高橋さんは、ラヴェルピアコンの時は可愛いふんわりドレスだったけど、ショパンではシックなドレスに着替えていた。
ショパン国際ピアノ・コンクールで5位に入賞。以後賞歴を重ね、「ショパンの旅路」シリーズ(CD)やラフマなどをリリースし、高い評価を得ている。
つまり、ショパンの名手である。

第1楽章・第2楽章・第3楽章。
スクリーンには提示部・第1主題・第2主題など音楽が進みにつれ表示がなされる。
丁寧に原作の場面がはめ込まれ、まるでのだめそのものが演奏しているかのような気持ちになる。
ひたすらに美しい音楽。


3月11日(木)放送されたアニメ「フィナーレ」第8話で、のだめは遂にミルヒーとコンチェルトをした。
私自身、原作でこの曲が登場してからピリスの演奏を何度も聴き、のだめのために収録されたラン・ランの演奏も聴き、素晴らしいことは重々承知している。
それなのに、アニメ内ののだめの演奏は更にそれを上回る感動で溢れていた。
このシチュエーション、千秋からも音楽からも逃げだし、メフィストミルヒーに誘われるままに一心不乱にピアノを弾く。
それは天上の調べ。
でもそんな中でも のだめの中で生きているのは千秋から学んだ精神だ。

「オレなんか まだまだ小さいことくらい わかってる」
「でもだからこそ ひとつひとつ 今はこのオケの『調和』を探して」

「アンサンブルの神髄はハーモニー」
「要するに『調和』だ」

「『調和(ハルモニー)』-------- 」


スクリーンに映し出される、高橋さんの想い。
「この曲を弾くたびに正気では居られなくなる。」
「大好きなこの曲を、大すきな『のだめ』で弾けるなんて嬉しすぎます!」

このコンサートに関係する全ての人々。
茂木先生も スクリーン画像を編集し映し出す春日井の方も オケも ピアニストも、そして勿論それを聴いてる私たちも。
皆がのだめを好きだ。 
これほど「好き」が溢れたコンサートは、他のどこでもお目にかかれない。



■アンコール「おなら体操」+「ラデツキ―行進曲」/編曲・茂木大輔

野田 恵さん直筆の「おなら体操」楽譜がスクリーンに映しだされ、一緒に手拍子したり歌ったりの楽しいアンコール!




帰りの新幹線の都合上、どれくらいでコンサートが終わるかが気がかりだった。
何かの情報で「17時まで」というのを見たけど確信が持てないので、新幹線の指定券は買わずにいたのだ。
実際のところ、15時開演 17時終了予定だったのが、実際は17時半終了。
当然のことだけど、相当な時間の余裕が必要だ。

これを活かし、次回に備えたい。
ちなみに次回は『のだめ世界デビュー!withミルヒー 完全再現コンサート』に参戦予定。
これまたお腹いっぱいなこと間違いなしだ!




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